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12月16日に開かれた政府の全世代型社会保障構築本部で、厚労省から介護人材確保・定着などへ向け、生産性向上や職場環境改善などを図る方策を盛り込んだ「政策パッケージ」が示された。
介護分野での今後の取り組みとして ▽介護現場革新のワンストップ窓口の設置 ▽介護サービス事業者の経営の見える化 ▽職員配置基準の柔軟化の検討――などが位置づけられている。
同パッケージの柱は(1)総合的・横断的な支援の実施(2)事業者の意識変革(3)テクノロジーの導入促進と業務効率化――の3つ。
(1)では、介護現場での生産性向上や人材確保などについて、ワンストップで相談を受け支援につなげる「介護生産性向上総合相談センター(仮称)」を、各都道府県に設置する。
同センターは昨年9月の都道府県宛事務連絡で、地域医療介護総合確保基金を活用した23年度の新規事業として示された。
介護事業者向けの様々な支援事業は、実施主体や相談窓口がバラバラになっている現状から、現場の課題を受け止め、適切な支援へつなげられるようアドバイスする機関が設けられる。
介護ロボットやICT導入などによる生産性向上についての相談に対応したり、福祉人材センター等と連携し、介護助手活用などによる人材確保の支援などを行う。
(2)では、昨年11月時点で35都道府県が行っている、人材育成や待遇改善、生産性向上などに取り組む介護事業所を認証する制度を、全都道府県で実施することを目指す。
さらに、特に優れた事業者や職員を、総理大臣が表彰し全国に発信するイベントを開催するなどして、取り組みの横展開を図る。
また、介護サービス情報公表制度で、民間も含めた全ての介護事業者に財務状況等の公表を義務付け、平均賃金や処遇改善の反映状況なども公開し、閲覧・比較できるようにする。
(3)では、在宅介護でヘルパーなどの介護職員の負担軽減につながる、ICT機器などのテクノロジー活用について調査研究を進める。
同時に、介護施設や在宅介護でのテクノロジー導入・活用に対し、介護報酬による評価のあり方も検討する。
また、テクノロジーや介護助手活用などに取り組む介護施設で、3対1の人員配置基準を緩和することを、24年介護報酬改定議論で検討する。
福祉用具貸与などの給付種目について、昨年4月に「排泄予測支援機器」が加わったように、自立促進と介助負担軽減に有用な最新技術を備えた用具について、毎年開催される「介護保険福祉用具・住宅改修評価検討会」などで、今後も追加を検討する。
また、現在3本立てとなっている処遇改善加算の一本化を検討し、加算未取得の事業者への取得を促す。
さらに、介護事業者による自治体への各種届出などの手続きを効率化するため、昨年10月から運用開始した電子申請・届出システムを全自治体で使えるようにし、同時に各種様式の全国統一化も進めて、同システムの利用を原則化する。
この日、全世代型社会保障構築本部は、この政策パッケージの方策を盛り込んだ同構築会議(有識者会議)による報告書を了承した。今後さらに急進する人口減と少子高齢化に対応し、子育てや労働、医療、介護のそれぞれで持続可能な社会保障を目指す上での大方針であり、24年介護保険法改正・介護報酬改定にも影響を与えるものとなっている。
<シルバー産業新聞 2023年1月10日号>
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