◆特別養護老人ホーム(介護職)→デイサービス(施設長)→訪問介護事業所(サービス提供責任者)
O・Rさん(女性・35歳)
経歴詳細
●特別養護老人ホーム(勤務期間:5年/月収手取り約20万円・ボーナス約45万円)
●飲食店(勤務期間:2年)
●障害児支援(勤務期間:4年/月収手取り約27万円)
●デイサービス(勤務期間:4年/月収手取り約28万円・ボーナス約28万円)
→訪問介護事業所(サービス付き高齢者向け住宅に併設)へ異動(勤務期間:1年/月収手取り約30万円・ボーナス約60万円)
保有資格:介護福祉士、准看護師
家族構成:独身
*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【介護職に再就職】はじめてのデイサービスで施設長に!
未経験の「施設長」の役職に悪戦苦闘
転職した会社では、採用面接のときに会社の理念と私の理想がうまくマッチしたためか、最初に勤めた特別養護老人ホーム(特養)でリーダーを務めていた経験を買ってくれたためか、最初から
デイサービスの施設長のポジションをいただきました。
デイサービスでの勤務経験はまったくなかったので、職場環境やサービスのしくみ、利用者さんへの接し方などを学びながらの勤務でした。
長年ここのデイサービスで勤務してきた年配の介職職の人たちには、「何も知らないのに施設長だなんて」と、さんざん非難されました
たしかに、彼女たちから見れば、私は目の上のたんこぶみたいな存在だったかもしれません。
そんな態度に腹が立ちそうになりましたが、途中から「自分が折れていかないといけないんだ」と気づき、どんなときも「そうですね」「ありがとう」と受容と感謝の態度を示すように心がけました。
そうして、ようやくいい人間関係を築くことができました。
「よりよいデイサービス」を目指して、多世代交流をスタート
デイサービスでは、他のスタッフと一緒に利用者さんの出迎え、食事や入浴や排せつの介助、見送りなどをするほか、施設長としてスタッフの仕事の割り振りや本部との事務連絡、事業所としての方針づくりなどの仕事が同時にありました。
おとまりデイも運営していたので、夜勤も担当しました。
当初は仕事内容を覚えて一通りの仕事をこなすだけで精一杯でしたが、やがて近くで運営している保育園と連携をとって園児に遊びに来てもらうなど、採用面接のときに話していた多世代交流なども開始しました。
夢中で仕事を覚え、「よりよいデイサービス」を追求しているうちに、年月が過ぎていきました。
【訪問介護への異動】ヘルパーからサービス提供責任者に昇進
デイサービスで施設長として働き始めてから4年後、会社の方針でこのデイサービスを閉じ、新しくサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を運営することになったのです。
私はそのサ高住を担当する
訪問介護事業所に配属となりました。
デイの次は、訪問介護。また新しい仕事場です。
はじめは在宅ヘルパーの仕事に就き、訪問介護の仕事を覚えた頃、サービス提供責任者(サ責)として働くことになりました。
【現在の仕事内容】サ高住専属の訪問介護事業とは
サ高住は、高齢者が住みやすい構造になっていて、食事や見守りのサービスがついている住宅です。
介護保険サービスを利用することができますが、デイサービスや訪問介護などの在宅サービスは、住宅の利用とは別にサービス契約をしてもらい、サービス提供することになります。
私が異動したのは、サ高住の利用者さんだけに向けた訪問介護サービスを提供する事業所。
サ高住の内部に設置されていて、利用者さんのニーズに応じて部屋を訪問し、生活支援や身体介護を行っています。
当初は正社員としてこの訪問介護事業所に配属されました。
このサ高住は全42室、45人が住んでいます。
もともと他の法人が経営していた施設を買い取った形なので、訪問介護事業所も以前からあり、ここのヘルパーさんはベテランぞろいでした。
デイサービスのときと同様、
以前から頑張って働いてきたスタッフを尊重しながら人間関係を築くことが、まず重要でした。
そのうえでサ責としてスタッフの仕事の割り振りや仕事内容を決めてお願いするのです。
ヘルパーとして新人なのにもかかわらず、上に立つのですから、先輩ヘルパーさんの仕事ぶりを尊重し、共に学びながら仕事を進めていきたいと思っています。
【1日の仕事の流れ】ヘルパーもサ責も仕事は日勤のみ
今働いている訪問介護事業所は、サ高住内に設置されていて、担当しているのはサ高住の利用者さんのみです。
サ高住への訪問介護は日中だけで、夜の見守りはサ高住の別部門のスタッフが担当するので、ここの訪問介護事業所の職員に夜間勤務はありません。
ヘルパーのシフトは早番と日勤の2種類で、サ責も同様です。
日勤で働いている日の1日のスケジュールは、おおむね以下のような感じです。
8:30 出勤。夜勤の見守り担当者の連絡ノートを見るなど、夜間に利用者さんの変化がなかったかをチェックする。
8:50 見守り担当者からの申し送りを聞く。心配なことがあれば事細かに報告してもらい、自分からも質問し、あとで利用者さんの部屋を訪問してみようと決める。
9:00~ 利用者さんの部屋を訪問し、問題がなければ事務所に戻って訪問介護計画書を作成する。数もそれなりに多いので、パソコンの前であっという間に2時間以上が過ぎる。ケアプランに合致しているかどうかの評価を自分なりにし、疑問があればケアマネジャーに連絡し、相談する。
11:30~ 昼食の準備の手伝い。利用者さんが食堂ホールに集まって昼食をとるので、このときに安否確認も兼ねる。利用者さんの食事のとり方なども見て、健康状態もチェック。
12:00~ 食事と休憩。食事は食堂で利用者さんが食べるものと同じものをとる。食事の量やかたさなどを確認するためにも重要。また、毎食食べることで、調理スタッフへのねぎらいの言葉にも説得力が出る。休憩時間はしっかり取り、午後の仕事に臨む。
13:00~ 引き続き訪問介護計画の作成。事務所では、ヘルパーさんたちとも積極的にコミュニケーションを取るようにしている。最近困っていることはないかなど、きめ細かく聞いていくと、課題が見えてくる。介護保険では受けられないサービスを希望している方がいれば自費のサービスの利用も検討してもらうことになるので、費用が高くならないように設定しつつ、利用者さん宅を訪問・説明に行くこともある。
16:00~ 利用者さんの中には、外部の居宅介護支援事業所を使っている方もいるので、外部のケアマネジャーさんとの打ち合わせのため、外出。
18:00 勤務終了。基本的に残業なしで帰宅。これまでの会社では、残業をするのが当たり前で、自分が十分に納得できるまで仕事場にいる、という働き方をしてきたが、全社をあげて仕事の効率化を図っているので、残業せずに仕事を片付ける習慣をつけることが必要になる。
【サ高住でのやりがい】自由に過ごす利用者さんの姿を見るのがうれしい
サ高住は特養などと違って、高齢者が自分の住まいで自分らしく過ごす、というスタンスの施設です。
それだけに、利用者さんは自由にいきいきと生活している印象があります。
外出も自由なので、ときどき迷子になってしまう方がいて心配なのですが、外出から戻ってきてお話いただける内容も楽しく、充実した時間を過ごしてきたのだな、とこちらまでうれしくなります。
夕方には、「食堂で一緒にコーヒーを飲もうよ、俺がおごるよ」などと、利用者さんからデートに誘われることもあります(笑)。
これもまたうれしいです。
おごってもらうわけにはいかないので、おごりはやんわり断りますが、テーブルで向かい合って話したり笑ったりできるのがうれしいですし、それがサ高住の良さだと思っています。
【資格】准看護師の資格の重要性
介護だけでなく、医療にも長けた専門職になりたくて取得した准看護師の資格。
介護現場の作業で准看護師の資格が直接必要になることはまずないですが、サ高住での仕事で、当時身につけた知識や技術がとても役立っています。
利用者さんのサービス評価をするとき、医学的な視点からも考えることができたり、次の計画を立てるとき、ケアプランを医学的に分析することもできたりもします。
訪問診療でサ高住に来てくださるドクターや看護師さんと、利用者さんについて話すときも、相手の意図がよく理解でき、介護との連携もとりやすくなります。
資格を取得できたことが自信になる、という面もありますが、医学の勉強をしたこと自体が、自分にとって重要な体験と知識の集積になっていると思います。
【処遇】正社員・正職員の雇用形態は、安心して働ける
デイサービスで施設長をしていたときは、施設長手当も含めて月収は約28万円で、ボーナスは1カ月分。もちろん、健康保険や年金、労災などはきちんとついていて、安心でした。
今はサ責としての手当ても含めて月収は約30万円。ボーナスも2カ月分もらっています。
求人広告などと比較してみても、まあまあの水準ではないでしょうか。
考えてみれば、個人契約で障害のある女の子を支援していたときは、手取りの月収が約27万円でしたが、そこから国民健康保険や国民年金を支払っていたので4~5万円程度かかります。
社会保険や厚生年金では企業側の補助もあり、払うお金も少ないですし、社員だと労災などもあり、いざという時も安心なので、やはり正社員や契約社員で働いたほうがいいと実感しました。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
最終回の次回は、転職を決めたときのポイントや、将来に向けての展望などを語っていただきます。
次回「良い介護のため「多世代交流」「休みの使い方」を大切に~転職体験Oさん4」は、7月31日に公開予定です。
*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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