高齢者が健康を維持するうえで、運動は欠かせない要素です。適切に体を動かすことで運動機能の衰えを防ぎ、健康状態を維持することができます。
高齢者のために介護予防プログラムを組み、運動指導を行う「介護予防運動指導員」の資格について、くわしく解説!
介護予防運動指導員の資格を取得する方法やメリットをご紹介します。
目次
■介護予防運動指導員とは?介護予防運動指導員は、高齢者が要介護状態となることを予防し、引き続き自立して日常生活が送れるように、介護予防プログラムの作成や筋力向上トレーニングなどの運動指導を行う介護予防を専門とした民間資格。
地方独立行政法人「東京都健康長寿医療センター」が資格の認定を行っています。
介護予防運動指導員は、高齢者が健康な状態を維持し、運動機能が衰えないようにサポートしていくことが役割になります。
適切な体の動かし方などを指導することで、健康維持を図ります。
高齢になると、腰痛やひざの痛みなどで体を動かす機会が減ってしまいます。また、けがをしてしまうと回復も遅く、体を動かすことができない期間も長くなります。
これらの要因により、筋肉の衰えや骨がもろくなるなど身体機能が低下し、自由に体を動かすことができなくなってしまいます。
体を動かさない状態が続き、心身機能が低下して動けなくなることを防ぐためには、介護予防に特化した知識と技術が必要になります。
介護予防運動指導員は、高齢者一人ひとりの個性やニーズに合わせた介護予防プログラムの作成と、その実施や指導に必要な知識及び技術を習得することができます。
介護予防運動指導員は、介護予防を目的とした介護保険サービス提供事業所での需要が高いのはもちろん、そのほかの場所でも活躍の場が広がっています。
たとえば、利用者の大半が高齢者である病院やリハビリ施設、高齢虚弱化が進んでいる障がい者の入所施設や障がい福祉サービス事業所などでも介護予防運動指導員の知識や技術が求められるようになってきています。
また、介護予防を目的とした資格で、一般の高齢者も対象であることから、フィットネスクラブなどといった医療・介護以外の業界でも資格を活かすことができます。
ここでは、介護予防運動指導員の資格を取得する方法を解説します。
介護予防運動指導員になるためには、養成講座を受講しなければなりません。
介護予防運動指導員の養成講座の受講要件は、以下の資格を取得している人と、卒業見込み・資格取得見込みの人が対象です。
介護予防運動指導員の養成講座については、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センターの指定を受けた事業者が実施しています。
講座会開催場所や日程、受講料などの詳細については、直接各事業者へお問い合わせください。
■講座日程
介護予防運動指導員の養成講座は、年1回のみの実施となる事業者もあれば、年に複数回実施している事業者もあります。
■受講料
事業者によって異なりますが、おおよそ7~10万円前後です。
■申込方法
直接各事業者に申し込みを行うことになります。各事業者のホームページやパンフレット等を参考ください。
2024年度の介護予防運動指導員の養成講座については、直接各事業者へ問い合わせてみるとよいでしょう。
ここでは一例として、特定非営利活動法人「介護予防研究会」の実施する介護予防運動指導員養成講座(5月生)について紹介します。
受講申込締切
2024年4月30日(火)まで
講座期間
2024年5月1日(水)~31日(金)
※スクーリングは19日(日)・26日(日)の2日間のみ
試験日
2024年5月26日(日)
※スクーリング2日目に修了試験を実施
合格発表
修了試験は、地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター研究所にて採点が行われます。所定の基準点に達した者は運動指導員として、運動指導員登録者名簿に、登録番号、登録年月日、氏名等が登載され、受験者に通知されます。
■カリキュラム
介護予防運動指導員の講習課程は以下の通りです。
科目・講座 | 形式 | 時間 |
老年学 | 講義 | 0.75 |
介護予防概論 | 講義 | 0.75 |
地域づくりによる介護予防論 | 講義 | 0.75 |
高齢者の社会参加と介護予防 | 講義 | 0.75 |
介護予防・日常生活支援総合事業と介護予防コーディネーション | 講義 | 0.75 |
行動科学特論 | 講義 | 0.75 |
介護予防評価学特論 | 講義 | 1.5 |
介護予防評価学実習 | 実習 | 1.5 |
介護予防統計学 | 講義 | 1.5 |
リスクマネジメント | 講義 | 1.5 |
高齢者筋力向上トレーニング特論 | 講義 | 1.5 |
高齢者筋力向上トレーニング実習 | 実習 | 4.5 |
転倒予防特論 | 講義 | 1.5 |
転倒予防実習 | 実習 | 1.5 |
尿失禁予防特論 | 講義 | 1.5 |
尿失禁予防実習 | 実習 | 1.5 |
高齢者栄養改善活動特論 | 講義 | 1.5 |
口腔機能向上特論 | 講義 | 1.5 |
口腔機能向上実習 | 実習 | 1.5 |
フレイル・サルコペニア予防特論 | 講義 | 0.75 |
認知症予防実習 | 実習 | 1.5 |
うつ・孤立・閉じこもり予防特論 | 講義 | 0.75 |
介護予防運動指導員養成事業の講座を受講後、修了試験に合格すれば資格を取得できます。
■試験形式
修了試験の形式はマークシートの選択式で問題数は45問あります。試験時間は1時間です。
この修了試験は受験者を落とすための試験ではなく、受講内容の最終確認という位置づけであるので、合格率は正式には公表されていませんが90%以上と予想されています。
介護予防運動指導員の資格を取得することには、以下のようなメリットがあります。
1.利用者の健康維持・改善の役に立てる
適切な運動指導を行うことで、利用者の身体面・精神面の健康状態が良くなっていきます。健康状態が良くなると、利用者はその人らしい人生を送れるようになり、充足感を覚えてもらうことにつながります。
介護予防運動指導員は、利用者の健康を担う重要な役割を持つため、大きなやりがいを持って仕事に取り組むことができるでしょう。
2.仕事の幅を広げることができる
介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持っている方は、介護予防の専門家である介護予防運動指導員の資格を取得することで、より利用者一人ひとりに適した介護予防プログラムの作成や運動指導ができるようになります。
3.将来性がある
高齢化社会に伴い、介護予防運動指導員が活躍する場は広がっていき、今後ますます需要が高まると考えられます。
介護予防運動指導員を求める施設・事業所も増えていくことが予想されるため、転職・昇給の際に有利になる可能性があります。
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◆ 健康運動指導士
◆ レクリエーション介護士
◆ 介護予防健康アドバイザー
◆ 介護予防指導士
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