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2024年08月13日

東京都 ケアマネの確保・定着に向けた新事業

東京都 ケアマネの確保・定着に向けた新事業

 東京都では都内に勤務するケアマネジャーの数は2019年度をピークに横ばいで推移しており、介護支援専門員証の新規交付者数もここ数年は低調と、ケアマネジャーの確保・定着が喫緊の課題となっている。

 そこで東京都は、今年度より事業所が負担した法定研修の受講料の4分の3補助と、居宅介護支援事業所での事務職員雇用経費を各事業所1人分・最大187.5万円まで支援する新事業を実施する。

 東京都は今年4月に「介護支援専門員研修に関する緊急提言」をまとめ、ケアマネジャーの法定研修について質の担保と負担軽減が両立した研修制度となるよう国に提言を実施した。

 ケアマネジャーは5年ごとの更新研修時に最大88時間の法定研修受講が必要となるが、実務に従事しながら長時間の研修を受講することや、高額な受講料(東京都で専門研修Ⅰ・Ⅱを両方受講する場合、計5万8300円)が大きな負担となっていた。

 こうした状況の中、都は「資格更新時の過度な負担は、人材確保の支障となる恐れがあり、介護が必要な高齢者の在宅生活を支える上で中核的な役割を担っているケアマネジャーを確実に確保していくためにも、研修制度の見直しは喫緊の課題だ」と提言していた。

 新たに行う「介護支援専門員法定研修受講料補助事業」では、ケアマネジャーの法定研修受講料の負担軽減に取り組む事業者に対して負担の一部を東京都が補助する。

 対象は、居宅介護支援事業所や介護保険施設、地域包括支援センターなどで勤務するケアマネジャー(研修修了後に資格を取得し業務に従事する見込みの者を含む)が、受講する法定研修受講料を事業者が負担した場合、その4分の3を事業者へ補助する。交付申請開始は秋ごろを予定している。

 東京都福祉局高齢者施策推進部介護保険課課長代理(ケアマネジメント支援担当)の大竹剛志氏は「ケアマネジャーの人材確保・定着を促進することが目的のため、補助対象を事業者としている。独自で受講料の補助を行っている市区町村もあり、事業者が全額負担した場合、東京都の補助と組み合わせることで受講料負担が全額カバーできる場合もある。ぜひ活用頂きたい」と呼びかけた。

 「居宅介護支援事業所事務職員雇用支援事業」は、都内の居宅介護支援事業所に対し、1人分の事務職員雇用経費を、最大187.5万円(補助基準額250万円、補助率4分の3)補助する。

 「ケアマネジャーの専門性を十分発揮できる環境を整備し、介護報酬の増収に伴う処遇改善を推進することを目指す」(大竹氏)

10年間でケアマネの給与改善わずか9000円

 東京都の調査によると2012年度と22年度の都内のケアマネジャーと介護職員の平均給与を比較したところ、介護職員は22万5125円(12年度)から26万7090円(22年度)へ4万1965円増加。一方でケアマネジャーは28万2242円(12年度)から29万1485円(22年度)と9243円の増加に留まる(表)。

表

都内のケアマネジャーと介護職員の平均給与比較

 また、都内で実務に従事するケアマネジャーは22年度時点で1万4797人(対前年度362人増)とわずかに増加しているが19年度をピークに減少傾向。介護支援専門員証の新規交付者も1535人と前年度よりも122人減少した(グラフ)。

グラフ

都内のケアマネ勤務者数と居宅介護支援専門員証新規交付者数

 今後、介護サービス需要の拡大が見込まれる中、将来的にケアマネジャーの不足が懸念される。

<シルバー産業新聞 2024年8月10日号>

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