◆飲食店(社員)→デイサービス(パート→正社員/介護職)→デイサービス(正社員/管理者)
S・Uさん(女性・36歳)
●飲食店(勤務期間:4年/月収手取り約19万円/ボーナス約19万円×年2回)
●デイサービス(勤務期間:8年/月収手取り約23万円/管理者手当あり・ボーナス約25万円×年1回)
保有資格:ヘルパー2級(現・介護職員初任者研修)、介護福祉士
家族構成:夫、長男、次男
*S・Uさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【副主任と生活相談員を兼務】営業から契約事務、取り立てまで
利用料を支払わないケースに苦慮する
副主任として異動したデイサービスの現場では、さまざまな業務をしました。
イベントを開催して利用者さんの意欲や機能アップに努めるほか、地域への認知度を高めること。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんに営業に行き、うちのデイサービスをわかってもらうこと。
地域のニーズをとらえ、うちのデイサービスに関心を持った高齢者の方やそのご家族に、見学をしていただき、説明をすること。
どれも熱心にやっていくと、売り上げも増えていきました。
一方、だれも手をつけていない仕事にも着手しました。
長く利用料の支払いのない方がいたのです。
振込の依頼書をお渡ししているのですが、その依頼書もなくしてしまったらしく、同居の娘さんも多忙のようで、なかなか連絡がとれないということです。
しかし、利用中止にしたところで、それまでの利用料の支払いをしていただかなくてはなりません。
管理者に相談しても、送迎スタッフにお願いしても、「気難しくてちょっと怖い人だから言えない」と言うばかり。
ケアマネジャーさんに協力してもらい、全額利用料回収
こういうことがあると、「このままではいけない!」と燃える体質です。
まず、ケアマネジャーさんにコンタクトをとり、協力を仰ぎました。
ケアマネジャーさんから娘さんに連絡をしてもらい、利用料の支払いのお願いをしてもらいました。
そして、私も前もって「1か月ずつの分割でいいからお支払いをお願いします」と娘さんに伝え、その上で、ケアマネジャーさんの訪問のときに私がついていって現金でいただくことにしました。
毎月毎月、ケアマネジャーさんについていき、にこやかに現金で回収していくうち、ついに全額いただくことができました。
管理者にはものすごくびっくりされ、「やさしい取り立て屋さん」というニックネームもいただきました。
【副主任から管理者に昇進】努力と成果が評価された
新しい事業体となり、副主任になって昇進して1年7カ月。
住まいと同じ市内でなじみがあり、地域交流や他専門職との連携も実感のわく地域で、楽しくやりがいを感じながら働いていました。
そんなある日、本部から連絡があり、「管理者の交替をしたい事業所がある。そこで管理者として働いてくれないか。今より住まいから少し遠くなるのが申し訳ないけれど」という打診がありました。
天にも昇る気持ちでした。
自分のしてきた仕事がきちんと評価され、管理者になれるなんて、夢がかなった気持ちでした。
自分が副主任になり、利用料の回収をしたり、新しい利用者さんを何人も獲得したりしたことが数字に表れ、本部の判断につながったのだと思います。
以前の事業体だったら、このような公平な評価はしてくれなかったと思うと、続けていてよかったと、しみじみ思いました。
【企業の合併による勤務体系や処遇の変化】働き方も人事評価も良い方向へ
健康に働くための勤務時間と勤務シフトを徹底
現在は、スタッフのシフトを組むのも私の仕事です。
以前の事業体は、最低でも8時間は働くという勤務形態で、「8~18時間の勤務シフトを作ってください」と言われていました。
でも、今の事業体は、「健康に働くために、原則8時間勤務でシフトを作ってください。そして、1か月全体で8時間×勤務日数を上限とする時間数に勤務時間を収めてください」と言われています。
働き方についても、以前の事業体よりもかなり良くなったと思っています。
給料計算のシステムが以前とは違い、使用するソフトも違うので、操作を覚えるのが大変でしたが、サービス残業がないので、給料計算も難しくなく、覚えてしまえばスピーディにできます。
職務手当や超過勤務手当などもわかりやすく、明細をもらえば、スタッフも納得できます。
もし、スタッフが自分の勤務時間から計算して、実際にもらう金額と合っていなければ、会社への不信感が芽生え、それが人材不足につながり、経営不振にもつながります。
精神論で働くのではなく、きちんとした理論的な処遇で働くことの大切さを知りました。
昇進は年齢や性別とは関係ない
新しくなった会社では、年功序列が撤廃され、昇進は成果を大きく加味して決定されます。
売り上げの数字がちゃんと上がっていれば、女性だろうと若かろうと評価してもらえます。
私は副主任、その後の管理者の立場でも、売り上げを上げることができたので、評価してもらえました。
以前の事業体とは、その点で大きく違い、働きやすさを感じています。
ちなみに、最初の事業体のデイサービスで適当に働いて管理者になっていたそりの合わない現場の上司は、新しい事業体になってから、解雇されることになりました。
少し厳しいですが、当然の結果かもしれない、とも思いました。
【仕事と家庭とのやりくり】夫と相談しながら子どもの世話を分担
最初の異動で、副主任に昇進したとき、長男は小学校4年生、次男はまだ保育園に行っていました。
保育園のお迎え、小学生の放課後の過ごし方など、悩みはたくさんありました。
かといって、役職につくと、定時に帰れないこともありますし、自分自身、やるべき仕事が満載なのに、帰る気持ちになれません。
そこで、夫の協力をあおいでいます。
夫は基本的に夜勤が多い仕事で、勤務は夕方から深夜あるいは明け方までです。
そこで、朝の息子たちの世話や保育園の送りは私がやり、保育園のお迎えや子ども2人の食事の用意などは、出勤前の夫に任せました。
私の仕事に理解を示し、協力してくれる夫で助かります。
しっかり働きたいと思うのなら、一度夫婦で働き方や家事や育児の分担を話し合い、お互いのできることを持ち寄って調整するといいのではないでしょうか。
【1日の仕事の流れ】デイサービスの管理者としての1日
管理者になってからは、より広い視野で、また深く介護について考えながら仕事を進めています。日々やることが多く、多忙ですが、とても充実しています。
1日のスケジュールはほぼ毎日、以下のような感じです。
6:30~ 子どもたちに朝ごはんを食べさせ、洗濯をして下の息子を保育園に送ってから電車に飛び乗る。この時間には電車に乗ると決めているので、家事も手早く済ませる。
7:15~ 出勤。社内のメールチェック、その日にやることのチェックをする。
8:00~ 送迎に出る。利用者さんやご家族と接することで、体調や精神面、ご家族の思いなどがわかるので、送迎を担当することはとても大事だと思っている。
9:30~ デイサービスでのサービス開始。スタッフの人数によっては自分が介護職として現場に入ることもある。合間にパソコンを使った事務作業。
11:45~ 検食もかねて、デイサービスの昼食を食べる。味や咀嚼(そしゃく)のしやすさなども考えながら味わう。
12:45~ 利用者さんとレクをし、話をする中で、サービスのニーズをつかむ。勤務表を作るなどの事務仕事のほか、居宅介護支援事業所のケアマネジャーさんや地域包括支援センターとの打ち合わせがあれば外出する。
16:45~ 利用者さんを送る。無事に帰宅できるとホッとする。
18:00~ 事業所に戻り、事務処理。スタッフが何か悩んでいたり、言いたいことがあるときは、時間を惜しまずじっくり聞く。不満を残して帰らないように配慮している。
20:30 帰宅。子どもたちと話し、宿題や明日の持ち物などのチェック。
最終回の次回は、介護の仕事のやりがい、将来に向けての展望などを語っていただきます。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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