毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「介護の仕事も手当は大事」という話題について紹介します。
手当の支給で手取り額は変わる!
仕事を探す際、誰もが目を皿のようにして確認するのは、やっぱり『給与』。
介護の仕事で得られるやりがいや社会的意義もとても大切だが、生きていくにはお金がかかる以上、給与を重要視することは決して悪いことではない。
ただ、多くの人が意外と見落としがちなのが「どんな手当がつくか?」ということ。手当のあるなしで手取りの給与額は大きく変わってくる。
埼玉県の介護付き有料老人ホームに勤める20代の女性・イトウさんは、手当の支給で大変助かっているという。
「私は未経験で介護業界に飛び込み、現在介護職2年目に入ったところですが、毎月の給与の手取り額は20万円台の半ばです。
基本給は額面で20万円程度ですが、実は手当が非常に多く、夜勤手当、住宅手当、通勤手当、家族手当、精勤手当、資格手当、処遇改善手当、給食手当、健康手当などがあります」
有料老人ホームの手厚い手当。その内容は?
「夜勤手当」「住宅手当」「通勤手当」「家族手当」「精勤手当」「資格手当」などは支給している施設も多くイメージしやすいもの。
しかし、「処遇改善手当」「給食手当」「健康手当」とは、いったいどのような手当なのだろうか?イトウさんはこう語る。
「『処遇改善手当』は、介護職員の給与を上げるために作られた制度『介護職員処遇改善加算』から支給されている手当です。一定の要件を満たした施設に対して国から給付されるもので、うちの施設では常勤の正社員全員に手当として支給されています。
『給食手当』は、よその会社では『食事手当』とも言われている手当で、就業時間中の食費の負担をサポートしてくれるものです。
『健康手当』はうちの施設独自のものかもしれませんが、非喫煙者に対して支払われています」
会社に規定されているすべての手当を支給されているわけではないと言うイトウさんだが、とりわけ住宅手当が手厚く、家賃の半分近くを住宅手当でカバーできるため、大変助かっているのだとか。
手当のカットや減額で退職者が出ることも…
一方、手当に翻弄された経験があるのは、イトウさんが働く有料老人ホームに転職してきたシノダさんだ。
「私が以前働いていた介護施設は、ある時突然、経営不振を理由に住宅手当が完全カットされることに。
他の手当もカットや減額されてしまったので生活が苦しくなり、退職しました。
施設には職員用の独身寮もありましたが、そちらも廃止されたため、職員が大量に辞め、入居者には大変な負担がかかったようです」
手当については“当たり外れ”もある。こちらのコーナーでは以前、「1か月の自転車通勤手当が100円だった」というエピソードを紹介したが、都内のある介護付き有料老人ホームが設けている「誕生日手当」は、ツッコミどころだらけだ。
その施設で働く職員はこう語る。
「うちの施設の『誕生日手当』は、『職員が自分の誕生日の当日に休暇が取れる』という制度です。
『誕生日に休める』という制度は一見ありがたいようですが、私は誕生日が1月1日なので、誕生日手当は“あってないようなもの”。
しかも誕生日手当では、施設長からシャンパンが贈られてくるのですが、私はお酒が飲めません。せっかくもらうなら、自由に使える現金の方がありがたいなと思っちゃいますね……」
「手当がもらえるだけマシ」という意見もあるだろうが、シノダさんのように「住宅手当カット」ともなると、生活に与える影響は甚大。
転職・就職で介護施設の面接を受ける際には、手当など気になる点についてはあらかじめ細かく確認しておくことが重要だと言えそうだ。