介護業界でがんばる人たちの転職体験をお届けするこのコーナー。
グループホームから研修企画の仕事へ転職したR・Tさんの体験談を、全4回の連載で掲載します。
第1回では、児童福祉に興味があったRさんが高齢者介護の仕事を始めたいきさつをお聞きしました。
◆グループホーム(介護職→ユニットリーダー)→介護・福祉関係企業(研修企画)
R・Tさん(女性・26歳)
介護業界での経歴詳細
●グループホーム(勤務期間:3年/月給約20万円(夜勤手当含む)+ボーナス約1.5カ月分)
●介護・福祉関係企業(勤務期間:6カ月/月給約27万円+ボーナス約4カ月分)
保有資格:介護福祉士、社会福祉士
家族構成:夫と二人暮らし
【介護福祉業界へ入ったきっかけ】子どもたちを支援したい
憧れの資格は留学必須で断念。その代わりに福祉分野の大学に入学
介護の仕事に就いたのは、なんとなくというか、何かに導かれたような感じでした。
特に介護業界を目指したわけでもないのに、気づいたらここに着地していた、というような。
高校時代に、チャイルド・ライフ・スペシャリストという職業を知ったんです。
病院などに長く入院している子どもたちに、遊びや自己表現、感情表出を促したり、手術などの医療体験に対して心の準備のサポートをしたりする専門職です。
ああ、この資格をとって、子どもたちを支援する仕事をしたいな、と思ったのですが、この資格は国家資格ではなく、協会が認める認定資格。しかも、日本には必要な専門課程を学べる学校がなかったので、アメリカ留学が必要でした。
私は3人姉妹の長女で、私にばかり教育にお金をかけられないのもわかっていたので、この資格を得ることは断念。
親が希望する国立大学の教育学部を本命にし、滑り止めで私立大学の福祉の学部を受けようということになりました。
ところが、国立大学の受験には失敗してしまい、結局、私立大学の福祉の学部へ通うことにしました。
もともと子どもたちの支援がしたくて福祉分野にも興味があったので、それはそれでいいや、と思っていました。
実習で行ったデイサービスで感じた「もどかしさ」
大学在学中は、児童養護施設でボランティア活動をしていました。
大学の実習の授業では、高齢者の介護施設に行くことになっていて、私は同じ法人が運営する地域包括支援センターとデイサービスに実習に行きました。
地域包括支援センターでは、社会福祉士資格を持つ職員さんに実習担当になってもらい、在宅の方のお宅を訪問したり、精神病院を退院する方の在宅支援の過程を見させてもらったり。幅広い経験をさせてもらいました。
でも、かならずしもそのときに、介護という仕事に好印象を持ったわけでもなかったんです。
介護職の人はみんな忙しそうで、デイサービスでも利用者さんとゆっくり話す暇がないんだな、という印象でした。
利用者さんのほうも、「あの人たち、忙しいから」と遠慮していました。
そこで、実習生の私は、利用者さんの横にすわって、あれこれお話を聞くように。
利用者さんも、暇そうな若い人がいれば、おしゃべりを楽しんでくれました。
「介護って、トイレの介助とか入浴の介助とかだけでなくて、こうやって利用者さんの横でのんびりと話を聞くことも大事なんじゃないかな」と気づきました。
けれど、いくら利用者さんに近い存在になろうと思っても、実習生には限界がありました。
信頼してくれて、「あんたにお風呂に入れてもらいたい」と言われても、私のような立場の私には資格もなく、入浴介助はできません。
もどかしく思いながらも、実習を終えました。
【介護業界への就職】利用者さんと身近に接するグループホームへ
介護について、広い視野で見られる会社で働きたい
大学を卒業して、いざ就職というとき、介護施設も視野に入れていましたがどこに行くべきかわかっていませんでした。
でも、実習であちこちの施設に行った中で感じたのは、社会福祉法人のような非営利法人では、新しいことがしにくいのかな、ということでした。
せっかく働くなら、株式会社のような一般企業で、比較的新しく介護業界に参入してきたような、多角的にさまざまな事業を展開してきたところのほうが、介護の世界だけにとどまらず、広い視野で仕事をしているのではないかと思ったのです。
母に相談すると、「働くなら業界最大手へ」と言われました。
でも、私は、規模の大きい会社に勤めることには、なんとなく惹かれない、イメージがわかないという印象でした。
また、最大手の企業は、新入社員が200人も入るのです。そんなに多いと、同期の全員の顔がわからない。そして、事業は有料老人ホームの運営が主体でした。
大手の会社の有料老人ホームでは、ある程度生活に余裕のある方々に、そつのないサービスを提供する、というイメージがあったんです。
高齢者介護も保育も住宅も!多くの事業を展開する会社に就職
それより、利用者さんと身近に話せるグループホームに勤めたほうが楽しいのではないか、と直感的に感じました。
母の期待を裏切るようでしたが、最大手ではなく、もう少し規模の小さい、グループホーム主体に運営する企業に就職を決めました。
そこは、高齢者対象の施設だけでなく、保育所の展開もしていますし、住宅関連、建築、出版と、さまざまな事業を展開しているところも魅力でした。
【介護職デビュー】希望通りにグループホームに配属
入社した企業の介護部門には、グループホームだけでなく、デイサービスやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)もありました。
デイサービスやサ高住では、利用者さんの送迎も業務の一環だったので、運転免許を持っている人が求められているようでした。
私は運転免許を持っていなかったこともあり、希望通りグループホームの配属となりました。
家は北関東で、職場は東京の東部。夜勤もあるし、通うのはとうてい無理なので、職場に近い社員寮に住むことにしました。
【資格取得】入社前に介護職員初任者研修を取得!
大学では、ソーシャルワーカーなどが取得することが多い社会福祉士資格の受験ができる要件はそろっていました。
社会福祉士資格を持っていると、役所や地域包括支援センターなどで相談員をすることになったときにも役立ちます。
そこで、卒業する間際の1月の終わりに受験したのですが、不合格。
試験の範囲が広く、難易度が高い試験で、学生が受けてもなかなか受からないとも言われる資格です。
むしろ、介護の業務に携わってから受験したほうが受かりやすいと慰められました。
しかし、身体介護をするには介護職員初任者研修が必要です。
会社からも入社前に介護職員初任者研修を取得するように言われました。大学に通いながら2カ月ほどで取得し、介護職員初任者研修を終えて入社を迎えました。
社会福祉士資格は、入社後2年目に取得しました。
仕事をしながら勉強するのは大変でしたが、やはり取得してよかったと思っています。
【はじめての介護現場】「初任者研修と違う?」介護現場での違和感
配属先は、下町にあるグループホームでした。
すでにオープンから4年ほどたっていて、そこの雰囲気はできあがっている感じでした。
施設長の下に、正職員が1人。
ほかは全員パート勤務の私の母ぐらいの年齢の女性。よくあるパターンでした。
私は新人ですし、現場の仕事には不慣れなので、みなさんに教えていただく立場です。
けれど、教えてもらう内容が「これでいいのかな?ご本人や家族は本当にそう思っているのかな?」と思うようなこともありました。
それに、なんとなく人間関係がぎくしゃくしているようで雰囲気があまりよくありませんでした。
みんなが仲良く助け合う感じが足りなくて、不安を感じたのです。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
次回は、介護現場で働き始めて疑問を感じ始めたRさんのホンネをお伝えします。
次回「介護職3年目でリーダーに!新人リーダーの苦悩とは?~転職体験Rさん2」は、2月26日に公開予定です。
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