医療ソーシャルワーカーとは、保険医療機関において患者や家族の相談に応じ、社会復帰を促すための福祉分野の専門職です。本記事では医療ソーシャルワーカーの概要や仕事内容・労働環境や年収のほか、メリットやデメリット、向いている人物像について解説します。
目次
1 医療ソーシャルワーカーとは
医療ソーシャルワーカーの仕事内容
医療ソーシャルワーカーと他の職種の異なる点
医療ソーシャルワーカーの勤務先
医療ソーシャルワーカーの労働環境
医療ソーシャルワーカーの年収
2 医療ソーシャルワーカーの現状と展望
医療ソーシャルワーカーの現状
医療ソーシャルワーカーは今後も活躍が見込める
3 医療ソーシャルワーカーとして働くメリット・デメリット
医療ソーシャルワーカーとして働くメリット
医療ソーシャルワーカーとして働くデメリット
4 医療ソーシャルワーカーに向く人物像とは
5 医療ソーシャルワーカーになる方法とは
6 医療ソーシャルワーカーは将来性のある職業
医療ソーシャルワーカーとは、保険医療機関において患者やその家族の相談に応じ、支援を行う福祉の専門職です。
患者が安心して社会復帰ができるように、社会福祉の立場から患者やその家族を支援することが、医療ソーシャルワーカーの役割です。
医療ソーシャルワーカーの役割は、医療機関で治療を受ける患者やその家族に対して、入院、通院中の心理的・社会的問題の解決に対する援助や、退院・社会復帰への支援を行うことです。
医療ソーシャルワーカーの主な仕事内容は以下の3つです。
「社会復帰への問題に対する支援」とは、具体的には患者の悩みを聞いたり職場復帰の窓口を紹介したりすることが挙げられます。場合によっては、患者の職場や学校と話をして、ハローワークや福祉部門の就労支援などを紹介することもあるでしょう。
他にも、患者会の育成、グループ活動への支援など幅広い活動があります。
最近では、ケアマネジャー(介護支援専門員)と連携を取ったり地域の福祉サービスに利用援助を求めたりするなど、行政担当者や介護従事者と連携する仕事も増えています。
医療ソーシャルワーカーと一緒に働くことがある福祉関連職には様々な職種があり、それぞれ次のような業務を行っています。
・ケアマネジャー(介護支援専門員)…介護を必要とする方への相談援助を行う
・保健師…健康診断や保健指導を行う
・生活相談員…特別養護老人ホームなど介護施設で相談援助を行う
・民生委員…地域住民への相談援助を行う
・福祉ソーシャルワーカー…高齢者・生活困窮者・障害者などへの相談援助を行う
このように、医療ソーシャルワーカーとは役割や仕事内容が異なります。医療や介護、福祉の現場で働きたい場合、それぞれの違いを把握しておくことが大切です。
医療ソーシャルワーカーは、基本的には以下のような医療関係機関で就業します。
このうち、病院とは、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」をいいます(医療法第一条の五)。
また、診療所(クリニック)は、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であって、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有するもの」を指します(医療法第一条の五の2)。
その他、病院や診療所以外にも、保健施設や介護施設、関連する行政機関での採用が行われていますが、その多くで「社会福祉士」や「精神保健福祉士」の資格が必要とされています。
医療ソーシャルワーカーの主な業務は患者や家族と直接話したり面談したりする相談業務であるため、原則として日勤であることが多いです。
また、一般的には週休2日のシフト制を採用している職場が多くを占めます。
ただし、患者の会などグループワークに参加する場合、夜間や休日での開催が多いため、時間外の勤務や休日出勤をすることもあります。
医療ソーシャルワーカーの年収は、約240万円〜400万円(※)です。ただし、就職先や本人のスキル、経験などによって異なります。就職先によっては、通勤手当(交通費)や時間外手当、住宅手当等が支給されます。
月額の給与は、20万〜35万円(※)程度であることが多いです。
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医療ソーシャルワーカーに興味がある方が気になるのは、「将来性がある仕事なのかどうか」という点でしょう。ここでは現状と展望を解説します。
厚生労働省による職業情報提供サイト「job tag」によると、医療ソーシャルワーカーの全国における就業者数は532,710人、就労者の全国における平均年齢は51.6歳です。
医療ソーシャルワーカーとして働くには社会福祉士などの資格が必要な職場が多いですが、比較的年齢が高くなってから資格を取得する人も多い傾向にあります。
そのため、就労者の平均年齢が高いのだと考えられます。
医療ソーシャルワーカーの仕事は患者本人だけでなく家族や関係機関とも連携する機会があるため、人生経験や社会経験が豊かな人材が活躍しやすい職種といえるでしょう。
医療ソーシャルワーカーは今後も活躍が見込める職種です。
超高齢化社会が進む日本において、医療・福祉分野の人手の確保は喫緊の課題とされているからです。
実際に、厚生労働省は高齢化社会に向けた社会問題解決のため「保健医療2035」を発表し、医療・福祉の分野においてイノベーション環境や人材育成が必須であると宣言しています。
一方で、医療ソーシャルワーカーなど医療・福祉の現場は人手不足感が否めません。
令和4年版厚生労働白書によると、2040年に必要とされる医療・福祉就業者数は1,070万人である一方、確保が見込まれる数は974万人と需要に供給が追いついていないことがわかります。
このような状況から、高齢化社会を迎えるにあたって医療ソーシャルワーカーの必要性はますます高まっていくと考えられ、活躍が見込める職種といえるでしょう。
医療ソーシャルワーカーとして働くことには、さまざまなメリットやデメリットがあります。ここではそれぞれを詳しく解説します。
医療ソーシャルワーカーとして働く主なメリットは以下の4つです。
医療ソーシャルワーカーは現場で直接、患者や家族と関わることが多く、関わった人から感謝される仕事です。そのため、強いやりがいを感じられるでしょう。
業務を行うなかで幅広い知識を習得できる点もメリットといえます。医療や介護の知識・スキルは、仕事以外の場面でも活かせるかもしれません。
また、医療ソーシャルワーカーの仕事は基本的に週休2日制であるため、ワークライフバランスを取りやすい傾向にあります。
医療ソーシャルワーカーとして働くデメリットは以下の3つです。
医療ソーシャルワーカーは充実した職業である一方、幅広い業務をこなさなければなりません。
そのため、さまざまな分野に対する知識が必要となったり、業務に応じて優先順位をつけなければならなかったりする難しさがあります。
担当するケースによっては、どのように支援すべきかなどの悩みが伴う点にも留意しましょう。
医療ソーシャルワーカーに向いている人物像とは、冷静に状況を判断し、向上心を持って仕事ができる人です。
患者や家族の置かれた環境に対して相談、支援を行うため、客観的に状況を把握し、割り切って仕事を行う必要があります。
業務分野が幅広いため、知識や技能向上への努力も求められます。
特に、以下のような人は医療ソーシャルワーカーに向いているといえるでしょう。
医療ソーシャルワーカーとして働くには、国家資格である「精神保健福祉士」か「社会福祉士」の資格が必要な職場が多いです。
社会福祉士や精神保健衛生士の資格は、専門学校・大学・短大・大学院などで社会福祉や医療福祉を学習することで受験資格を得られます。その後、国家試験を受験し合格したのちに、資格者として登録が必要です。
そのため、医療ソーシャルワーカーに就業している人の中で一番多い最終学歴は大卒となっており、その割合は61.5%を占めています。
なお、自治体や国の相談部門などの行政機関に就職する場合、公務員試験の合格も必要です。
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医療ソーシャルワーカーとは、保険医療機関において患者や家族の相談に応じ、支援を行う福祉分野の専門職です。
高齢化社会を迎える今、医療ソーシャルワーカーの需要は拡大傾向にあり、将来性のある職業といえます。就業者の平均年齢も比較的高く、人生経験や社会経験が活かせるため、やりがいを感じながら仕事ができるでしょう。
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