介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)は介護の実践的な知識や技術を学べる研修です。無資格でも受講できますが「ついていけない」「医療的ケアで落ちる」といった声も。
実務者研修が難しいと言われる理由と、順調に修了するためのコツをまとめました。
目次
■実務者研修は難しい?
・実務者研修の合格率
■実務者研修が難しい・ついていけない理由
・無資格で基礎知識がない
・自宅学習を怠っている
・スクーリングへの出席が難しい
・課題が提出しきれない
・仕事と勉強の両立が大変
■実務者研修の医療的ケアに落ちたらどうなる?
■実務者研修を順調に修了するコツ
・学習計画を立てる
・仕事と両立しやすい職場で働く
・資格取得のメリットを意識する
■実務者研修を修了するメリット
・介護福祉士の受験資格が得られる
・キャリアの幅が広がる
・給料アップにつながる
■コツを押さえて実務者研修を修了しよう
実務者研修とは、利用者さんにより良い介護サービスを提供するための実践的な技術と、専門的な知識の習得を目的とした研修です。
定められたカリキュラムの履修と課題を提出すれば取得できます。なお、スクールによっては修了試験もあります。
介護福祉士と異なり、受講資格の規定はありません。
そのため、介護職が未経験の方や、無資格の方でも受講可能です。
スクーリング(対面で実施される講座や演習)への出席や自宅学習に真面目に取り組んでいれば、そこまで難しい資格ではないといえるでしょう。
実務者研修を修了するための要件は以下の通りです。
・決められた課題を提出し、合格点を取る
・すべてのスクーリングに出席をする
・既定の全科目を履修し修了認定を受ける
実務者研修の最後に実施される修了試験の合格率は発表されていません。
しかし、修了試験はカリキュラムの習熟度を確認するために設定されている試験であり、受講者をふるいにかける目的はありません。
そのため、合格ラインに達するまで再試験や補講が実施される場合が多く、合格率は高い水準(ほぼ100%)であると予想されます。
なお、研修を受講しているスクールによっては修了試験が実施されず、上記3点の要件を満たせば資格が取得できるケースもあります。
どうしても試験が苦手という場合は、修了試験のないスクールを選ぶのもよいでしょう。
実務者研修は、課題・スクーリング・指定された科目の履修認定をクリアすると取得できる資格です。
そこまで難しい資格ではありませんが、以下の点で「難しい」「ついていけない」と感じる人もいます。
ここでは、それぞれの理由について解説します。
実務者研修は、介護未経験の方や無資格の方でも受けられる研修です。
一方で、実務者研修は初任者研修の上位資格に当たり、介護現場の実践的な知識や技術を身につけるなど、初心者から一歩先の内容を学びます。
そのため、介護の知識が全くない方にとっては、難しいと感じる部分があるかもしれません。
未経験から介護の資格を取るなら、初任者研修の後に実務者研修を取得するのがおすすめです。
基礎的な知識を身に付ければ、実務者研修で学ぶ応用的な内容も理解しやすくなるでしょう。
また、初任者研修を取得すれば実務者研修の一部科目の受講が免除されるというメリットもあります。
講座の受講自体はインプットがメインのため、自宅で復習と課題に取り組み、履修内容を身に付けるための時間が必要です。
自宅学習を怠ると講義についていけず、実務者研修が難しいと感じるでしょう。
特に初任者研修を受けていない方や介護経験の無い方は、基礎知識が不足している分、自宅学習の時間が重要となります。
実務者研修を修了するには、スクーリングへの出席が必須です。
欠席した場合は振替が必要となり、受講しなかった科目があると修了できません。
スクーリングが必須の科目は「介護過程Ⅲ」と「医療的ケア(演習)」で、その他はテキストを使って自宅学習が可能です。
スクーリングの日程に合わせて仕事や休日の時間を調整できないと、資格取得が難しくなってしまいます。
実務者研修では、教科毎に課題の提出による履修認定が設定されています。
具体的な点数は明示されていませんが、課題の内容が基準点を満たさない場合は再提出が必要です。
課題の量が多く「提出が難しい」と感じる方もいるかもしれませんが、課題を放置したまま実務者研修を修了することはできません。
働きながら実務者研修の修了を目指す場合、仕事に追われ「勉強時間が確保できない」という方もいるでしょう。
実務者研修の修了認定に必要な科目の合計時間は450時間で、一般的に6ヵ月間かけて取得するのが目安です。
この期間に仕事と研修の日程をうまく調整できないと、取得が難しくなるでしょう。
実務者研修で規定されているカリキュラムの中に「医療ケア」があります。
医療ケアとは、痰の吸引や経管栄養など、本来であれば医師や看護師しかできない医療的介助を学ぶ科目です。
実務者研修の中でも特に利用者さんの命に関わる内容のため、実技の評価が厳しく「他の科目より難しい」と感じる方も少なくありません。
医療的ケアの科目は、50時間の講義+喀痰吸引と経管栄養の手順を学ぶ実技演習(スクーリング)で構成されています。
実技演習で行う内容は以下の通りです。
〇喀痰吸引
・口腔 5回以上
・鼻腔 5回以上
・気管カニューレ内部 5回以上
〇経管栄養
・腸ろうまたは胃ろう 5回以上
・経鼻経管栄養 5回以上
※上記に加えて救急蘇生法演習(1回以上)も実施します。
演習では、喀痰吸引や経管栄養の準備・手技・声かけなど、正しい手順で実施できるように指導されます。
演習の最後には実技テストがあり、このテストに落ちると修了認定されません。
しかし、基本的には合格するまで補講を受けられるため、「医療的ケアの演習を落として実務者研修を修了できない」と過度に心配する必要はないでしょう。
医療的ケアの科目を修了すれば、利用者さんのケアに対する理解が深まるため、前向きに取り組んでください。
なお、実務者研修を修了しただけでは、現場で医療的ケアを行うことはできません。
実際に処置を行うには、実地研修を受けるなどの要件を満たす必要があるため注意しましょう。
実務者研修の取得には、既定の課題やスクーリングをクリアすることが必要です。
以下のコツを取り入れて、スムーズな修了を目指すとよいでしょう。
実務者研修を修了するには、無資格者の場合、合計450時間のカリキュラムをこなす必要があります。
決して短い時間ではないため、修了までのイメージをしっかり持ち、学習計画を立てて取り組むことが大切です。
自宅での通信学習に加えて、課題の提出やスクーリングへの出席も修了認定の必須要件になるため、スケジュールを確認しながら漏れなく進めましょう。
実務者研修を働きながら受講する場合、資格取得に理解のある職場だと、仕事との両立がしやすいでしょう。
特に「資格取得支援制度」のある事業所・施設なら、研修が順調に修了するようにシフトを調整してもらえる可能性が高いです。
受講料の一部または全部を負担してもらえるなど、費用面でのバックアップも期待できるため、こういった制度のある職場で働くと資格が取得しやすくなります。
実務者研修のように受講期間の長い資格は、モチベーションの維持も重要なポイントになります。
モチベーションを保つために、実務者研修を修了するメリットを意識するとよいでしょう。
実務者研修は介護の現場で必要な実技だけでなく、介護の仕事や業界について深く学べる研修です。
研修を修了すれば、仕事内容と知識を紐づけられるため、利用者さんにより良いサービスを提供できるようになるでしょう。
また、初任者研修には無い「医療ケア」についても学べて、介護職としてのステップアップにつながります。
実務者研修を修了すると、介護に関する知識や技術が身に付くだけではなく、以下のメリットも得られます。
ここでは、実務者研修を修了するメリットについて詳しく解説します。
介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格。
専門的な知識・技術を習得することで、現場のリーダーとして介護職への指導を行えるようになるなど、キャリア形成に有用な資格です。
介護福祉士の国家試験を受けるには、以下の方法で受験資格を得る必要があります。
1. 介護福祉士養成施設等を卒業する
2. 実務経験3年以上+実務者研修(または介護職員基礎研修と喀痰吸引等研修)を修了する
社会人が働きながら介護福祉士を受験する場合、2つ目のルートで目指す人が多いでしょう。
つまり、実務者研修を取得すれば、国家資格である介護福祉士の取得に一歩近づけると言えます。
実務者研修を修了すると以下のメリットを得られて、キャリアの選択肢が広がります。
・サービス提供責任者の資格要件を満たす
・資格があることで転職に有利になる
サービス提供責任者は、利用者さんに適切な介護サービスが提供できるよう、ケアマネジャーやヘルパーとの調整役を担う、訪問介護のリーダー的な職種です。
サービス提供責任者になるには特定の資格が必要で、実務者研修を修了していると要件を満たせます。
また、実務者研修の資格があれば、無資格の人と比べて転職が有利になる場合もあります。
人材不足と言われる介護業界で、実務経験だけでなく資格も保有していれば、即戦力として採用されやすくなるでしょう。
実務者研修を修了すると、給料アップが期待できます。
「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職の保有資格別の平均月給は以下の通りです。(介護職員処遇改善支援補助金を取得する事業所の場合)
保有資格 | 平均月給 | 無資格との差 |
無資格 | 268,680円 | - |
初任者研修 | 300,240円 | +31,560円 |
実務者研修 | 302,430円 | +33,750円 |
介護福祉士 | 331,080円 | +62,400円 |
介護支援専門員 | 376,770円 | +108,090円 |
介護職は、上位資格の保有者ほど平均給与が高い傾向にあります。
実務者研修が資格手当ての対象になる職場なら、資格取得に伴って給料アップが見込めるでしょう。
上位資格の介護福祉士やケアマネジャーにチャレンジする足掛かりとしても、実務者研修の取得はおすすめです。
実務者研修は受講時間が長く、スクーリングや課題提出もあるため、スケジュールの調整や仕事との両立が「難しい」と感じる方もいます。
一方で、無資格でも受講できる研修で、通信学習と各科目の課題提出がメインとなるため、難易度としてはそれほど高くありません。
実務者研修を受けることで介護職としてのスキルアップにつながり、修了すれば、介護福祉士などさらに上位資格の取得も目指せます。
紹介したようなコツを押さえて、順調な資格取得を目指すとよいでしょう。
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