口腔ケアは、単に口腔内を清潔にするだけではなく、疾患予防・機能維持などの効果もあることがわかっています。
しかし実際の介護現場では、口腔ケアと体全体の健康の関連性を理解している方は少なく、根拠に基づいたケアが行き届いていないというケースもあります。
そこで今回は、高齢者の「食」「歯を残す」「QOLを高める」ことを直接的に支えることのできる「介護口腔ケア推進士」について、学べる内容や資格試験の概要、資格取得のメリットなどをご紹介します!
介護口腔ケア推進士は、高齢者の食を支える口腔ケアのエキスパートとして、介護現場で活躍する資格です。高齢者の「自分の口で食べたい」という希望を支援できる介護者の育成を目的としています。
一般社団法人 総合健康支援推進協会が運営している民間資格で、2014年にスタートした比較的新しい資格ですが、介護現場のスキルアップ資格として近年注目されています。
介護口腔ケア推進士の資格を取得することで、口腔ケアの必要性・定義などの基礎から技術の応用・工夫まで、幅広い専門知識を身につけることができます。
学習方法としては、市販されている公式テキストを参考に自己学習を積んでいく形式になります。そのため、研修会・指定講習などを受講する必要はありません。学習期間は平均的に3ヶ月程度となっています。
この自己学習の中で、実際の口腔ケアの手技確立はもちろん、義歯やブリッジの管理方法を理解できるようになります。
〈実際の介護実践で任される業務〉
・口腔内の健康状態などを判断し、どのような口腔ケアを実施するか提案する
・高齢者一人ひとりの口腔内の状態に合わせたブラシ、義歯洗浄剤、歯磨き粉の選択・アドバイスなどを行い、最適な口腔ケアを実践する
介護口腔ケア推進士は、資格の取得によって担う業務に法律上の定義はなく、施設によって任される業務も異なります。比較的新しい資格であるため、まだ取得している方が少ない資格でもあります。確立されていない働き方を、施設長などと相談しながら開拓していくのもやりがいがあって楽しそうですね。
介護口腔ケア推進士は実際にどのような職場で働いているのでしょうか。
「介護」とつく資格名からもわかるように、介護口腔ケア推進士は主に介護現場で活躍しています。以下は主な就職先の例です。
〈就職先例〉
・有料老人ホームなどの高齢者入居施設
・デイサービスなどの高齢者通所施設
・病院で介護者としての就職
・高齢者健康増進施設
このように、高齢者が生活する施設で活躍しているケースがほとんどです。
食事と口腔ケアは切り離せない関係にあることからも、食事提供のある施設ではより重宝されています。
介護口腔ケア推進士の受験に関する資格要件は特に設けられておらず、誰でも受験することが可能です。
介護職員初任者研修修了者(ヘルパー2級相当)のスキルアップや、これから介護職を志す方など幅広い方が学べる資格となっています。介護職だけでなく、医療・歯科医療分野にも役立つ資格です。
介護口腔ケア推進士の資格は、一般級と上級の2種類があります。上級は介護口腔ケア推進士の一般級に合格し、試験と同時開催される「上級 実践的な口腔ケア研修会」を受講した人のみ試験を受けることが可能です。
また、介護口腔ケア推進士の資格は受験にかかる費用が他の資格と比較して安価であり、取得に挑戦しやすい特徴があります。
これから取得を考えている方は期日をしっかりと確認しておくとよいでしょう。
■受験会場
全国各地のCBT試験が受けられるテストセンターで受験します。
■試験日程
【一般級】
コンピューター上で行うCBT形式になります。試験実施期間内であればいつでも受験することが可能です。
【上級】
会場でのペーパー試験が行われます。年に2回のみ実施されています。
■受験料
【一般級】
8,460円(税込)
【上級】
30,000円(税込)
※合格後、認定書を希望される方は発行手数料として別途3,000円が必要となります。
■申込方法
パソコンやスマートフォンなどから、インターネット申し込みのみ受け付けています。
①一般社団法人 総合健康支援推進協会のホームページから申し込みを行う
②資格取得サイト「ユーキャン」から介護口腔ケア推進士講座へ申し込む
①は費用が安く、自己学習で挑戦する方法です。
②は費用が高いですが、オリジナルテキストで学び、課題の提出をした後に自宅で検定が受けられます。自己学習で臨むことに自信がない方におすすめです。
※①の場合は、希望受験日の1か月前から3日前までに応募する必要があります。
一般級試験は、全国各地のテストセンターで随時行っています。Webサイトから「テストセンター空席照会」をして、希望の場所と日時を選択することで試験を受けることが可能です。
【一般級】
■申込期間
2024年1月6日(土)~12月23日(月)
■試験実施日
2024年1月10日(水)~12月26日(木)
【上級】
■申込期間
2024年7月4日(水)~11月11日(月)
■試験日
2024年12月4日(水)
■介護口腔ケア推進士(一般級)試験について
試験の内容は公式テキストの中から出題されます。
出題方式は5肢択一式です。制限時間は60分で、例年通りであれば全50問の出題です。
■介護口腔ケア推進士(一般級)のカリキュラム・試験内容
〈口腔ケアの基本〉
・第1章 介護と口腔ケア
・第2章 口腔と関連器官の構造
・第3章 口腔に見られる症状と関連する疾病
・第4章 口腔ケアの実際
〈口腔ケアの実践〉
・第1章 口腔ケアの意義
・第2章 環境の観察法
・第3章 症例に応じた口腔ケア方法
・第4章 専門家・専門機関との連携
■介護口腔ケア推進士(上級)試験について
「上級 実践的な口腔ケア研修会」を受けたのちに検定試験が行われます。
出題方式は4肢択一式と穴埋め記述式の2つになります。制限時間は80分で、例年通りであれば全40問の出題です。
出題範囲は、「一般級取得の際に使用したテキスト」「介護口腔ケア推進士試験公式テキスト上級及び付随するネット配信の動画」「上級 実践的な口腔ケア研修会で学んだこと」となります。
■合格基準・合格率
合格発表は、試験当日に試験会場にて試験結果レポートが配布されます。
合格基準点は正答率70%を基準に難易度補正されます。
合格率に関しては公式な発表はありません。
しかし、一般級・上級どちらもテキスト学習が基本となるため、テキスト内容を理解できていれば試験でも答えることができる内容になっています。
一般級に関しては、試験実施期間内であれば何回でも試験を受けることができるので、比較的資格取得はしやすいと考えてよいでしょう。
最後に、介護口腔ケア推進士の資格を取得するメリットを紹介します。資格取得を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
■転職活動・就職活動での自己PRになる
資格を取得しているということは、口腔ケアについての専門的な知識を有していることの証明になります。そのため、高齢者のケアを行う介護現場で重宝されます。
■取得した知識が現場ですぐに役立つ
口腔ケアは、日常生活援助としてとてもポピュラーなものであり、毎日実施します。資格取得で得た知識をすぐに介護実践に活かすことができるのでやりがいにつながります。
■教育の現場で活かせる
介護職に長年従事していると、新入職者の教育を任されることがあります。根拠に基づいた知識を受け継いでいくことができ、施設全体の介護の質が向上していきます。
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■ ケース別「自己PR」例文集はこちら
■ ケース別「志望動機」の例文集はこちら
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