すでにご存知の方も多いと思いますが、介護職員として働くための資格のひとつ「ホームヘルパー2級」が2013年3月末でなくなり、その代わりに新たに「介護職員初任者研修」(以下、初任者研修)という制度が導入されました。
前回、「ホームヘルパー2級」がなくなり「初任者研修」が新設された背景について触れましたが、今回は「初任者研修」の試験そのものを、従来の「ホームヘルパー2級」と比較しながらまとめてみました。
「初任者研修」の試験はどうなるのか〜「ホームヘルパー2級」と比較
図B
「初任者研修」の研修時間は、「ホームヘルパー2級」と同じ130時間ですが、その内容はいくつか異なります。(図B 参照)
まず、目的そのものが若干異なります。「ホームヘルパー2級」は、在宅介護を主軸とした内容となっていましたが、「初任者研修」は在宅・施設どちらの介護も共有できる内容となっています。さらに、これからの介護では重要となる「医療との連携」の項目が新設されました。また、近年急増する「認知症の理解」の項目も新設されました。
逆に「ホームヘルパー2級」ではあった、30時間の施設実習が廃止されます。実習の現場によって内容の偏りがあることが、廃止の理由です。その代わりに、ベッドや車いすを使った介護実技演習が、42時間だったのが75時間に増加。現場に出る前にしっかりと基礎スキルと知識を習得することを目的としています。
そして最大のポイントは、「初任者研修」では研修期間後、筆記試験が設置されることです。従来の「ホームヘルパー2級」は、研修および実習が修了すれば、無試験で資格を取得することができました。しかし現在は、筆記試験の準備も必要となります。
これから介護業界で働く人にとっての「初任者研修」
これまでの「ホームヘルパー2級」では、筆記試験がなかったため、研修さえ受ければある意味誰でも資格を取得できました。しかし「初任者研修」になることで試験が導入されることで、資格のハードルは高まったという見方もあります。
これから「初任者研修」を取得しようとする人にとっては、試験も含めて資格取得にしっかりと準備をしなければならなくなるわけですが、考え方を変えれば、ハードルが高まった分、資格の評価は高まると言えます。これまでの介護現場で就職する際など、資格は重要な役割を担ってきましたが、「初任者研修」の市場価値が高まることは大いに考えられます。また、キャリアパスが整備されたこともあり、いずれは「実務者研修」「介護福祉士」へとキャリアアップの可能性がある人材としても、一定の評価が得られることも想定されます。
ちなみに、すでに「ホームヘルパー2級」を取得している人は、自動的に「初任者研修」終了の資格が得られます。「トクした」気分もありますが、より難易度の高い試験を経た改正後の「初任者研修」組のほうが優秀な人材だ……なんて評価が広まったら元も子もないですので、「トクした」分今後に備え、日々しっかりと技術を磨き、キャリアアップを目指すほうがいいのかもしれません。
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前編(「初任者研修」の資格としくみ)はこちら
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