毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「見てはいけないものを見てしまった?!」という話題について紹介します。
タンスの奥に、大量の封筒を発見!中身はなんと…
ホームヘルパーは、利用者のお宅に入って介護サービスをするのが仕事。
プライベートな空間に入り込むがゆえに、見てはいけないものを見てしまうこともあるようだ。
都内の介護事業所でホームヘルパーとして働くハラさんは、かつてこんな経験があるという。
「それは、町内でもとりわけ古めかしいアパートに住む男性利用者のお宅でのことです。
利用者の男性は80代で、転んだ後遺症で歩くことがままならない状態。
身寄りがなく、部屋も乱雑に散らかっていて、ゴミ屋敷とはいかないまでも、足の踏み場もないような状況でした。
男性は、自分では部屋中を動いて片付けすることはできないものの、部屋をキレイにしたいという意志はあるようで、私は行くたびに部屋を掃除していました。
ある時、衣替えをしたいとのことで、指示されるままに洋服ダンスを探っていると、奥の方から封筒がいくつも出てきました。
そのうちの1つの中身が見えてしまったのですが、なんとビッシリと1万円札が入っていたんです。
タンス預金という言葉がありますが、本当にタンスに現金をしまう人っているんですね。
そんな封筒が20~30個ありました」
ボロボロのアパートの、メチャクチャに散らかった部屋に住むお年寄りの家に大量の現金があるという、まさかの事態に遭遇したハラさん。
まるで現代のおとぎ話のようだったと、当時の驚きを今でも思い出すそうだ。
捨てられない「秘密のコレクション」を見つけてしまい…
一方、ベテランホームヘルパーのハセガワさんは、利用者の“秘密のコレクション”を発見してしまったことがあるそうだ。
「その男性は80代で、部屋はほぼゴミ屋敷状態でした。
ある時、男性が腰を悪くしてしまって、部屋の中での移動もままならなくなり、部屋の掃除を依頼されたのです。
掃除し始めてしばらくすると、“見えるところ”は一応何とかキレイになったので、押入れを開けると、そこだけ異空間のように整然と本が並べられていました。
それは大量のアダルト写真集コレクションだったんです。
背表紙を見ると、それらはすべて女性タレントのヌード写真集のようでした」
完全に言葉を失い、何も言わずにそのまま押入れの扉を閉じたというハセガワさん。
ある女性のお宅では、恐ろしいものを見てしまったこともあるそうだ。
「その女性は、その年代としては珍しく大卒で、知性を感じさせる話し方をする方でした。
物を大変大事にする方のようで、家の中は物だらけでした。
もう着ることはないであろうコートや、履くことはないであろうブーツ、骨の折れた傘、壊れた家電製品……、要するに“捨てられない人”だったんです。
ある日、そのお宅で食事を用意している時に、冷蔵庫の中で懐かしいパッケージを発見しました。
それはある調味料だったんですが、パッケージではすでに引退している芸能人が微笑んでいました。
賞味期限を確認すると、20年以上前に賞味期限が切れていた物でした」
そこでハセガワさんが、台所の食べ物の賞味期限を緊急チェックすると、調味料の大半は賞味期限が切れており、10年以上前に賞味期限が切れている冷や麦や海苔、いつ開封したのかわからない料理酒や天つゆ、容器の端が腐食し始めている缶詰、完全に粉状になったクッキーなどが出てきたのだそう。
しかし女性は、「今までお腹を壊したことはない」と述べ、それらを捨てることは許可されなかったそうだ。
利用者のさまざまな生活を垣間見ることができるのが、ホームヘルパーの仕事ならでは。
1人1人の思い出やこだわりに寄り添って仕事をするのも、ヘルパーの仕事の醍醐味の1つと言えそうだ。