職場を超えてさまざまな介護事業者の職員が集う連絡会。東京の目黒では、事業者同士だけでなく、利用者の家族を招待して行っていました。
よりよい介護をするために、事業者と利用者家族、お互いが本音を語り自由に意見を出し合う勉強会です。今回は、その「通所・リハビリ分科会」に編集部が潜入!みなさんの今後の仕事にも役立つコメントが双方からどんどん出されています。ぜひ参考にしてください!
※以下、家=利用者の家族、デ=デイサービス職員
はじめての場所になじめない高齢者は多い
勉強会の様子
家1 デイサービス、「行きたくない!」という利用者がいますね。うちはすんなり行ったほうだと思いますが、それでも最初は抵抗があったようです。どうやって慣れてもらっているのですか?
デ1 うちにもいらっしゃいますよ。毎回、お迎えに行くと「行きたくない」とおっしゃる方。なんとかお連れてしても、ずっと孤立してしまっていて……。
デ2 もともと人見知りな方もいらっしゃいますしね。
デ3 利用者さんの気持ちになってみれば、80歳を過ぎて、新しい集団にポンと入って「すぐになじみなさい」と言うほうが、ね(笑)? キツイですよ、それ。
家2 なじみの人とか知った顔がいれば、また違うんでしょうけれどね。
デ3 以前、ケアマネジャーさんに、「新しい環境になかなかなじめそうもない方がいるんだけれど、そちらを利用する前に、スタッフが自宅に顔見せに行ってくれないか」と頼まれたことがあったんです。えーっ、そこまでする!?と思ったけれど(笑)、お会いしてみたら、やはり、かなり人見知りな方で。笑顔で1時間近くお話して、「いらっしゃるときに、入口で私が待っていますから。絶対私、いますから来てくださいね」って約束して。当日の朝は、お約束どおり、待ち構えて「お待ちしてましたぁ!」ってやったんです。それだけで、だいぶほぐれてくださって。
デ4 そういう「迎え入れる気持ち」って大事ですよね。きっとその利用者さん、ほっとされたことでしょう。
ちょっとした工夫で、楽しめるきっかけが
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家3 うちの夫の場合は、迎えに来てくれても、逃げてしまって。私が送迎のバスに同乗しないといやだ、みたいなことを言い始めて困りました。
デ1 基本、利用者さん以外の方をバスに乗せてはいけないことになっているんですよ。
家3 あ、そうなんですか……。
デ1 でも、しかたなく、ごく短時間お乗せすることがあります。あらかじめ、奥様と口裏を合わせておいて、乗ってすぐに「あ、お財布を忘れちゃった、パパ、先に行ってて。私、あとで追いかけるわ」みたいに演技をしてもらいまして(笑)、それでお乗せしてしまえば、なんとかなる、というような(笑)。だましているみたいで申し訳ないんですけれど。
デ4 だます、というと人聞きが悪いですが、きっかけをつかんでいただくためのステップですよね。そうやって、一度来ていただければ、だんだんなじんでくださる。
デ2 男性の利用者さんなどは、折り紙や手芸、体操がイヤ、という方が多いですね。おひとり、将棋が好きだというので、ほかの利用者さんとやっていただいているのですが、「強いヤツがいないから、つまらない、帰りたい」となってしまう……。困っています。
デ4 「じゃ、ほかの人に教えてあげてくれませんか?」と頼んでみたらどうでしょう? ちょっと自慢できるような役割が持てれば、案外、やりがいを感じて来たくなるかも。
家2 将棋がそんなに好きなら、デイサービスじゃなくて、将棋クラブみたいなところに行ったほうがいいのかもしれませんね?
デ3 そうですね。もちろん、ご家族や将棋クラブの協力が必要ですけれどね。「なにがなんでもデイサービスに行かせる!」なんて意気込まないで、もう少し柔軟に、広く考えることも必要かもしれませんね。
デ5 今、通っているデイが少し合わない……、というのなら、ほかのところに見学に行ってみるのも、ひとつの手です。まあ、うちのビジネスにはダメージですけれど(笑)、利用者さん本位にならなければ。ご本人が一番楽しく過ごせる方法を、みんなで考えていける環境を作りたいですよね!
*東京の目黒で行われた勉強会の発言をもとに、編集部がまとめています。なお、発言の内容は、あくまで参加者の個人的な見解です。ご了承ください。
次回はデイサービスの職員のキャリアや年齢についてディスカッションします。