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2020年07月22日

介護が好きな私が選んだ道は、介護職でもケアマネでもなく「人材教育」~転職体験Uさん3 | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

施設長のケア方針に共感できず、グループホームでの仕事が辛くなったUさんの転職体験談。
介護が好きなのに「人間関係」に悩んで辞職を決めたUさんが転職先に選んだのは、「人間関係」を改善するための仕事?!



◆介護人材教育 講師・デイサービス 介護職・登録ヘルパー→居宅ケアマネジャー→介護職員初任者研修 講師

U・Mさん(女性・50歳)
介護業界での経歴詳細
●特別養護老人ホーム(介護職・正社員)(勤務期間:5年3か月/月収約25万円+ボーナス約5か月分)
●療養型病院(介護職・パート)(勤務期間:2年/月収約18万円+ボーナス約1か月分)
●訪問介護事業所(介護職・パート)(勤務期間:4年/時給約1,000円)
●グループホーム(計画作成担当者・パート)(勤務期間:6年/時給約1,300円)
●介護人材教育(講師)、デイサービス(介護職・パート)、訪問介護事業所(登録ヘルパー)(勤務期間:5年/月収約13万円)
●居宅介護支援事業所(ケアマネジャー・正社員)(勤務期間:2年/月収約23万円+ボーナス約1か月分)
●介護教育研修(講師・正社員)(勤務期間:1年/月収約30万円)


介護職以外の仕事:事務職員、宝飾店技術者、飲食店店員など
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員
家族構成:夫、長男(17歳)、長女(15歳)

*U・Mさんの「転職体験談」
第1回:初めての介護職。特養で辛かったのは主任からの言葉
第2回:調理も生活も自由なグループホーム。自立支援の介護は楽しい!

【4回目の転職】人材教育、デイサービス、訪問介護事業所をかけもち

自分が悩んだ「人間関係」を改善するための研修をスタート!

ひとところに腰を据えて働きたい、認知症の利用者さんとしっかりと向き合い、その方のやりたいことを支援する仕事がしたい。

その思いを掲げて取り組んできたものの、グループホームで挫折して、人間関係にも少し疲れました。
人間関係にわずらわされず、介護の仕事に取り組みたい。
そんな思いを重ね、仕事のしかたを再考することにしました。

まずは、かねてからやりたかった「介護人材教育」を自らスタートさせました。
介護業界では、ストレスが原因で退職する人がたくさんいます。
私も多少なりとも経験をしました。

そこで、メンタルヘルスやストレスケアのセミナーを実施する会社を立ち上げました。介護施設から依頼を受けて職員向けのセミナーを開催することが主な事業です。
ただ、始めたばかりですぐには軌道に乗らなかったので、近くに新しくオープンしたデイサービスで現場の介護職としても働きました。
また、週に1回は訪問介護の登録ヘルパーとして働きました。

将来、もしかしたら認知症の専門家として独立するかもしれない。
そんな夢を叶えるためにもお金を貯めておきたかったですし、自分が勉強するための資金も確保したかったのです。
3つの仕事を掛け持ちし、月に12~13万円の収入を得ていました。

ケアマネ資格を活かしていない自分へのとまどい

この期間は、人間関係にも煩わされず、自分らしく生活や仕事ができていたと思います。
子どもも中学生になり、ずいぶんと手が離れていたので、仕事に集中できていました。

ずっとこのままでも悪くないかもしれない。
そう思っていましたが、ひとつだけひっかかっていました。

ケアマネジャーの資格を得たのに、居宅介護支援事業所のケアマネジャーとして、一度も働いたことがなかったのです。
デイサービスで利用者さんと、そんな話を軽くしていたら、利用者さんに、いきなり「それでいいの?」と言われました。
えっ?と、びっくりしました。
軽い雑談のつもりで、「ケアマネの資格を取ったけれど、ケアマネとして働いたことがない」と言っただけなのに。
その方は認知症で、私の話をどの程度まで理解して言ったのかもわからないのに。
でも、だからこそ、はっとさせられました。

このままケアマネジャーを経験しないで介護職を続けていくのか。
せっかく取得した資格を活かして働かないのか。
自問自答を繰り返し、やはり居宅介護支援事業所に所属し、ケアマネジャーとしての技術と経験を身につけようと思いました。


【資格を活かすための転職】心機一転、転職サイトで転職先を探す日々

これまでの就職・転職は、家の近所で募集を見つけたり、友達から紹介してもらったりと、就職活動・転職活動というほどのことをしたことがありませんでした。
しかし、今度はきちんと転職活動をしようと思いました。

というのも、自分で始めた介護人材教育の仕事はもちろん自分らしくできましたし、訪問介護は登録ヘルパーだったので時間の配分も比較的自由でした。
そしてデイサービスはとても居心地がよく、このまま3足のわらじをはきながら、のんびりやっていくのが楽チンでいいとなれば、ヌクヌクとしてしまうと思ったのです。

そしてやはり認知症の利用者さんの一言が心に響きました。
ケアマネをやっぱりやってみようかな、と思っていた矢先のこと、別の利用者さんが私にしっかりと向き直って言ったのです。
「あなたにはあなたの人生がある。ここに居る必要はないよ」

利用者さんが待っているから。私がここからいなくなったら仕事が回らないから。
そんないいわけをして、ケアマネの仕事にチャレンジしてこなかった自分を、静かに戒めてくれたような気がしたのです。
だから、あえて退路を断つためにも訪問介護事業所にもデイサービスにもはっきりと「やめます」と伝え、退職しました。

本当に認知症の人の言葉は強い。
「何もわからない人」なんていうことは、絶対にない。
私はいつもこの人たちに人生を占ってもらってきたようにも思えます。


【5回目の転職】居宅ケアマネとして転職!必死で仕事を覚える毎日

介護専門の転職サイトで見つけたのは、地域包括支援センターも担う居宅介護支援事業所でした。
これまでの現場中心の業務とはまったく違うケアマネジャーの仕事。
事務処理も多く、最初はかなり手間取りました。

ただ、ケアマネジャーは4人。
初めての仕事には戸惑いましたが、先輩たちの仕事ぶりも見えたので、いろいろ教えてもらえる環境もありがたかった。
必死で仕事に取り組んでいるうちに、業務の流れがわかり、仕事がどんどん楽しくなってきました。
担当の利用者さんもいつの間にか35人に。
利用者さんのご自宅に伺い、ご本人や家族にモニタリングすることの大切さ、そしてそれをもとに計画する難しさと喜びを味わえるようになってきました。


【最後の転職のきっかけ】現場の介護職を支えたい!人材教育の道へ

利用者さん家族から自治体にクレームが

しかし、ひとつの事件が私の転機になりました。

当時担当していた、70代の男性利用者さん。
認知症の症状があったのに、家族は認知症と認めたくない様子。
きちんと病院で診断を受けたほうがいいと思い、進言したのですが、なかなか承諾してもらえず、どんどん認知症が進行してしまっている状態でした。

ようやく家族が受け入れたものの、今度は「大きい病院でないと」と言い始め、なかなか予約が取れない……。
人は長い時間ためらっていたことも、一度決心をつけるとすぐに進めたくなるものです。
大きな病院の予約が取れないとなったら、家族が自分で病院を見つけてきました。
しかしまた待たされて……。
このあたりから「ケアマネのアドバイスがよくない」などと、不満が募ってきたのです。

今思えば、経験不足の自分がすべてひとりで解決しようとしていたのが間違っていた。
先輩たちに助けを求めて、難しい利用者さん家族と、チームで向き合う方法もありました。
しかし、私の対応がうまくできなかったことに腹を立てて、家族は自治体にクレームを訴えたのです。
このクレームがきっかけとなって、私は事業所を退職することになりました。

介護の仕事が好きだから、現場の介護職を支えたい

ケアマネジャーの仕事の難しさはここにあるのだとつくづく思いました。
現場では、利用者さんとストレートに向き合える。
でも、ケアマネジャーは、本人とも向き合うし、家族とも向き合う必要がある。
その中で最善の方法を地域の資源から探し出し、結びつけ、不満を抽出してもらい、また修正し……。細かい調整をしながら、よりよい計画で支援をしていく。
その結果も大事ですが、過程も非常に大事なのです。

失意の中で、でも私は介護の仕事を続けたいと思っていました。
地域の他職種連携中心のケアマネジャーではなく、現場を目指す人たちによりよいケアを身につけてもらう介護人材教育に軸足を置こうと思い直しました。


【最後の転職】SNSの求人広告での運命の出会い

そして、ふとSNSを見ているときに、介護職員初任者研修や実務者研修を中心に行うある事業所が、職員を募集しているのを見つけたのです。
SNSの広告は、他の人には表示されないことも多いし、次にSNSを開いたときにもう一度同じ広告が出てくるかどうかはわからない。

一期一会だと思うと、「これは逃せない!」と思いました。
しかも、よく見ると、事業所の専務は外部セミナーで見かけた人でした。
急いで電話をすると、専務も私のことを知ってくれていたのです。
「あれ、Uさんじゃない。介護の研修に興味があるなら、ぜひ面接に来てよ。来るときに履歴書も持ってきてね」という温かい申し出。
もう、ここしかない! という気持ちで履歴書を書き、そして採用してもらいました。


<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>

最終回の次回は、介護人材教育を中心に、法人のデイサービスや訪問介護でも勤務するUさんの現在についてお伝えします。
次回「現場で学んだ認知症ケアのノウハウを広めたい!~転職体験Uさん4」は、7月29日に公開予定です。

*U・Mさんの「転職体験談」
第1回:初めての介護職。特養で辛かったのは主任からの言葉
第2回:調理も生活も自由なグループホーム。自立支援の介護は楽しい!


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