特養と老健どちらが働きやすいのか、施設の特徴、仕事内容、平均給与の3つの違いを解説!
それぞれの施設に向いている人の特徴や、働くメリット・デメリットも比較しているため、勤務先を選ぶ際の参考にしてください。
目次
■ 特養と老健どちらが働きやすいのか
■ 特養と老健の3つの違いを知ろう
■ 1. 施設の特徴の違い
・特養の特徴
・老健の特徴
■ 2. 仕事内容の違い
・特養の仕事内容
・老健の仕事内容
■ 3. 平均給料の違い
・特養の平均給料
・老健の平均給料
■ 特養・老健に勤めるメリット・デメリットは?
・特養で働くメリット・デメリット
・老健で働くメリット・デメリット
■ 特養・老健の勤務が向いている人は?
・特養の仕事が向いている人
・老健の仕事が向いている人
■ 特養と老健の違いを知って働こう
特別養護老人ホーム(以下、特養)と介護老人保健施設(以下、老健)は、どちらも介護を必要とする高齢者の日常生活を支える施設です。
どちらが「働きやすい」と感じるかは人によって異なるため、それぞれの施設の特徴を押さえて、希望の働き方やキャリアプランに合う職場を選ぶとよいでしょう。
特養は、原則要介護3以上の方が入居する施設で、終身利用が可能です。
利用者さんやご家族とじっくり信頼関係を築きたい方、介護度の高い高齢者へのケアを通して介護スキルの向上を目指す方に適しています。
看取りも見据えて利用者さんの人生を最期まで支えることで、大きなやりがいを感じられるでしょう。
老健は、基本的に要介護1以上の方が在宅復帰を目指して利用する施設です。
介護だけでなく、機能訓練や医療的ケアにも興味がある方、医療やリハビリの専門職と連携して働きたい方に適しています。
利用者さんの心身機能の維持・回復を通じて、達成感を得ることができるでしょう。
この記事では、特養と老健の施設の特徴、仕事内容、給料の違いをさらに詳しく解説します。
自分に合った職場を見つけるための参考としてお役立てください。
特養と老健の施設の特徴・介護職の仕事内容・平均給料を比較すると、以下の表の通りです。
特養 | 老健 |
・公的な介護保険施設 ・要介護3以上の方が入居 (要介護1~2の方の入居は特例的) ・終身利用が可能な施設 ・平均在所日数1,177日 |
・公的な介護保険施設 ・要介護1~5の方が入居 (要介護1~2の方の比率も少なくない) ・在宅復帰を目指す施設 ・平均在所日数310日 |
■仕事内容
特養 | 老健 |
・身体介護 ・生活援助 ・レクリエーション ・健康管理 ・家族との連携 |
・身体介護 ・レクリエーション ・健康管理 ・多職種との連携 ・家族との連携 |
■平均給料
特養 | 老健 |
・介護職員 常勤 :348,040円 非常勤:141,740円 ・介護福祉士 常勤 :360,840円 非常勤:153,840円 |
・介護職員 常勤 :339,040円 非常勤:138,660円 ・介護福祉士 常勤 :349,850円 非常勤:153,700円 |
特養と老健は、どちらも高齢者の日常生活を支える公的な介護保険施設ですが、それぞれ異なる役割があります。
ここでは、入居条件や利用者の介護度割合など、それぞれの施設の特徴について解説します。
特養とは、要介護者に対して食事、入浴、排泄などの日常生活の援助、健康管理、機能訓練を提供する介護保険施設です。
入居条件は以下のように定められています。
・要介護3以上の高齢者(65歳以上)
・要介護3以上の特定疾病がある40~64歳の方
・要介護1~2で特例的に認められた方
特養は終身利用が可能なため、多くの施設で看取りケアを行っているのも特徴です。
厚生労働省の資料等によると、2022年度時点で83%の特養が「希望に応じて看取りを受け入れる」と回答しました。
また、2022年の特養の要介護度別利用者割合は以下の通りです。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
1.0% | 2.8% | 26.0% | 40.5% | 29.7% |
出典:厚生労働省「介護老人福祉施設・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護」
特養は原則要介護3以上の方の生活の場であり、「終の棲家」として利用者さんの人生に最期まで寄り添う役割を担っています。
老健とは、在宅復帰を目指す要介護者に対し、心身機能の維持・回復を支援する介護保険施設です。
入居条件は以下のように定められています。
・要介護1以上の高齢者(65歳以上)
・要介護1以上の特定疾病がある40~64歳の方
老健はリハビリを目的とした施設のため、入居期間は原則3~6カ月。この期間を超えると在宅復帰か入居延長かの審査が行われます。
ただし厚生労働省の資料によると、2019年の老健の平均在所日数は310日(約10.2カ月)となっており、リハビリの状況などによって入居期間が延びるケースもあることがわかります。
一方で、特養の平均在所日数1,177日(約3.2年)と比べると短期利用になりやすいと言えるでしょう。
また、2022年の老健の要介護度別利用者割合は以下の通りです。
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
12.6% | 19.0% | 24.2% | 27.8% | 16.3% |
老健は基本的に要介護1~5の方がリハビリに取り組む施設であり、利用者さんの在宅復帰をサポートする役割を担っています。
特養と老健どちらで働く場合でも、基本的に介護職が担う仕事自体は大きく変わりません。
一方で、施設の目的に合わせて業務のポイントや実施方法は異なります。
ここでは、それぞれの施設の仕事内容の違いについて解説します。
特養で働く介護職の主な仕事内容は、以下の通りです。
・身体介護(入浴・食事・排泄介助など)
・生活援助(掃除・洗濯など)
・レクリエーション
・健康管理
・家族との連携 など
特養では、利用者さんが自立した日常生活を送るための介助やレクリエーション、健康管理、心身の状態に合わせた機能訓練などを行います。
ご家族とこまめに連絡をとり、信頼関係を構築することも大切な仕事です。
介護職は主に早番・日勤・遅番・夜勤などのシフト制で業務にあたり、身体介護を中心とした臨機応変なケアを提供します。
老健で働く介護職の主な仕事は、以下の通りです。
・身体介護(入浴・食事・排泄介助など)
・レクリエーション
・健康管理
・医療職やリハビリ職との連携
・家族との連携 など
老健では、利用者さんの在宅復帰を目指し、自立した日常生活を送るために必要な介助、機能訓練、栄養状態や口腔衛生の管理などを行います。
介護職は、医師・看護師をはじめとした医療職、リハビリの専門職、ケアマネジャーなど多職種と連携し、チームで最適なケアの提供を図ります。
特養と同様に、老健の介護職も夜勤を含むシフト制で働くのが一般的。
仕事内容にも大きな違いはありませんが、老健のほうが要介護1・2の方が多く入居しており、特養に比べて身体介護が少ない場合もあります。
また、老健は在宅復帰を目指す施設ですが、看取りの対応を行わないわけではありません。利用者さんの病状やご家族の希望に応じて、人生の最終段階に寄り添うケースもあります。
「令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職全体の平均月給は以下の通りです。
常勤(月給者) | 非常勤(時給者) | |
介護職員 | 317,540円 | 121,000円 |
介護福祉士 | 331,080円 | 134,680円 |
特養と老健はどちらも上記の全体平均を上回っており、比較的給与水準の高いサービス形態だと言えます。
ここでは、特養と老健の平均給料について詳しく解説します。
特養の介護職の平均月給は、以下の通りです。
常勤(月給者) | 非常勤(時給者) | |
介護職員 | 348,040円 | 141,740円 |
介護福祉士 | 360,840円 | 153,840円 |
他のサービス形態を含む全体平均に比べ、特養の平均月給は高い傾向にあります。
理由の一つとして、夜勤手当の反映が考えられます。
ただし各施設の運営主体や手当の支給額によっても差が生じるため、転職・就職の際は求人情報をよく確認するようにしましょう。
老健の介護職の平均月給は、以下の通りです。
常勤(月給者) | 非常勤(時給者) | |
介護職員 | 339,040円 | 138,660円 |
介護福祉士 | 349,850円 | 153,700円 |
老健も他の介護施設や事業所より給料が高い傾向にありますが、特養と比べると若干低くなっています。
ただし、施設の運営主体や各種手当の支給額によっても異なるため、事前の確認が必要です。
特養と老健は施設の役割や入居条件などに違いがあり、その差が働く人のメリット・デメリットにもつながっています。
それぞれの特徴を押さえ、自分にとって働きやすい施設を選ぶとよいでしょう。
ここでは、特養・老健で働くメリットとデメリットを紹介します。
介護職が特養で働くメリット・デメリットとしては、以下が挙げられます。
【メリット】
・介護スキルが向上しやすい
・利用者さんと長期的に関われる
・公的な施設で経営が安定している
【デメリット】
・身体介護が多く体への負担が大きい
・看取りケアが精神的な負担になる
特養は原則要介護3以上の方が入居し、終身利用が可能な施設です。
介護度の高い方へのケアを通して、臨機応変な対応力や身体介護のスキルが向上しやすいというメリットがあります。
一方、介助量の多さから、腰痛や体力的な負担を感じる場合もあるでしょう。
長期利用の方が多く、一人ひとりとじっくり向き合える反面、最期を看取る際に精神的な負担を感じることもあります。
また、特養は社会福祉法人や地方自治体が運営しており、民間の施設より安定的に働ける点はメリットです。
前述の通り、給与水準も他のサービス形態より高い傾向にあります。
介護職が老健で働くメリット・デメリットとしては、以下が挙げられます。
【メリット】
・身体的な負担が少ない可能性がある
・利用者さんが回復する様子が分かる
・多職種と連携して働ける
【デメリット】
・利用者さんと短期的な関わりになりやすい
・医療的な知識や専門用語が難しく感じる
老健は、基本的に要介護1~5の方が在宅復帰を目指すための施設です。
要介護1・2の利用者さんが多い施設では、特養と比べて身体介護による負担が少ない可能性があります。
利用者さんの機能回復をサポートすることで、在宅復帰が叶った際には大きな達成感を感じられるでしょう。
一方、特養より入居期間が短くなりやすく、利用者さんと短期間で信頼関係を構築する難しさもあります。
また、老健では、医療やリハビリなどの専門職と協力してサービス提供を行います。
他分野の職員と連携できる点はメリットですが、積極的に相手の知識や用語を学ぶ姿勢が求められるでしょう。
特養と老健は、それぞれ介護施設としての目的や特徴に違いがあります。
どちらで働くか迷ったときは、自分自身の適性から考えてみるのも一つです。
ここでは、特養・老健の仕事に向いている人の特徴について解説します。
特養の仕事に向いている人の特徴は、以下の通りです。
・介護のスキルを高めたい人
・介護の資格や経験を活かしたい人
・利用者さんと長期的に関わり、最期までケアをしたい人
・体力や精神面の強さを活かしたい人
特養では、比較的介護度の高い高齢者のケアを行います。
そのため、介護のスキルを磨きたい方や、すでに身につけた知識や経験を活かしたい方に適性があるでしょう。
また、多くの特養は看取りに対応しており、人生の最終段階までじっくり向き合いたい方に向いています。
そのほか、身体介護の機会が多く、夜勤もあることから、体力に自信がある方も活躍しやすいでしょう。
老健の仕事に向いている人の特徴は、以下の通りです。
・リハビリや医療にまつわる仕事をしたい人
・多職種とチームで連携して働きたい人
・利用者さんの在宅復帰を応援したい人
・コミュニケーション能力が高い人
老健では、医療やリハビリの専門職など、多職種と連携して利用者さんの機能維持・回復をサポートします。
そのため、介護以外の分野の職種とも積極的に関わり、視野を広げてケアに取り組みたい方に向いているでしょう。
チームで連携して利用者さんの在宅復帰を支援したい方は、やりがいを感じやすい環境です。
また、老健は特養と比べて入居期間が短期間になることが多く、限られた時間で利用者さんやご家族と信頼関係を築く必要があります。
そのため、コミュニケーション能力に自信がある方も活躍しやすいでしょう。
特養と老健はどちらも要介護者を支える公的な介護施設ですが、それぞれ担う役割が異なります。
職場を選ぶ際は、施設の特徴や仕事内容、給料面の違いを事前によく確認しておくことが大切です。
特養と老健どちらが働きやすいかは、仕事に求めるやりがいや、希望する働き方から総合的に判断するとよいでしょう。
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