障害福祉サービスを提供する事業所で働くと、サービス管理責任者という言葉を耳にする機会があるでしょう。サービス管理責任者とはどのような職種なのでしょうか？この記事では、サービス管理責任者の役割や仕事内容について解説します。
1 サービス管理責任者（サビ管）とは
2 サービス管理責任者（サビ管）の仕事内容
3 サービス管理責任者（サビ管）が働く場所
4 サービス管理責任者（サビ管）に向いている人
5 サービス管理責任者（サビ管）のやりがい
6 サービス管理責任者（サビ管）は仕事の幅が広く、やりがいのある仕事です
サービス管理責任者とは、障害者に対して福祉サービスを提供する事業所で、適切なサービスが提供できるように全体的な管理を行う職種です。
障害福祉サービスを提供する事業所には、以下の基準に応じてサービス管理責任者を配置する義務があります。
■療養介護、生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援
⇒利用者60人に対して1人
■グループホーム ⇒利用者30人に対して1人
サービス管理責任者になるには、以下の実務経験に加えて研修の修了が必要です。
| 実務経験 | １．規定の事業所、施設等で相談支援業務に5年以上従事 ２．規定の事業所、施設等で直接支援業務に8年以上従事 ３．下記いずれかの資格で直接支援業務に5年以上従事 社会福祉主事任用資格/訪問介護員2級以上に相当する資格/保育士/児童指導員任用資格/精神障がい者社会復帰指導員任用資格 ４．国家資格などによる業務に通算3年以上従事しているものが相談支援・直接支援業務に3年以上従事 いずれかの実務経験を満たすことで研修の受講資格が得られる |
| 研修 | サービス管理責任者研修（基礎・実践・更新） |
出典：厚生労働省「サービス管理責任者等研修制度について」
2019年にサービス管理責任者の研修制度が新しくなり、基礎研修と2年間の実務経験（OJT）を終えてから、実践研修を受けることで正式にサービス管理責任者として働けるようになりました。
人材の育成に時間がかかるため、現在は旧体制から新体制への移行期間として「みなし配置」の制度があります。
実務経験要件を満たしており基礎研修を修了していれば、基礎研修の修了日から3年間、サービス管理責任者とみなして配置が可能です。
サービス管理責任者の主な仕事内容は以下の３つです。
ここでは、サービス管理責任者の仕事内容について解説します。
個別支援計画書とは、支援を必要とする利用者さんの障害の程度や日常生活の状況等を評価し、利用者さんが希望する生活や課題等を踏まえて決定した支援計画のことです。
サービス管理責任者は施設の利用者さんやそのご家族と面談し、現在の生活の状況や意向を汲み取ります。そして、支援の目標や課題を見つけ、それを実現するための支援の方針を記載した個別支援計画書の原案を作成します。
原案をもとにサービス提供の担当者などを招集して会議を行い、計画書の内容が決定されるのです。
その後も、サービス管理責任者は定期的に利用者さんやご家族と面談をします。少なくとも6カ月に１度は個別支援計画の見直しを行い、必要に応じて計画を変更します。
個別支援計画書に沿った支援を実施するためには外部の機関との連携が必要です。
サービス管理責任者は、個別支援計画書にもとづいて関係機関に協力を得られるか確認して利用者さんを他の機関に紹介するなど、計画がスムーズに行えるように調整します。
また、サービス管理責任者は事業の顔として地域自立支援協議会に参加したり、施設見学や実習を受け入れたりします。事業所や利用者さんを地域社会につなげるのもサービス管理責任者の役割です。
サービス管理責任者はスタッフのまとめ役として、マネジメントや人材育成も担っています。
具体的には、資格の取得の促進や外部研修会への参加などを通じ、職員の育成・強化を行うのが仕事です。これにより、利用者により質の高いサービスを提供することを目指します。
サービス管理責任者が働く場所には、以下のような種類があります。
ここでは、それぞれの職場の特徴や施設の種類を紹介します。
就労支援サービスは、一般企業等への就労を目指す障害者を支援するサービスです。
就労に必要な知識や能力の向上を目指した訓練や生産活動や職場体験などの機会の提供、就職後の職場定着のために必要な相談などを行います。
就労支援サービスを行っている事業所には以下があります。
就労支援サービスの事業所において、サービス管理責任者は利用者さんとの面談を行って個別支援計画を作成したり、関係各所との連絡・調整を行ったりします。
通所系サービスとは利用者さんが自宅で自立した生活を送れるよう、個人の状態に合わせて提供するサービスのことです。
通所系サービスを提供している事業所には以下があります。
通所系サービスの事業所では短期入所や自立訓練、生活介護と言われるサービスを提供します。
自立訓練には大きく分けて機能訓練と生活訓練の2つがあります。
機能訓練は、身体障害のある方や難病を抱える方に対して、日常生活についての助言やリハビリテーションの支援を行います。生活訓練では知的障害や精神障害のある方に対して、自立した日常生活を送るために必要な入浴や排泄、食事などの支援を行います。
利用者さんが置かれている状況や希望を踏まえ、個別指導計画書を作成するのがサービス管理責任者の仕事です。
生活介護では、利用者さんに対して身体介護や生活援助をします。また、創作活動や社会活動に参加する機会も提供します。
サービス管理責任者は利用者さんが社会活動に参加できるよう、関係機関との連携を図ります。
入所系サービスを提供する事業所には身体や精神に障害がある方が入所します。施設内ではご本人の状態に合わせた支援やリハビリテーションが実施されます。
入所系サービスを提供する事業所は以下の通りです。
上記のうち、療養介護は医療機関で入院生活を送る重度の障害を抱える方が支援対象となります。共同生活援助（グループホーム）や施設入所支援は、身体または精神に障害を抱える方が集団で生活する施設です。
入所系事業所のサービス管理責任者は、創作活動や生産活動に参加する機会を提供するなど入居者ができることを増やせるよう、支援計画を作成します。
サービス管理責任者に向いている人は、リーダーシップがありコミュニケーション能力が高い人です。
サービス管理責任者は、個別支援計画書の作成や利用者さんとの面談、関係機関との連絡調整、職員の指導までを担う事業所におけるまとめ役です。
個別支援計画書を作成する際には、利用者さんやご家族と面談を行って悩みを引き出したり、関係機関と連携を図ったりする必要があります。
また、スタッフが気持ちよく働けるように良好な関係を築いたり、サービス向上のための指導にあたったりすることもサービス管理責任者の役割です。
利用者さんやご家族、現場スタッフと適切なコミュニケーションをとりながら業務を進めていかなくてはならないため、人前に出たり話したりするのが苦手な方にはあまり向いていないかもしれません。
サービス管理責任者は利用者さんと職員、関係機関のあいだに立ち、多くの人に頼られる仕事です。
職員をまとめ、関係機関と連携して質の高いサービスを利用者さんに提供することにより利用者さんが笑顔で過ごせたり、目標を達成したりする姿を目にしたときに、大きなやりがいを感じられます。
ときには利用者さんやご家族から直接感謝の言葉をいただくこともあるのも、サービス管理責任者の仕事のやりがいです。
サービス管理責任者は、障害福祉サービス事業所において、サービスが適切に提供されるよう管理する重要な存在です。
施設の利用者さんやご家族との面談、個別支援計画の作成、関係機関との連携、スタッフの指導など幅広い業務を担当し、サービス全体のまとめ役といえます。
リーダーシップや高いコミュニケーション能力が求められる大変な役割ですが、自分の働きが施設の利用者さんの目標や課題の改善につながっていく点でやりがいのある仕事です。
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■サービス管理責任者（サビ管）とは？仕事内容や働く場所、向いている人の特徴を解説
■サービス管理責任者（サビ管）になるには？必要な資格や実務経験などサービス管理責任者の要件を徹底解説
■サービス管理責任者（サビ管）の年収は高い？今後の展望や年収アップの方法を解説
■サービス管理責任者（サビ管）の更新研修とは？受講が必要な条件や対象者、注意点をチェック！
■サービス管理責任者とサービス提供責任者の違いは？仕事内容や給与など6つの視点で解説
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