毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「ペットOKの介護施設」という話題について紹介します。
“ペットと入居できる特養”に絶賛の声
一人暮らしの高齢者の寂しさを紛らわし、家族同然の存在とも言えるペット。しかし、介護施設に入居する際、そのペットはどうする?──そんな悩みを解決する施設がネットニュースで紹介され、大きな話題になっている。
2015年10月25日、ニュースサイト『ハフィントンポスト』に「ペットと入居できる、特別養護老人ホーム『飼い主が亡くなっても一生面倒をみます』」という記事(*1)が掲載された。記事で紹介されているのは、神奈川県横須賀市の特別養護老人ホーム。同施設は犬やネコなどのペットと一緒に入居することが可能で、飼い主が亡くなっても、残されたペットたちの面倒は施設が見るという。
記事に対する反響は大変大きかった。ツイッターには、
「こんな老人ホームが全国に出来たらいい」
「ペット不可のマンションも多いのに。すごい取り組み」
「こういうホームが少しずつでも増えるといい」
「ペットを飼っている人にとって理想郷。こういう施設が当たり前になってほしい」
といった、この特養の取り組みを絶賛する声が殺到。フェイスブックの「いいね!」は1万8000件以上(2015年10月29日現在)に上っている。
最期もペットと一緒がいい!
一人暮らしの親を子供が引き取る際、ペットがネックとなって話がなかなか進まないというケースは少なくない。京都在住の60代の女性は、離れて暮らしていた90代の母親を引き取る際の苦労をこう振り返る。
「90代の母は昔からネコが大好きで、“ミーちゃん”というネコを飼っていたんです。住み慣れた土地を離れることは何とか納得させたのですが、我が家は集合住宅で、ペットを飼うことができないため、そこで話が止まってしまったんです。
終いには『ミーちゃんと一緒にここ(=自宅)で死ぬわ』みたいなことを言い出して……。結局もらい手が見つかり、『時々会いに行こうね』というベストな形で問題が片付いた良かったものの、あのままだったら『ペットとともに孤独死』みたいな事態も考えられました」
姉妹サイト「オアシス介護」でも、“ペットと同伴入居可”の介護付き有料老人ホームを取材(*2)。同サイトには、一都三県でペットと同伴入居可の老人ホームや高齢者向け住宅の情報が14件も掲載されている(2015年10月時点)。
施設をペットOKにするためには、人員、施設、衛生面などの整備、そして何よりも入居者の理解が必要で障壁も多い。また、入居者が亡くなった後もホームが面倒を見続ける、というのは、さらに難易度が高い。
しかしハフィントンポストの記事に対する反応の大きさを見る限り、ペットOKの施設へのニーズは極めて高く、取り組みがさらに広がりを見せる可能性は十分にありそうだ。
*「ペットと入居できる、特別養護老人ホーム『飼い主が亡くなっても一生面倒をみます』」(ハフィントンポスト 2015年10月25日)
*老人ホームを編集部が取材!ペットと同伴入居できる「ウェルハイム・八王子」(オアシス介護)