介護業界の転職市場は、求職者に対して求人数の方が多い、いわゆる「売り手市場」と言われますが、その実態は…?介護業界の求人の新型コロナの影響や、職種ごとの採用の傾向について、最新の数値をもとに詳しく解説します。
高齢者介護を取り巻く現状
介護サービスを利用する高齢者が増える一方で、介護人材が不足しているという話題を耳にしたことがあるのではないでしょうか。実際、介護業界が今どのような状況にあるのか、ご紹介していきます。
高齢化の進行
高齢化が進む日本社会は、総人口が減少に転じるなか、
全人口における高齢者の占める割合がどんどん増えています。2025年には65歳以上の高齢者が全人口の30%、さらに2055年には75歳以上の高齢者が25%を超えるとの予想です。
高齢者の増加に合わせて、
要介護・要支援認定者数も増加傾向が拡大。2019年度には669万人となり、19年間で2.6倍に増加しています。
介護のあり方の変化
かつては、子どもが親の面倒を看ることが当たり前でしたが、現在では
介護サービスの利用がかなり一般的になりました。これには医療の発達により、
平均寿命が延びていることが関係しています。介護期間の長期化に伴って、
介護する子ども世代の高齢化も進み、自分たちの手で介護を行うことが難しくなっているのです。
また、
介護保険制度の整備によっても、介護サービスの利用に対するハードルは大幅に下がったといえるでしょう。保障を受けられることで、
金銭的にも精神的にも介護サービスを利用しやすい環境が整いつつあります。
介護業界では人材不足が課題
介護サービスの需要が伸びる一方で、介護業界では常に人材募集がかかっている現状があります。介護業界での人材募集・転職市場にはどんな特徴があるのでしょうか。
人材獲得競争が激しい
どこの介護事業所も人材が足りていないため、
同業他社の間で人材獲得競争が激化しています。国でも介護福祉士や社会福祉士などの資格を取得する費用を補助する形で、事業所の補助をしていますが、
母数が足りない状況は依然として続いています。
≫国による資格取得費用を補助する制度の詳細はこちら≪
離職率が高い
業界や施設の雰囲気に合う人は
スキルアップを重ねながら長く続けられる職業ですが、コミュニケーション能力や臨機応変に対応する力が問われるからこそ、入職しても合わないと感じる人が一定数いるようです。女性が多いこともあり、
結婚や出産に伴う退職も離職率の高さの一つでしょう。
「職場環境の改善」に向けた介護業界の取り組み
介護業界では職員の負担を減らせるよう、少しずつ現場の環境改善を重ねています。ここでは、代表的な二つの対策をご紹介します。
ユニットケアの導入
ユニットケアは近年導入が進む、新しい介護スタイルです。入居者は10人程度のユニット(集団)で生活します。ユニットケアでは、共有スペースのほか、利用者1人ずつ個室が用意されているので、介護するスタッフにとっては、1人1人の生活に合わせたケアやサポートができるというメリットがあります。
IT化の促進
利用者のサポート以外の雑務にかかる手間を省くため、IT化も進められています。利用者の健康状況や行政に提出する書類なども、ペーパーレス化することで管理・共有がしやすくなるので、無駄な業務時間の短縮につながるでしょう。バイタル情報や食事の状況など、すぐに見つけ出せる状態が作られることで、利用者の安全を守ることにもつながります。
「職員の処遇改善」に向けた介護業界の取り組み
介護業界では、職員の処遇や待遇を改善するためにいくつかの対策を行っています。仕事内容に対して正しい評価を受けるために欠かせない三つの対策をご紹介します。
介護福祉士等修学資金貸付事業
介護福祉士養成課程がある専門学校・大学・短大などに通学している学生向けの、資格取得支援制度です。介護福祉士や社会福祉士などの資格取得にかかる資金を無利子で貸し付けします。借りた資金は、卒業後に指定の施設で一定期間仕事をすることで、全額返済免除になるので、実質無料で資格取得が可能。費用面がネックとなって、キャリアアップに欠かせない介護資格の取得を断念してしまう人材を減らすことができます。
離職介護人材再就職準備金貸付事業
過去に介護職として1年以上の実務経験がある人が復職する際、再就職に必要な費用を最大40万円まで貸付する制度です。この時借りたお金は、該当の自治体で2年以上継続して仕事を続ければ全額返済免除になります。結婚や出産で一度は離職した人材が復職する際に大きな助けになるでしょう。
≫「再就職準備金」について詳しく知りたい方はこちら≪
介護職員処遇改善加算
職場環境や職員の処遇を改善した介護事業者に、国から報酬が支払われる制度です。具体的には、仕事内容に応じた賃金体系・昇給制度の整備や、職員に研修の機会を設けることで加算されます。この報酬を職員の賃金に還元することで、さらなる待遇改善が行われるという仕組みです。
≫「処遇改善加算」について詳しく知りたい方はこちら≪
介護業界の採用は「売り手市場」
人材不足感が続く介護業界では、「売り手市場」が続いています。新型コロナウイルス拡大の影響で、解雇された非正規職員や、業績の悪化を見込んで退職した社員も多く、介護業界には、そうした他業界からの転職者も増えています。
有効求人倍率も高く、企業の求人がハローワークに登録している求人よりも現在は多い状況です。有効求人倍率は、毎月厚生労働省が公表していて、雇用状況下から景気判断もできるために、ときおり新聞やニュースに取り上げられます。
他業界から介護業界への転職者が増えたのは、次のような理由が考えられます。
経験や資格の有無以上に、やる気を重視してもらえる
介護業界では良い人材の確保が重要な課題。そのため、未経験者でもチャレンジしやすいよう、資格取得を積極的に支援しています。
未経験からスタートして、資格取得などを通じてキャリアアップがめざせるのも魅力です。
多様な働き方の中から選べる
介護の仕事は、正社員だけでなく、パートや契約社員、派遣社員などの働き方があります。とくにパートで働く人は少なくなく、介護業界にとって重要な戦力。
未経験の人も、まずは短時間の勤務で、サポート的な業務から介護の世界に触れてみるというという、ステップを踏んだ転職が可能です。
他業界の経験も活かせる
たとえば観光業や飲食業などで接客のスキルを磨いてきた人など、介護の仕事に活かせるスキルはたくさんあります。そうした幅広い人材を受け入れてくれるのも、介護業界の魅力の1つです。
≫他業種から介護職に転職した人のきっかけは?「転職体験インタビュー」はこちら≪
介護求人をよく確認して自分に合う職場を見つけよう
介護業界で人材が不足している背景や、人材獲得のために業界が行っている対策についてご紹介しました。少子高齢化に伴って業界全体で人材は不足していますが、売り手市場だからこそのメリットもあります。介護の仕事に少しでも興味があれば、ぜひ一度求人を探してみましょう。
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