◆居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー・管理者) → 介護老人保健施設・居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー・管理者)
R・Tさん(男性・34歳)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:2年/月給手取り約17万円/ケアマネ手当あり)
●居宅介護支援事業所(勤務期間:3年/月給手取り約23万円/ケアマネ手当・管理者手当あり・ボーナスあり)
介護業界でのその他経験:特別養護老人ホーム(正職員/介護福祉士/4年)、病院(療養病床)(正職員/介護福祉士/4年)、居宅介護支援事業所(正職員/ケアマネジャー/1年)
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネジャー)
家族構成:一人暮らし
*R・Tさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【1日の仕事の流れ】ケアマネとしての訪問は1日5件程度
1日のスケジュールはだいたい以下のようなイメージをもって進めています。
9:00~ 法人全体で朝礼。連絡事項を確認したら、居宅介護支援事業所のメンバーで今日の仕事内容を共有。事故なく過ごせるよう、声をかける。
9:10~ 管理者業務に充てている。他職種との連携のため電話連絡なども行う。
10:30~ 事務仕事を片付けたら利用者さん宅へ訪問。様子が気になる利用者さん宅へはたびたび訪ねるようにしている。
12:00~ 一度、事業所に帰り、法人の食堂で昼食。忙しいときなどは、外のラーメン店で軽くすませてしまうことも。
13:00~ 利用者さん宅を3件ほど訪問。担当する利用者さんの中には、ご夫婦ふたり暮らしで介護をする側も高齢というケースもある。できるだけご自宅での暮らしを続けさせてあげたいけれど、今後について少し詳しく話をすることも。
17:00~ 事業所に戻って記録をつける。水曜日は新人の指導、金曜日は16時には事業所に戻って、書類の整理をしっかりする、というサイクルが身についてきた。
18:00~ 残業は極力したくないけれど、利用者さんの家族の中にはこの時間しか連絡できない人も多いので、柔軟な対応を心がけている。
【居宅介護支援事業所での管理者の役割】新案件の割り振りや新人指導に時間を割く
ケアマネジャーとして、39件の利用者さんを担当しています。
担当する利用者さんが多く、また、難しい案件も多いので、頻繁に訪問するようにしています。
また、管理者として、事業所のマネジメントにも力を注いでいます。
デスクワークを朝と夕方に集中させて、できるだけ効率よく業務をこなしています。
新規の案件が多く、誰にどの案件を担当してもらうか、その割り振りや、経営面での計画などに時間を割いています。
以前働いていた事業所でも管理者をやっていますので、管理者としての仕事に戸惑いや悩みはそれほど多くないですね。
うちの事業所にいる先輩ケアマネジャー2人はベテランですから、安心して任せられる。管理者としても恵まれていると思います。
水曜日の夕方は、新人の指導に充てています。困難事例の案件も多い事業所なので、ケアマネとして働く中で鍛えられ、成長してくれていると思っています。
新規の利用者さんを獲得するための「営業」は、今はほとんどしていません。
何もしなくても、地域包括支援センターや他の事業所などから、どんどん案件が舞い込んできます。
むしろ、依頼が多すぎてどうしようかと思うくらいです。
3年間をかけて培ってきたチームワークと、地域連携の結果かな、と思っています。
【ケアマネジャーとしての役割】困難事例にも全力で取り組み解決する
水や電気も止まったゴミ屋敷で一人暮らし、そして突然死…
ケアマネジャーは、困難事例に出会い、解決のために必死に奔走することで、力をつけていくものだと思います。
これまでにさまざまな案件を担当してきましたが、特に忘れられない案件が2件あります。
まず1つ目は、今の事業所ではなく、新人の頃のケースです。
地域包括支援センターから、「生活保護の男性高齢者の一人暮らしで、ゴミ屋敷になっているケースなんです。担当してくれませんか?ヘルパーを入れて対処してくれればいいから」と言われました。
大変そうだけれど、何事も経験だと思い、引き受けました。
しかし、実際の様子は予想以上でした。訪問してみると、とてつもないゴミの山。においもひどく、ライフラインもすべて止まっています。
銀行口座にお金がなく、引き落としができていないのです。あわてて役所の生活保護課に連絡し、電力会社や水道局に話をつけ、電気と水道だけでも再開してもらいました。ようやく人としての暮らしが戻ってくるまでは、毎日訪問していましたね。
一人暮らしで近くに様子を見てくれる家族や知人もおらず、1人で調理ができない方だったので、安否確認と配食サービスをお願いすることにしました。
ようやく落ち着いてきたと思ったある日、休日に自宅でくつろいでいたところ、配食サービスの担当者から電話が。
「利用者さんが倒れています」と告げられたあと、「ちょっと代わります」と言われて電話に出た相手は、警察官でした。
あわてて家を飛び出して利用者さん宅に向かうと、すでに利用者さんの姿はありません。監察や事情聴取の対応、葬儀社の手配、家の片づけ、借家の解約……。命の終焉にこんな形で立ち会うとは……。
利用者さんが亡くなることほど辛いことはありません。もう怖いものはないと思いましたね。
2人家族だと思っていたら4人家族だった…
しかし、もっと驚くことが今の事業所に来てからありました。
地域包括支援センターから紹介されたのは、奥さんと2人で暮らしている高齢者男性。
男性はパーキンソン病で要介護1、奥さんは精神障害があるかもしれないということ以外、私生活は不明点が多いけれどよろしく、ということでした。
訪問してみたのですが、奥さんが「介護なんて必要ない」と言って、中に入れてくれません。
何度も訪問し、ようやく家の中に入らせてもらっても、奥さんに怒鳴られっぱなし。
そんな中、なんとか利用者さんの状況をとらえようと対応していたら、目の前をスーッと通る、ものすごくご高齢の女性が。
「あの方は…?」と聞いてみると、利用者さんが「母です。98歳です」と。
ええっ!?この方の支援も必要だろう、と思っていると、今度は隣の部屋でうめき声が。
なんだろうと思って開けさせていただくと、なんと、下半身麻痺の女性が1人で寝ています。利用者さんに聞いてみると、「娘です」との答えが……。
これまで何の介護の介入もなく、いったいこの家はどうしていたんだ!と驚きました。
事業所に帰って頭を抱えました。借家の家は、家賃を滞納して退去を求められている。生活保護を申請したいけれど、それなりに半端な財産があってすぐには申請できない。後見人をつけようと思っても、奥さんが断固拒否をするんです。
そうは言っても、この4人だけでこのまま生活を続けられるとは思えません。
新たな部屋を探し、転居の手続きや手配、介護の手配、不穏な奥さんへの対応、気が遠くなるほど多い他職種との連携……。必要な介護サービスを受けられるよう、この家族の対応に追われました。
しかし、ある日お宅を訪問したところ、奥さんは不在。なんとご実家に帰ってしまって、音信不通とのこと。奥さんがいなくなってからご主人は弱ってしまい、ほどなくして病院で亡くなりました。お葬式は僕と利用者さんの母親、娘さんの3人であげました。
この事例があってから、本当に、どんな案件が舞い込んでも自分なら対応できる、と思えるようになりました。
最終回の次回は、転職を決めたときのポイントや、介護の仕事のやりがい、将来に向けての展望などを語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
*R・Tさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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