◆有料老人ホーム(介護職)→特別養護老人ホーム(介護職)→有料老人ホーム(ケアマネジャー)→居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)→有料老人ホーム(ケアマネジャー)
O・Jさん(男性・42歳)
●有料老人ホーム(介護職/勤務期間6年/月収約22万円+ボーナス18万円×2)
●特別養護老人ホーム(介護職/勤務期間1年/月収約15万円+ボーナス12万円×2回)
●有料老人ホーム(ケアマネジャー/勤務期間1年/月収約22万円+ボーナス45万円)
●居宅介護支援事業所(ケアマネジャー/勤務期間6年/月収約21万円、ボーナスなし)
●有料老人ホーム(ケアマネジャー/勤務期間6カ月/月収約35万円+ボーナス20万円)
介護職以外の仕事:役者、解体業
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員
家族構成:本人、両親
役者志望からフリーターを経て、介護業界で資格を取得して身を立てようと思い立ち、正職員にこだわって転職を重ねてきたOさん。ケアマネ資格を取ることを目標に努力と経験を重ね、今はほぼ理想通りの収入やポジションを得たというOさんの転職体験談をインタビュー。
第1回の今回は、Oさんが介護の世界に飛び込み、安定した職場で働こうと思ったにもかかわらず、会社の倒産、失業に見舞われた体験をお伝えします。
【介護業界に就職するまで】役者を目指したが挫折
「オレが、オレが」と自己主張する役者の世界が肌に合わない
高校のときから演劇に憧れ、卒業後は役者の世界を目指しました。
劇団の舞台の手伝いをし、下働きをあれこれしながら勉強させてもらう。
そこで見いだされれば舞台に出してもらえるのです。
「いつか、必ず」という希望を胸に2~3年がんばりましたが、挫折しました。
役者になるには自己表現が大事ですし、少しでも舞台関係者に目をかけてもらうためには、営業的なトークも必要ですし、自己顕示欲も必要。
時には仲間を蹴飛ばしても「オレが、オレが」と出て行かないと、結局のところ花開かない。
そんな世界がいやになりました。
それに、舞台に出られなくても、公演のチケットを売るノルマがあって、うまく売れなければ自分で買い取らなくてはいけない。
どれだけがんばっても収入に結びつかず、この先も光を浴びることがないだろうと失望し、役者の道をあきらめることにしました。
フリーターから解体業へ
劇団をやめてからは、フリーターをやっていましたが、もう少し稼ぎたくて解体の仕事を始めました。
体力勝負の仕事ではありましたが、あまり話さなくてもいいし、もともと人見知りの自分にはラクでした。
けれど、粉塵の中、作業をするのですから、体に悪い。ケガもします。
肺を悪くする人や、ケガをして働けなくなる人が多いと聞き、長く続けられる仕事ではないと思い始めました。
先輩にヘルパー2級の取得をすすめられた
このとき、すでに24歳になっていました。
高校を卒業して6年。このままで過ごしていては、社会人としてまずいだろうと痛感し、なんにも身についていない自分に焦りも感じました。
何か資格を持って働ける仕事に就こう。
それなら安定して働けるだろう。
では、どんな仕事を?と思ったときに、介護に出会いました。
地元の先輩に「ヘルパー2級をとれば、
介護士として働ける。その後も国家資格を取ってずっと働いていける」と聞き、「自分も取得しているから取ってみたら?」と言われたのです。
深い考えもなかったですが、自分ならやれるだろうと思いました。
それに、なんといっても「資格」という言葉に惹かれた。
このまま自分に自信もなく、フリーターのようなことばかりしているのはもうやめようと。
それで、さっそく講座をうけて、ヘルパー2級の資格を取得しました。
【はじめての介護の仕事は?】有料老人ホームなら介護について学べそう
ヘルパー2級を取得してすぐ、介護の仕事を探し始めました。
講座を受けたところでも紹介してくれますし、実習に行ったところに就職する人も多かったのですが、自分の実習先はどうにもしっくり来なかった。
訪問入浴だったのですが、利用者さんのことを一生懸命に考えるというのでもなく、「さっさと終わらせてしまえ」というような感じだったし、私のような新人にきちんと教えてあげようという気持ちを持っている人もいなかった。
実習先にそのまま就職しても、しばらくは仲間はずれでポツンとひとりになるだけかもしれないな、と思い、就職先は自分で探そうと思いました。
それに、訪問入浴だけでなく、もっと介護を広く学びたい気持ちがありました。
そこで、介護施設にしぼって仕事先を探したんです。
新規オープンのところだと派閥もないし、若い人が多いと聞いていたので、探してみると、自宅に近い場所に、
有料老人ホームがオープンし、そこで介護職を募集していたのです。
さっそく面接を受けに行くと、あっさり採用されました。
その法人に就職し、6年間勤めることになりました。
【有料老人ホームの雰囲気は?】若いスタッフが多く、和気あいあい、楽しい職場
よく、介護の現場は人間関係が難しいところが多い、と聞きますが、最初に働いた
有料老人ホームはオープニングスタッフばかりだったのもあるのか、すごく人間関係がよかったです。
若いスタッフが多く、若い女性も多かったから、楽しかったですね。
みんな仲がよくて、仕事帰りに何人かで飲みに行くなど、今思えばこれまでで一番人間関係のいい職場だったかもしれません。
役者の頃はみんな競争意識が強く、人を蹴飛ばす雰囲気でしたし、解体業のときは、とにかく「男」な職場で、女性もいなかったですし、殺伐としていましたから。
仕事もみんなで教え合い、成長いていける雰囲気でしたし、私は早い時期にフロアリーダーに任命されて、昇進という意味でも順調でした。
【仕事への不安】このままで大丈夫?人材不足、給料遅れ、ボーナスカット…
リーダーでも仕事内容や給与は変わらない
リーダーになっても、現場職であることは変わりませんでした。
オムツ換え、食事介助、入浴介助……、決められた業務をスムーズにこなすことを基本に、みんなにも指示を出していました。
最初のうちは自分のポジションに新鮮でしたが、いつしか仕事の仕方が「同じことの繰り返し」になっていました。
でも、職場も「それでいい」という雰囲気がありました。
今思えば、もっと改善すべきことはたくさんあり、自分も努力したほうがよかったのですが、危機管理も含め、法人自体があまり介護という仕事に関心がなかったように思います。
ボーナスはなし、給与の支払いも遅れ気味に
入職して5年ほど経った頃、法人の経営がだんだん悪化していきました。
給料の支払いが遅れ気味になる。
ボーナスがまったくなくなる。
職員がなんとなく落ち着かなくなり、「やばいよね」と言いながら辞めていく人が増えて、人が半分くらい入れ替わりました。
当初の和気あいあいとした雰囲気は徐々になくなっていきました。
【転職のきっかけ】まさか会社が倒産!大手の介護法人に経営統合されることに
不安な日々を送っていたある日、ホームを運営している統括担当が説明に来ました。
一切、ネガティブなことを言わなかったですが、要するに「倒産しました」ということを突然知らされたのです。
「我が社の介護部門は非常に順調なので、大手の法人にグループ企業として協力してほしいと言われ、それを承諾することになりました。
多くの場合、経営統合であると、みなさんの給料は減給になるのですが、このような前向きな統合なので、給料は据え置きとします」
突然の話でみんな驚きました。
要するに、法人の他事業であるレストラン事業がうまくいかず、介護事業を手放して資金を得て法人を立て直したいということでした。
我々介護士はその犠牲者になったというわけなのです。
このまま続けていても、社内の雰囲気が良くなるとは思えず、辞めよう、と思いました。
自己都合で辞めるわけではないので、失業手当が1年もらえることになったいて、失業手当で暮らしてやろうと。
勤続6年にして、はじめて退職願いを書きました。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
次回「未経験ケアマネ転職の実態!やる気はあっても、自分が未熟で辛い~転職体験Oさん2」では、介護士からケアマネジャーへ転職したOさんの、業務の実情をお届けします。
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