介護福祉士実務者研修(以下、実務者研修)は介護職のキャリアアップにつながる資格。
「働きながら取得できるか不安」という方は、この記事で取得のコツやメリットをチェックしてみましょう。
目次
■ 実務者研修を働きながら取得できる理由
・通信講座が利用できる
・受講科目の免除が可能
・費用を抑える方法がある
■ 実務者研修の取得にかかる期間
■ 実務者研修のカリキュラム
・免除規定について
■ 働きながら実務者研修を取得するコツ
・自分に合った受講コースを選ぶ
・振替制度があるスクールを選ぶ
・介護職員初任者研修を先に取得する
■ 働きながら実務者研修を無料で取得する方法
■ 実務者研修を取得するメリット
・キャリアアップにつながる
・医療的ケアの基礎知識が学べる
■ 働きながら実務者研修の取得を目指そう!
実務者研修を取得するには、450時間のカリキュラムの受講が必要です。
しかし、仕事と両立させながら取得する方も少なくありません。
実務者研修を働きながら取得できる理由には、以下の3つが挙げられます。
ここでは、3つそれぞれの理由について解説します。
実務者研修は、20科目・450時間のカリキュラムで構成されています。
働きながら、仕事終わりや休日の時間を活用し、450時間スクールに通うのは大変でしょう。
しかし「介護過程Ⅲ(45時間)」「医療的ケア(演習)」以外の科目は、通信講座での学習が可能です。
通信講座をうまく活用すれば、スクールへの通学時間を減らせるため、実務者研修を取得しやすくなります。
実務者研修取得には、定められたカリキュラムをすべて受講する必要があります。
しかし、介護職員初任者研修(旧ホームヘルパー2級)など、対象となる介護関係の資格を持っている方は、実務者研修の受講科目が一部免除されます。
受講時間が減ることで、より仕事と両立しやすくなるでしょう。
資格ごとの免除規定については≪こちら≫をご覧ください。
無資格の方が実務者研修を取得する場合、15万円前後の費用がかかります。
介護職員初任者研修など、一部受講科目が免除される資格を持っていれば、その分費用が抑えられますが、それでも3~10万円程度かかるのが一般的です。
スクールによって料金設定は異なりますが、いずれにせよ気軽に払える金額とは言い難いでしょう。
しかし、国や自治体、就業先の支援制度などを利用すると、受講料の一部もしくは全部が免除される可能性があります。
これらの制度を活用して費用負担を抑えることで、実務者研修が取得しやすくなるでしょう。
実務者研修の費用が免除される制度については、≪こちら≫をご覧ください。
実務者研修は450時間のカリキュラムで構成されており、取得まで最短でも6ヵ月かかります。(無資格の場合)
しかし、介護関係の資格を保有している場合は、履修済みの科目が免除されるため、受講期間の短縮が可能です。
保有資格ごとの受講時間は以下の通りです。
保有資格 | 受講資格 |
無資格 | 450時間 |
初任者研修(ヘルパー2級) | 320時間 |
ヘルパー1級 | 95時間 |
ヘルパー3級 | 420時間 |
介護職員基礎研修 | 50時間 |
*ホームヘルパー1・2・3級は現在廃止されています
実務者研修は、以下の20科目・450時間のカリキュラムで構成されています。
科目 | 研修時間 |
人間の尊厳と自立 | 5時間 |
社会の理解Ⅰ | 5時間 |
社会の理解Ⅱ | 30時間 |
介護の基本Ⅰ | 10時間 |
介護の基本Ⅱ | 20時間 |
コミュニケーション技術 | 20時間 |
生活支援技術Ⅰ | 20時間 |
生活支援技術Ⅱ | 30時間 |
介護過程Ⅰ | 20時間 |
介護過程Ⅱ | 25時間 |
介護過程Ⅲ(スクーリング) | 45時間 |
発達と老化の理解Ⅰ | 10時間 |
発達と老化の理解Ⅱ | 20時間 |
認知症の理解Ⅰ | 10時間 |
認知症の理解Ⅱ | 20時間 |
障害の理解Ⅰ | 10時間 |
障害の理解Ⅱ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅠ | 20時間 |
こころとからだのしくみⅡ | 60時間 |
医療的ケア | 50(※)時間 |
※医療的ケアは、50時間の講義とは別に演習を受ける必要があります。
演習では喀痰吸引や経管栄養の基礎知識・技術を学び、実際の器具などを使いながら手順を習得します。
実務者研修は持っている資格によって一部科目が免除され、受講期間の短縮が可能です。
保有資格ごとの免除科目は以下の通りです。
科目 | 初任者研修 (ヘルパー2級) |
ヘルパー1級 | ヘルパー3級 | 介護職員基礎研修 |
人間の尊厳と自立 | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
社会の理解Ⅰ | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
社会の理解Ⅱ | 免除 | 免除 | ||
介護の基本Ⅰ | 免除 | 免除 | 免除 | |
介護の基本Ⅱ | 免除 | 免除 | 免除 | |
コミュニケーション技術 | 免除 | 免除 | ||
生活支援技術Ⅰ | 免除 | 免除 | 免除 | 免除 |
生活支援技術Ⅱ | 免除 | 免除 | 免除 | |
介護過程Ⅰ | 免除 | 免除 | 免除 | |
介護過程Ⅱ | 免除 | 免除 | ||
介護課程Ⅲ(スクーリング) | 免除 | |||
発達と老化の理解Ⅰ | 免除 | 免除 | ||
発達と老化の理解Ⅱ | 免除 | 免除 | ||
認知症の理解Ⅰ | 免除 | 免除 | ||
認知症の理解Ⅱ | 免除 | 免除 | ||
障害の理解Ⅰ | 免除 | 免除 | ||
障害の理解Ⅱ | 免除 | 免除 | ||
こころとからだのしくみⅠ | 免除 | 免除 | 免除 | |
こころとからだのしくみⅡ | 免除 | 免除 | ||
医療的ケア | ||||
免除時間 | 130 | 355 | 30 | 400 |
介護職員初任者研修を取得済みの方は、130時間分の科目が免除されます。
その他、ヘルパー1級なら355時間、3級なら30時間、介護職員基礎研修なら400時間分の科目が免除の対象です。
介護職員基礎研修の修了者は、医療的ケアの50時間分の講義と別途演習を受講すれば、実務者研修が取得できます。
実務者研修は働きながら取得できる資格ですが、効率よく取得するためには、以下のようなポイントがあります。
ここでは、働きながら実務者研修を取得するための受講方法やスクールの選び方について解説します。
実務者研修は大部分の科目が通信講座で学習可能です。
通信講座なら、自分の好きなタイミングで学べて、通学時間や交通費を削減できます。働きながらでも取得しやすい受講方法だと言えるでしょう。
一方、通学講座は講師が目の前にいるため、その場で質問や相談がしやすいです。
他の受講生からも刺激を受け、モチベーションが維持しやすいというメリットも。
通学の場合は、スクールの開講日時と仕事の日程が合うかどうか、あらかじめ確認しておきましょう。
通信・通学講座それぞれの特徴を押さえて、自分に合った受講方法を選ぶのがポイントです。
働きながらスクールに通う場合、急用や残業、体調不良などの理由で予定通り受講できないケースも考えられます。
スクール選びの際は、まず無料で授業の振替ができるかを確認しておくと安心です。
日程の振替は電話だけでなく、webサイトやアプリなどから申請できるスクールも。
連絡手段も含めてチェックしておくとよいでしょう。
これまでに介護の経験や知識がなく、一から学ぶという方は、まず介護職員初任者研修を取得するのがおすすめです。
介護職員初任者研修は、介護職の入門資格とも言えます。介護の基礎的な知識や技術が学べるため、現場の業務に活かせるとともに、実務者研修の内容も理解しやすくなるでしょう。
また、介護職員初任者研修を修了していると、実務者研修を受講する際に130時間分の科目が免除されます。
無資格の方は、実務者研修を受ける前に、介護職員初任者研修からスタートするとよいでしょう。
実務者研修の受講には一定の費用がかかりますが、受講料の一部または全部が免除される制度もあります。
費用を抑えて取得したい方は、以下の制度をチェックしてみましょう。
制度 | 免除額 |
教育訓練給付制度 | 受講費用の20~70%支給 |
介護福祉士実務者研修 受講資金貸付制度 |
全額返還免除 |
自立支援教育訓練給付金 | 受講費用の60%支給 |
例えば、「介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度」なら、受講費用の全額(20万円以内)を返還不要で借りられるため、実質無料で実務者研修が取得できます。
ただし、各制度の利用には一定の条件をクリアする必要があります。
支給額の下限・上限が設けられているケースもあるため、制度利用時には詳細をよく確認しましょう。
それぞれの制度については、以下の記事で詳しく解説しています。
また、勤務先によっては、資格取得にかかる費用を負担してくれる場合があります。
こういった支援制度のある職場では、働きながら受講しやすいようシフトを調整してくれることも多いです。
利用条件や対象の資格は事業所によって異なるため、勤務先に確認してみましょう。
実務者研修を働きながら取得すると、以下のようなメリットが得られます。
メリットを把握し、さらに資格取得へのモチベーションを高めましょう。
実務者研修を取得すると、サービス提供責任者の資格要件を満たせます。
サービス提供責任者は、訪問介護事業所のリーダー的な役割で、他の介護関連の職種と比べて給料が高い傾向にあります。
介護職からのキャリアアップを目指すなら、おすすめの職種の一つです。
また、実務者研修を修了していると、介護福祉士やケアマネジャー試験の受験要件を満たすことにつながります。
資格 | 受験要件 |
介護福祉士 | *実務経験ルートの場合 実務経験3年以上かつ実務者研修(または、介護職員基礎研修+喀痰吸引等研修)修了 |
ケアマネジャー | *介護福祉士の資格保有者の場合 介護福祉士の業務に従事した期間が5年以上かつ900日以上 |
このように、実務者研修を取得すると、さらなる上位資格を目指すことができ、介護業界でのキャリアアップにつながると言えます。
実務者研修には、「医療的ケア」の科目があり、講義と演習を受講します。
経管栄養や喀痰吸引など、介護の現場でも重要な医療的ケアの基礎知識と技術を学ぶカリキュラムです。
演習では、実際に器具や人体模型などを使ってケアの手順を確認します。
ただし、実際に介護現場で医療的ケアができるのは、登録を受けた事業所の介護福祉士または「認定特定行為業務従事者認定証」の交付を受けた介護職員に限られます。
実務者研修の修了だけでは医療的ケアを行うことはできず、一定の研修を修了するなどの条件があるため注意しましょう。
実務者研修は、働きながらでも取得を目指せます。
「仕事との両立が大変そう」と思うかもしれませんが、多くの科目は通信講座での学習が可能。
さらに保有資格によっては科目が一部免除されるため、受講期間を短縮できます。
受講料の負担が気になる方も、費用を抑えるための制度があるため、活用を検討してみましょう。
実務者研修を取得すると、現場で役立つスキルが身につくと共に、介護業界でのキャリアアップも期待できます。
紹介したコツを押さえて、無理なく働きながらの取得を目指しましょう。
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