◆訪問介護事業所(登録ヘルパー)・特別養護老人ホーム(パート)→ショートステイ(特別養護老人ホーム内)(正社員)
O・Rさん(女性・51歳)
介護業界での経歴詳細
●デイサービス(パート)(勤務期間:1年6カ月/月収約10万円)
●介護老人保健施設(パート)(勤務期間:1年/月収約6万円)
●訪問介護事業所(登録ヘルパー)3か所掛け持ち(勤務期間:17年/合計月収約30万円)
●特別養護老人ホーム(パート/夜勤専従)(勤務期間:10年/月収約16万円)
●ショートステイ(正社員)(勤務期間:6カ月/月収約27万円+ボーナス約4カ月分)
保有資格:介護福祉士
家族構成:一人暮らし
*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
1回目、
2回目(前回)はこちら
【転職のきっかけ】登録ヘルパーの不安定さと正社員へのあこがれ
やりがいがあり自分次第でたくさん稼げる「登録ヘルパー」だけど…
母の介護を終え、夫とも離婚をし、それまでより自由になった反面、先々のことを考えるようになりました。
登録ヘルパーとしては収入が高いほうで、周囲の人たちにも「すごい、見習いたい」などと言われていました。
しかし、いくつもの介護事業所に登録し、それぞれで仕事をこなすフリーランスの職人のような働き方は、刺激的ではありますが、不安定でもあります。
若い頃は気にしていませんでしたが、50代になると、国民年金と国民健康保険でこのあとの人生をやっていくことに、不安が募りました。
国民年金では、満額でも年金が6万円程度しかもらえません。
国民健康保険は保険料が高く、生活を圧迫します。
元気であれば、年齢を考えずに働き続けるつもりですが、本当に元気が続くのかもわかりません。
訪問介護は、大雪や強い台風など、よほど天候不良でなければ、仕事に出かけます。
最近では、日本でも豪雨が増えました。
ヘルパーは、そんな日でもカッパを着て自転車をこいで訪問先に向かいます。
年齢を経るごとにそれがつらくなり、「いつまで続けられるだろうか」と、ふと不安がよぎりました。
しかも、私は昼間は訪問介護、夜は特別養護老人ホーム(特養)で夜勤と、めいっぱい仕事を入れていたので、休みは土曜日の夜勤明けだけでした。
体を酷使し続け、そろそろ落ち着きたい、と思うようになりました。
1つの施設・1つの会社に根を下ろして働きたい、と思い始めたのです。
特養のショートステイで正社員デビュー!
そんな折り、知り合いから、「ショートステイ専従」の介護職を募集している特別養護老人ホーム(特養)があると教えてもらいました。
正社員で、月収は27万円。賞与も年間3.8カ月支給されるというのです。
一人で暮らすならこれで十分です。
さっそく面接を受けると、介護現場の経験者ということで、すぐに採用されました。
介護の仕事で初めての正社員採用です。
【ショートステイとは】仕事の特徴とやりがい
利用者さんが短期間だけ滞在する「ショートステイ」
「ショートステイ」とは文字通り、施設に入居していない利用者さんが短期間滞在するサービスです。
在宅介護をしている場合の家族のレスパイトのため、あるいは、冠婚葬祭や旅行のために1泊2日だけ来る、という人もいます。
また、グループホームや特養の入居待ちのために滞在する人もいます。
30日以上の滞在になると、介護報酬が減算となり利用者さんの自己負担になるので、30日をひと区切りとして滞在するケースが多いです。
利用者さんの特徴を短い時間でつかむことが必要
短い滞在だと、その方の特徴を知った上での介護が難しいのが課題です。
持病があるのは情報として知っていても、どの程度なのか、実際のところは見ていないとわかりません。
食欲はあるのか、歩行の状態はどうなのかも、事前情報だけではつかみにくいので、緊張感を持って接する必要があります。
ショートステイ滞在中に発熱したり骨折したりするケースも多いと聞きます。
また、場所に慣れていないために、夜間の睡眠が浅い人、トイレの位置がわからず粗相する人、「帰りたい」と主張する人もいます。
それぞれの方の希望や体調などを、できるだけ短時間でつかみ、安全で健康な生活をしていただくことが大前提です。
家族介護の原動力になっていると実感
ただ、家族の方からは感謝されることが多い仕事です。
「おかげさまで介護から解放されてゆっくり休めました」
「旅行に行き、気分転換ができました」
などとおっしゃり、翌日からの介護にまた頑張って向かっていきます。
家族介護の原動力になると思うと、やりがいを強く感じます。
一方で、利用者さんと接することの難しさも感じます。
施設に来るなり混乱し、泣き叫んだり大声を発したりする方もいます。
息子さんの名前を10分に一度は呼び、「もう来るわよね?」と言う人も。
そんな利用者さんの姿を見ると切なくなりますが、短い時間に少しでも楽しく過ごしてもらえるよう、我々スタッフは心を配ります。
肉体的に大変なのは、清掃です。
1室の利用者がめまぐるしく変わるので、そのたびにきれいに掃除をし、いらないものを片付け、すべて拭き上げて清掃を入念にします。
これを毎日繰り返すので、少し疲れますが、ショートステイに利用者さんが少しでも早くなじんでもらえるようにするのが我々のつとめです。
【ショートステイでの働き方】1日のスケジュールは?
うちの特養でのショートステイ専従スタッフの勤務は、日勤・早番・夜勤のシフトがあります。
今はまだ試用期間ということで、夜勤に入ることはなく、日勤と早番を中心とした勤務です。
日勤での仕事内容・1日のスケジュールはおよそ以下のとおりです。
8:00 出勤。仕事のスタートは8:30からだが、余裕を持って出勤している。
8:30~ 早番や夜勤のスタッフからの申し送り。
ショートステイは利用者がめまぐるしく入れ替わり、だいたい1日4~5人が入所し、退所する。
この日も入所の人が4人いたため、入所者の受け入れ準備が仕事の中心。すでに整えられた部屋をもう一度確認。
9:20~ 送迎の車に同乗して利用者を迎える。送りも迎えも1日2便。
10:30~ 利用者とともにショートステイのフロアへ。荷物のチェックは15分間ですることがきまり。自分で管理できる人もいれば、認知症などで管理が難しい人も。名前のない持ち物などは紛失しやすいので、すべて名前をチェックし、なければ書いておく。
11:00~ 部屋に誘導、体温その他バイタルをチェック。昼食に向けて配膳や準備などを整える。
11:30~ 昼食。はじめて来た利用者さんの食欲や好み、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)の状態はよくわからないので、事故のないように食事時間も見守る。
13:00~ すでに入所している人の入浴介助へ。
14:00~ レクリエーションの時間。遅番が担当するので、自分の担当の利用者を誘導して楽しんでいただく。
15:00~ おやつの準備。
同時に、今日退所する人の荷物のチェックや準備の手伝い。忘れ物があると大変なので、入念にチェックしたいが、時間は15分間と決められている。
15:30~ 退所の人を送る車に同乗、家族にあいさつをする。
送迎車に同乗しない日は、退所した利用者の部屋をすべて拭き上げ、片付けて消毒する。次の利用者のために入念に清掃をする。
16:50~ 事務所に戻って記録を書く。
17:30 退社。原則、現場で働く介護職には残業はなし。
【転職先の待遇】入社後の研修が充実していて安心!
転職先の特養では、採用後1カ月間は研修をし、その後2カ月間は試用期間。
入社して3カ月後に正社員としての採用となります。
初出勤から、仕事の流れを学ぶ研修が始まりました。
この特養を運営する法人はとても経営がしっかりしていて、研修も充実していると、面接の時に聞いた通りでした。
実際に研修を受けてみると、ていねいな内容で、介護業界に始めて入ってきた人でもよくわかる内容でした。
現場に入る前に介護技術や仕事の流れ、法人としての考え方をきちんと教えてもらえると、自信を持ってケアできるのが良いと思います。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
最終回の次回は、現在の仕事の実態や訪問介護と施設介護の働き方の違い、今後の展望について伺います。
次回「訪問ヘルパーと施設職員、働き方や待遇の違いは?~転職体験Oさん4」は、1月15日に公開予定です。
*O・Rさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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