栄養士とは、栄養に関するプロフェッショナルです。よく似た職業に管理栄養士もありますが、どういった違いがあるのでしょうか。この記事では栄養士の仕事内容や給料のほか、管理栄養士との違いなどについて詳しく解説します。
1 栄養士とは
2 栄養士と管理栄養士の違いは?
3 栄養士と調理師の違いは?
4 栄養士の仕事内容
5 栄養士の給料
6 栄養士になるには
7 栄養士のやりがい
8 栄養士は栄養に関するプロフェッショナルです
栄養士とは健康な人を対象に、栄養指導や栄養管理を行う職業です。第二次世界大戦の戦時中、厳しい食料状態の中で国民の栄養状態を把握・改善するために作られたのが栄養士という職業です。1947年には栄養士法が交付され、栄養士について下記のように定義されました。
出典:厚生労働省「栄養士法(昭和22年12月29日法律第245号)」
国民の栄養状態が改善された現在でも、栄養に関するプロフェッショナルとして病院や学校、高齢者施設など幅広い施設で活躍しています。
前提として、栄養士と管理栄養士では免許の種類が異なります。
栄養士は養成施設の卒業とともに資格を与えられる免許の称号であるのに対し、管理栄養士は試験の合格が必要となる国家資格です。
どちらも栄養に関する知識を持ち、栄養指導や栄養管理をする仕事であることには変わりありません。しかし、栄養士と管理栄養士では業務の対象者や役割に大きな違いがあります。
栄養士は健康な方に対してのみ栄養指導を行い、対象者の健康が維持できるようサポートします。献立の作成などを中心として、食材を発注したり栄養素を計算したりと食事の管理を主に行うのが栄養士です。健康維持を目的としているため、ときにはアスリートやスポーツマンにも関わり、栄養管理を行います。美容を目的として栄養指導を行うこともあります。
対して管理栄養士は、健康な方だけでなく病気やケガなどにより病院に通う患者に対しても栄養指導を行います。嚥下(えんげ)が難しいお年寄りなど、特別な配慮を必要とする対象者もいます。個人を対象として、それぞれの体質や身体の症状に合わせて栄養面から患者を支える職業が管理栄養士です。
栄養士と調理師は「食に関する資格」という点では一致していますが、専門領域が異なります。
栄養士は栄養のプロフェッショナルとして、栄養に関する知識を活かした献立の作成や栄養指導を行うことが主な仕事です。栄養士法に基づいた栄養素から食事を計算・管理することがメインの業務です。給食施設や介護施設など、施設によっては調理を任されることもありますが、調理業務自体は栄養士のメインの業務ではありません。
対して、調理師は調理のプロフェッショナルであり、料亭やレストラン、介護施設などで料理を作ることが仕事となります。調理師の場合、栄養指導までは踏み込みません。
栄養士の主な仕事内容は、以下の3つに分けられます。
以下で詳しく解説します。栄養士の職業に興味がある方は、参考にしてみてください。
食育とは、食に関する知識を深めるだけでなく、適切な食を選べるようになったり健全な食生活が実践できるようになったりするよう、体験や会話を通して指導することです。
2005年に食育基本法が制定されたこともあり、現在の日本では子供の食生活に関する教育が重視されています。栄養士は栄養に関するプロフェッショナルとして、保育園や小学校などを訪問し、下記のような指導を行います。
大人になってから食習慣を治すことは難しいため、幼児や小学生のうちに食育を学ぶことが重要です。食育とは、生活習慣病を防ぐ役割も持っている大切な過程なのです。
栄養指導とは、食事に関する相談を受けたり食に関する提案を行ったりする仕事です。
美容クリニックやパーソナルジムといった施設に通う健康な人が対象です。栄養士は食に関する不安や悩みをヒアリングして課題や問題点を見出し、具体的な指導や提案を行います。美容の観点や筋肉量の増加など、個人の希望や理想に沿った栄養素を含めて食事を提案し、悩みの解決に努めます。
栄養士は高齢者施設や学校などの施設で栄養バランスを考えた献立を作成します。
日常的に口にする数多くの食材の中からエネルギーや栄養素を計算し、主食・主菜・副菜・汁物を揃えつつ対象者に適した栄養を含む献立を作成。使う食材も多種多様で、できる限り1日に多くの種類の食材を使うよう心掛けます。
例えばアレルギーの内容に配慮したり、高齢者が食べやすいような柔らかく小さく加工した食材のメニューにしたりするなど、体質や年齢に合わせた柔軟な対応が必要となる仕事です。
また、施設によっては献立の作成とともに調理を任されることもあります。
令和5年賃金構造基本統計調査によると、管理栄養士・栄養士の平均月給は268,100円といわれています。年収換算すると3,901,700円です。日本の平均賃金318,300円と比べると、栄養士の給与は比較的低い傾向にあるといえます。
栄養士になるには栄養の養成施設で必要な単位を取得し、卒業する必要があります。
栄養士になるためのルートは下記の通りです。
どの養成施設も高校卒業が入学の必須条件です。
なお、管理栄養士のように資格取得のための試験はありません。
上記の養成施設を卒業したら、免許を発行する手続きを行います。
必要な書類を作成し、現在住んでいる都道府県に申請。申請が通ると栄養士名簿に登録され、免許が交付されます。
免許が交付されると、晴れて栄養士として働けます。
栄養士の資格に年齢制限はないため、養成施設に通えば主婦や社会人でも資格を取得できます。
ただし、2022年時点では通信教育や夜間課程を開催している施設はないため、昼間に学校に通う必要があります。時間の縛りが発生するため、日中に働いている社会人は働きながら栄養士の資格を取得するのは難しいかもしれません。
栄養士の仕事のやりがいは、栄養管理や食育を通して人々の健康維持を手伝えることにあります。
たとえばパーソナルジムにおける栄養士は、アスリートやスポーツを楽しむ人を栄養面から支えるのが仕事です。対象者の身体の状態から必要な食材・栄養素を判断し、食事の改善や提案を行います。自分が健康管理を手懸けたアスリートが結果を出せば大きなやりがいを感じるでしょう。
高齢者施設や学校で働く栄養士の場合、栄養管理や献立作成だけでなく、調理を担当して食事を提供することもあります。一から自分が考えた献立で「美味しかった」「また食べたい」など直接感謝の言葉を聞く機会も多く、深い達成感があります。
栄養士は、食育や栄養指導を通して人々の健康を支える仕事です。病気やケガなどにより病院に通う患者を対象とする管理栄養士と違い、栄養士は健康的な人が対象。栄養管理や栄養指導を実施し、健康が維持できるようサポートします。
施設によっては直接人と関わる機会も多く、結果を出したアスリートや提供した給食を食べた子供たちの感想などから大きなやりがいを感じられます。人のために働きたいと考える方におすすめの職業です。
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