毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「ヘルパーが気づいた“一人の方が気楽”のウソ」という話題について紹介します。
結婚したくない30代・女性ヘルパー
日々、触れ合う人を通じてさまざまなことを学べるのが「介護」という仕事の魅力。いろいろな利用者や同僚・先輩などの姿を見て、それを仕事、プライベートに関わらず、自らの成長の糧にできればベストだろう。
現在、都内で訪問ヘルパーとして働く30代の女性・ハセガワさんは、ある利用者の姿を見て、自らの“間違い”に気付かされたという。
ハセガワさんは高校を卒業後、さまざまな職業を経て訪問ヘルパーになった女性。
仕事がいろいろと変わったものの、「結婚よりも仕事」という人生プランは揺るがなかった彼女は、「1人の方が気楽」と、おひとりさま生活を満喫してきた。
そんなハセガワさんが担当している利用者の中には、1度も結婚歴のないお年寄りが何人もいた。
そういった人は、ハセガワさんが結婚する気がないことを知ると、口々に「他人と暮らすなんて考えられないよね」「1人が一番気楽だ」「家で誰かに気を使うことなんて一切ないんだから」など、独身の素晴らしさを説き、ハセガワさんもそれに満足していた。
ハセガワさんは言う。
「私は結婚する気がまるでなかったので、最初のうちは『そうですよね~』『はい、全然結婚するつもりはないです』なんて、喜んでそういった話に相槌を打っていました。
18歳の時から一人暮らしをしているので、そこに誰かが加わることなど考えられなかったんです」
否定的な共通点があると、会話というものはいつも以上に盛り上がるもの。
当初は「独身が最高!」という確信をますます強めていったハセガワさんだが、ヘルパー歴が長くなるにつれて、あることに気づいたのだという。
結婚歴のない利用者と接して気づいたこと
「独身の利用者で『1人が最高』みたいなことを言う人ほど、私がお邪魔するとスゴい勢いで話しかけてくるんです。
おしゃべりをしたがるということは、私のことを気に入ってくれているということなので、もちろん嬉しいんですが、仕事が進まないほどしゃべりかけてくる人もいて、『あれ? この人たちは1人が一番好きなのではないの……?』と。
そういう姿を見ていたら、『1人が一番』っていうのは、そういうふうに自分を言い聞かせてるだけで、やっぱり人間って1人じゃ生きていけないんだなって思ったんです。
とりわけ年を取ると、きっと1人じゃ寂しいんですよね」
そう悟ったハセガワさんに今のところ結婚の予定はないものの、「結婚してもいいかな」という気持ちは芽生えたのだそう。
ただし、この話しを結婚したくないという同年代に言うと、みな口を揃えて「自分は結婚なんてしない!」と否定するそうで、その結果がどうなるか、ハセガワさんは今から楽しみにしているそうだ。