厚生労働省は12月1日、医師や看護師による医行為に該当せず、介護現場で実施可能な行為(以下、「医行為外業務」)の新たな項目の追加について、都道府県に通知した。
在宅などの介護現場におけるインスリン投与の補助、経管栄養等に関連する9項目を示し、ケア提供の際の判断材料とすることを促している。
厚労省は2005年に、医行為外業務として、体温・血圧測定、パルスオキシメーターの装着、一包化された薬の内服、軽微な切り傷、擦り傷の処置などを挙げていた。
規制改革実施計画(20年7月17日閣議決定)において、近年の医療・介護サービスの提供のあり方の変化などを背景に、05年通知に記載のなかった項目のうち、介護現場で実施されることが多いと考えられる行為を中心に、追加での整理が進められていた。
今回の通知では、在宅介護などの利用者へのインスリン注射の声かけ、見守り、記録の実施や、自宅での血糖値の推移を記録するための持続血糖測定器へのセンサーの装着や測定値の読み取りなどが示されている。
経鼻経管栄養チューブを固定するテープが外れた場合などに、あらかじめ明示された位置に再度貼付することや、経管栄養の準備と片付けなども明記された。
また、▽喀痰吸引器の汚水の廃棄や吸引器に入れる水の補充等 ▽酸素吸入を開始していない状況下での酸素マスクや経鼻カニューレの装着の準備・片付け、酸素流量の設定(吸入の開始・停止(酸素マスクや経鼻カニューレの除去含む)は医師・看護職員または患者本人が施行)等 ▽膀胱留置カテーテルの蓄尿バッグからの尿廃棄等――などの項目が示された。
いずれも高齢化や認知症のある人が増加し、十分な薬剤・器具の管理が行き届かないケースが増える中、特に在宅での医療・介護の充実が期待される。
これらの行為を実施する際は、利用者・家族への十分な説明と、利用者の状態を踏まえ、医師、歯科医師や看護職員と連携することや、マニュアルの作成および医療従事者による研修の実施が推奨されている。
<シルバー産業新聞 2023年1月10日号>
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