求人の中でも人気の高いオープニングスタッフ。新しい施設や設備、スタッフ同士の一体感もあり、皆で一緒に施設を作り上げていくやりがいもあります。
でも、マニュアルが揃ってなかったり、経験の浅いスタッフが多かったり…。
今回は、施設のオープニングスタッフとして転職した先輩の失敗談を、介護求人ナビ編集部からのアドバイス付きでご紹介。せっかくの転職を失敗に終わらせないためにも、ぜひ参考にしてください!
《事例1》マニュアルがないオープニング施設へ転職。手探り状態なので不安です。
36歳/女性/百合
近所に老人ホームが新規開設すると知り、転職しました。
建物は新しいし、設備も新品で快適。スタッフも全員が同期といった雰囲気があり、風通しの良い職場環境で大変満足しています。
ただ、施設にはマニュアルがなく、細かいルールの整備もできていません。そのため想定外のことが起こるたびに、過去の経験を頼りに対応することになります。
判断を仰げる先輩がいないため、いつも手探りで、不安を抱えながら仕事をしています。
《アドバイス》
オープニング施設で働くメリットのひとつは、人間関係をイチから築いていけることではないでしょうか。全員が同じ立場からスタートするので、一体感が生まれやすい点も魅力です。
上下関係や派閥といった人間関係で苦労した経験がある人には、大きなメリットと言えるでしょう。
施設のルールをイチから作り上げていくのも、オープニング施設ならではの醍醐味。
既存施設ならすでに出来上がっていたことも、みんなで話し合って決めていくことができます。
今までやりたくてもできなかったことを提案してみるチャンスにもなります。
しかし、そうしたメリットは、裏返せばデメリットにもなります。
オープニング当初は、慣れない設備、慣れない連携のなかで、バタバタすることも多いでしょう。
そのなかで思わぬミスが起こったり、不測の事態に直面することもあるかもしれません。
そんなとき、既存の施設であればマニュアルがあり、頼りになる先輩がいます。
しかし新規施設では、そもそもマニュアルが準備されていないこともあります。
そして全員が同期という状態ですので、トラブルがあったときに誰かに頼るのが難しいといったケースもあります。
また、オープン直後はなにもかもが手探り状態。日々の業務をやりながら、細かいルールを一つずつ作っていく必要があるでしょう。
そこで、オープニングスタッフに求められるのは、誰かがやってくれるのを待つのではなく、自ら率先して行動することではないでしょうか。
マニュアルがなければ、他のスタッフやホーム長に作成を働きかけてみましょう。
また、あらかじめ想定できるリスクについては、スタッフ間で話し合い、対処法を確認しておくのも良いでしょう。
そのうえで、一つひとつ事例を積み重ねながら、全員で経験値を積んでいけば、不安も徐々に解消していくのではないでしょうか。
試行錯誤しながら施設をより良くしていく作業は、スタッフの結束力を強めてくれますし、介護職として大事な臨機応変さや柔軟さを養う良い機会でもあります。
オープニング施設で働くことはメリットも多いのですが、しっかりとマニュアルができあがった中で働く方が向いている人もいます。
もし、頑張ってみても不安が解消しないようであれば、転職を考えてみるのも良いかもしれません。
再度オープニング施設への転職を希望するならば、オープニングの経験が豊富な事業者を選んだり、面接時にオープン後のマニュアルやルール作成がどうなっているかを聞いて確認しておくと良いかもしれません。
《事例2》オープニングスタッフとして転職した先は新人ばかり。経験者の負担が重すぎ!
41歳/男性/亮平
友人に誘われて、老人ホームのオープニング施設に転職しました。
しかしフタを開けてみると、ベテランの介護職は私たちだけ。
ほとんどが未経験のスタッフだったんです。
そもそもスタッフの人数自体が足りていないので、利用者様のケアだけでも大変なのに、新人スタッフの教育もしなければなりません。そのうえマニュアルの作成や施設の見学者の案内も私たちの役目。
経験者にばかり負荷がかかり、もうヘトヘトです。
《アドバイス》
オープニングスタッフの求人は人気が高いとはいえ、条件などによっては事業者が求める人材がなかなか集まらないこともあります。そのためやむを得ず、予定していたよりも少ないスタッフ数でオープンすることも。
あなたの転職先もそうした状態なのではないでしょうか。
ほとんどのスタッフが未経験者という環境では、経験者に業務が集中し、さまざまな負荷がかかってしまっていることでしょう。
オープニングならではの業務もありますから、負担は大きいことと思われます。
まずは、業務を整理することから始めてみてはどうでしょうか。
たとえば、「新人でもできること」はどれか。
さらに「新人でも教えればできること」「ベテランでないと難しいこと」も洗い出してみましょう。
そして「新人でも教えればできること」を増やしていけば、ベテランスタッフの負担も少しずつ減っていくはずです。
新人も将来に向けての大事な戦力です。
しかし、即戦力ではないからと放っておかれたり、ミスをしたときのフォローがなければ、自信ややる気を失ってすぐに辞めてしまう可能性もあります。せっかくオープニングという特別な瞬間に集まった仲間なのですから、すぐに欠けることのないようにしたいもの。
そのため、技術を教えることはもちろん、時には悩みを聞いて相談にのるなど、コミュニケーションを十分にとることも大事でしょう。
もちろん新人が大きな戦力となるまでは、ベテランに負荷がかかってしまうかもしれません。
しかし、あなたも新人時代には、ベテランに迷惑をかけたことがあるはず。
そのときに受けた恩をいま返すつもりで、頼りにされることを受け止めてみてはいかがでしょうか。
新人スタッフの成長を見守ることも、施設をイチから作り上げていくのに必要なことと考えれば、きっと、やりがいも大きくなるでしょう。
また、そもそもスタッフが足りていない状況だということなので、施設長にスタッフの募集状況や予定を確認してみましょう。
現状では、どの業務に支障が出ていて、どれくらいスタッフの負担が重いのか、といったことを具体的に説明すると、急いで対応してくれる可能性もあります。
それでもいっこうにスタッフの増員がなく、ベテランへの片寄った負荷が改善されないなど、働く環境として厳しい状態が続くのであれば、転職も選択肢のひとつかもしれません。
オープニング施設に転職する際は、近隣に既存の姉妹施設を展開させている事業者を選ぶというのも一つの手。
オープニング前に既存施設で実地研修が受けられたり、オープニングにベテランスタッフがサポートに駆けつけてくれることも。
そういうケースであれば、新人スタッフが多くてもスムーズに軌道に乗せることができるのではないでしょうか。
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