転職活動中、たびたび使うことになるのが「御社」と「貴社」という言葉。実は明確な使い分けのルールがあるのですが、あやふやなまま「履歴書ではどっち?」「面接はどっち?」と、迷いながら使っている方も多いのではないでしょうか。
転職活動では、あなたの印象を左右することもある大事なポイントですから、この機会に正しい使い分けを理解しておきましょう!
「御社」「貴社」は、どちらも相手の会社を指すときの敬語です。何が違うかといえば、使われる場面です。
話し言葉では「御社」、書き言葉では「貴社」を使います。
なぜ、そんな面倒な使い分けがされているのでしょうか。どちらか1つでいいじゃないかと思いますよね。ただ、そこには理由があるのです。
もともと会社を指す敬語としては、「貴社」が使われていました。ただ、会話の中で「きしゃ」と言うと、「帰社」や「記者」などの別の言葉と混同される場合があります。
そこで、『伝わりやすくする』という目的から、話し言葉では「御社」が使われるようになりました。
そして現在では、明確に使い分けることがビジネスマナーとして定着しています。
転職活動では、応募先の会社について言及する場面が少なくありません。具体的に、どんなときに、「御社」「貴社」のどちらを使うか、確認しておきましょう。
●履歴書、エントリーシートなど文書は?
まず、履歴書やエントリーシート、送付状など、文書に記載する場合です。
こちらは書き言葉になりますので、「貴社」を使います。メール送信のようにデジタルの場合でも、書き言葉であることには変わりないので「貴社」を使ってください。
●面接や電話で話すときは?
一方、面接や会社説明会の場面では、話し言葉になりますので「御社」を使います。
電話で問い合わせたり、連絡をとる機会もあると思いますが、直接顔を合わせなくても、やはり話し言葉なので「御社」を使います。
●例外もあり!こんな場合は注意
ただ、1つ注意点があります。面接は「御社」、履歴書は「貴社」という一つ覚えは避けてください。
なぜならば「御社」「貴社」が使えるのは一般の会社組織だけだから。応募先が、それ以外の法人になると使えないからです。
たとえば病院や銀行、省庁のような場合です。
病院ならば「御院」と「貴院」、銀行ならば「御行」と「貴行」、省庁なら「御庁」と「貴庁」というふうに、独自の敬称を使います。
「御社」「貴社」を使わない組織があるということも、社会人ならば覚えておきたいビジネスマナーです。
わかりやすく覚えるために、『面接のように話し言葉の場面では「御」をつけ、履歴書への書き言葉には「貴」をつける』というルールで理解しておきましょう。
「御社」「貴社」の使い分けを誤ると、即、選考に影響するとは限りません。
ただ、ビジネスマナーや一般常識が身についていないというマイナスイメージを与えてしまう恐れはあります。
もちろん、緊張を強いられる面接の場で、思わず言い間違えてしまうこともあるかもしれません。面接全体を通しての言葉遣いや話し方が丁寧で、礼儀をわきまえた態度であれば、多少の言い間違いはカバーできます。
ただ、履歴書は違います。正確さが求められる履歴書で、「貴社」とすべきところを「御社」と記載しているということは、書いたあとに見直しもしていない、あるいは一般常識を知らないと受け取られてしまいます。履歴書を見直していないと判断されれば、志望の意欲そのものが疑われますし、印象はかなり悪くなるはずです。
ですから、まずは「御社」「貴社」の使い分けのルールをしっかり理解すること。
そして、履歴書は必ず見直して書き間違いをなくすこと。
さらに、面接の前には、「御社」という言葉が滑らかに出てくるよう練習したうえで臨むと良いでしょう。
●これはNG!よくある間違い
応募先の会社・企業を指すときに、うっかり「弊社」を使ってしまうというミスは避けたいところ。
「弊社」という言葉は、自分の会社をへりくだって指す言葉
です。間違って使ってしまうと、採用担当者が苦笑いを浮かべるかもしれませんので、気をつけましょう。
また、敬意を示したいからと、「貴社」や「御社」にさらに「様」をつけるのも恥ずかしい間違いです。
「貴社様」「御社様」は二重敬語で誤用です。印象を良くしようと丁寧に言ったつもりが逆効果になりますから、注意しましょう。
「御社」「貴社」の使い分けはビジネスマナーの基本。しっかり注意を払うことが大事です。
ただ、言葉の使い分け以上に大切なのが、志望動機のわかりやすさや説得力、また面接時の発言内容、受け答えの態度、コミュニケーション力、人柄だということを忘れないでください。
言葉にばかり意識が集中してしまうと、あなたらしさが伝わらない可能性もあります。
「御社」「貴社」の使い分けが必要とされるのは、なにも転職活動の場面だけではありません。転職したあとも、取り引き先やお客様との商談シーン、打合せ、メールのやりとりなど、さまざまな場面で使い分けが必要です。
今後も役立つビジネスマナーとして、正しいルールを身につけておきましょう。
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