厚生労働省は1月25日に事務連絡を発出し、2月から始まる「介護職員処遇改善支援補助金」について実施要項やQ&Aなどを示した。介護サービス事業所・施設が、職員の賃上げを行うための補助金を支給する。
サービス別に、常勤換算ベースで介護職員1人当たり月額平均6,000円相当(給与の約2%)の賃金引上げ相当の交付率を設定している。
補助金を受給できるのは介護職員等ベースアップ等支援加算の算定事業所。実施期間は2月~5月で、6月以降は一本化される「介護職員等処遇改善加算」で対応する。
申請受付は今後、実施主体である都道府県ごとに開始される(提出期限も各都道府県で設定)。
通常の加算では指定権者として市町村に届ける場合もあるが、今回の補助金の届出先は都道府県となる。受付開始にあわせて計画書などの届出様式も各都道府県より示される見込みだ。
今回の事務連絡で、国も各様式や記入例を示しており、自治体に対して「原則、今回示した様式に変更を加えないこと」と呼び掛けている。また22年実施の「介護職員処遇改善支援補助金」で求めた賃金改善開始の報告は今回求めない。
補助金交付の対象事業所は、介護職員等ベースアップ等支援加算(以下、ベア加算)の算定事業所。
ただし、ベア加算の算定が間に合わない場合に限り、2・3月は未算定でも4月から算定していれば対象として認められる。この場合、2月分からの補助金の支給を受けられる。
補助金で賃金改善を行う対象者は、介護職員に限らず、事業所・施設に勤務する職員を含む。
要項では、「介護職員の処遇改善を目的とする事業であることを十分に踏まえた上で賃金改善を実施する」としているものの、配分ルールなどは設けられていない。
賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で行う。
原則、2月分の賃金から賃金改善を求めているが、「賃金計画の変更や就業規則等の改訂が間に合わないなど、やむを得ない場合は2月分に限って3月分と一括して行うこととしても差し支えない」としている。
全体として賃金改善額が補助金額を上回ることが要件だが、月ごとの賃金改善額がその月の補助金額以上となる必要はない。
QAでも「2月分、3月分として見込まれる補助金額の全てを、2月分、3月分の賃金改善に充てる必要はない。ただし、全体で2月~5月分の4カ月間の補助金の合計額を上回る賃金改善を行うことが必要であるため、計画的に賃金改善を行っていただきたい」としている。
また「4・5月分の補助額の3分の2以上を基本給等の引上げ(基本給、または決まって毎月支払われる手当の引上げ)に充てること」が要件として求められる。
基本給等に充てた額以外の分は、賞与・一時金等による賃金改善に充て、全体として補助額を上回る賃金改善を行う。
要項では、「6月以降の処遇改善加算の一本化による加算率の引上げを見据え、賃金改善の方法はベースアップ(賃金表の改訂により基本給等の水準を一律に引き上げること)を基本とする」としている。
QAの全文などはケアニュースに掲載中。
https://www.care-news.jp/news/CmjWJ
<シルバー産業新聞 2024年2月10日号>
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