経済産業省は今年をビジネスケアラー支援元年に位置づけ、
(1)介護保険外サービスの振興
(2)企業における仕事と介護の両立支援の促進
――に取り組む。
6月16日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)でも「ビジネスケアラーの増大等を踏まえた介護と仕事の両立支援を推進する」と明記された。
同省が3月に発表した推計では、仕事をしながら家族等の介護に従事する「ビジネスケアラー」は2030年時点で318万人。これによる経済損失は年間で約9兆1,792億円にのぼる。
ヘルスケア産業課の水口怜斉課長補佐は「介護離職は以前から話題に上がっていたが、同時に着目すべきは、働き続ける場合の労働生産性低下。経済損失は8兆円を占める」と説明。
税収や社会保険料収入の減少、ひいては社会保障等施策への影響も大きく、無視できない喫緊の課題だと話す。
取組のうち「介護保険外サービスの振興」については▽家事 ▽移動、買い物支援 ▽各種契約・手続き ▽会話・交流――などの日常生活支援サービスを開発・情報・信頼・費用面からそれぞれアプローチする。
特に情報・信頼に関して水口氏は、「信頼性を確保するしくみを確立していくことが重要。過去の調査でも、介護者の4割が『保険外サービスを利用してみたい』と回答している。情報が届いていないことが課題。市場参画が進めば価格の適正化もはかられる」と説明する。
また、「仕事と介護の両立支援」では、年度内に企業向けガイドラインを整理する方針。
加えて、健康経営の評価項目へ育児・介護との両立に係る項目を追加する。
水口氏は「介護のリテラシー向上や組織内、特に上司の理解促進をはかり、社員に家族介護等のリスクがどの程度あるか把握する必要がある。介護休業等の制度を整備することに加え、『介護をしながら働き続けられる組織づくり』が重要。こうした人的資本への取組は市場でも評価されていってほしい」と述べる。
ハウス食品グループは2020年より、全従業員へ介護リテラシーを高めるためのオンラインプログラムを提供している。リクシス(東京都港区、佐々木裕子社長)の支援システム「LCAT」を導入。
約70の質問から介護への準備状況をアセスメントし、家族等の介護が必要になった場合、必要な準備(休業)日数を算出する。
「最頻値は50日だが、介護リテラシーを高めることで理論上は4日まで減らすことができる」とリクシスの酒井穣副社長。LCATではアセスメント結果に基づき、社員個々に必要な学習プログラムを提供する。
酒井氏によると、ビジネスケアラーの8割以上は「仕事を頑張って続けたい」との意向がある一方、相談を受けた管理職の3割以上は、よかれと思い他の社員に仕事を回す傾向が強く、これが労働生産性を低下させる一因とのこと。「医療と同じように介護もプロがいる。介護のために休むのではなく、仕事に集中できる環境をどう整えるかが、本人・企業に求められる」。
<シルバー産業新聞 2023年7月10日号>
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