転職のための面接では、「あなたの長所と短所を教えてください」という質問を受けることがよくあります。
自分のことを質問されているはずなのに、こうやって改めて聞かれると答え方に困ることがあります。どのように答えるのが正解か、迷って言葉が出てこないという場合もあるでしょう。
そこで今回は、転職面接での「自分の長所と短所」の答え方や回答例を紹介します!
面接で多い「あなたの長所と短所」を尋ねる質問。
なぜこの質問が多いのか、その理由から解説します。
面接官が長所・短所を質問する理由は、応募者が自分自身を自己分析できているかどうかを確認するためです。
自己分析ができるということは、「自分自身を客観的にとらえて、評価することができる」ということになります。これができると自分の長所・強みを最大限に発揮し、失敗したときにもその原因を分析してさらに成長するきっかけにすることができます。
「短所」と言うとネガティブに感じられやすいのですが、それは言い換えれば応募者自身が自覚している課題でもあります。
短所と思われる課題があっても、それを自覚して工夫することで企業に貢献することが可能になり、課題を乗り越えることでさらに大きく成長する「伸びしろ」としてとらえることもできます。
また、長所と短所を聞くことで応募者のキャラクターを知ることもできます。
企業風土にマッチするか、どんな仕事で能力を発揮できるか、など採用後の活躍をイメージしやすくなります。入社前に応募者のキャラクターを知ることによって、入社後のミスマッチを防ぐ役割も果たします。
では、実際に長所と短所を聞かれたときにはどのような内容を答えるべきなのでしょうか。
◆長所で話すべき事柄/長所として答えるとよい内容
まず、長所としてどのようなことを答えるといいのでしょうか。
自分の長所を自分自身で言うと、自信過剰に見られてしまうのではないかと躊躇してしまう方もいると思います。ただ、面接は自分の良さをアピールすることができる絶好のチャンスです。躊躇わずに話しましょう。
長所として話すべき内容は人柄です。
面接官は応募者の能力・スキルではなく、人柄・キャラクターを知るためにこの質問をしています。
会社案内やホームページなどで会社の理念や方針を確認し、求められている人物像をもとに話すといいでしょう。
挑戦的で開拓者精神を重視する会社であれば、積極性や好奇心をアピールします。逆に、伝統や誠実さを重視する会社であれば慎重さや真面目さを長所としてアピールするといいでしょう。
◆短所で話すべき事柄/短所として答えるとよい内容
続自分の短所を人に話すというのは抵抗がある方もいるでしょう。ただ、短所や弱点は誰にでもあるものです。
一見短所に見えることも、別の見方をすれば長所になることもあります。恥ずかしがる必要も、躊躇う必要もありません。
大事なのは自分自身が短所や欠点と向き合い、それを克服しようとしている姿勢を見せることです。
課題に向き合う姿を見せることで、向上心の強さや伸びしろの大きさをアピールする機会になります。
自分の長所や短所をはっきりわかっていて、すぐに答えるのは案外難しいものです。
自分を客観視することは難しいため、長所と短所を見つけることは簡単ではありません。
ここでは、自分の長所と短所を探すときにすぐ試せる4つの方法をご紹介します!
①仕事の成功体験・失敗体験を思い返す
1つ目の方法は、仕事での成功体験や失敗体験などのエピソードをもとに長所や短所を見つけることです。
達成感を得た体験をもとにその要因を自己分析すると、自分の長所が見えることがあります。また、後悔した体験をもとにその要因を探れば、自分の短所を見つけることができます。
具体的なエピソードを交えると、長所や短所のリアリティが高まります。
②家族や友人、同僚に聞いてみる
2つ目の方法は、自分を知っている誰かに聞くことです。
自己分析するのではなく、他己分析からも自分の長所や短所を見つけることができます。
自分をよく知る親や兄弟、恋人、友人などから見た自分の性格や特徴を聞きます。そうすることで、自分ではまったく思いもしなかった意外な長所や短所などを発見することができるかもしれません。
③短所から長所、長所から短所を見つける
3つ目の方法は、短所から長所を、長所から短所を見つけることです。
一見、短所と思われることも裏返せば長所になります。
『計画性がない』と感じている性格は、裏返せば『行動力がある』という長所になり、『飽きっぽさ』は『切り替えの早さ』、『理屈っぽさ』は『論理的』という長所になります。
長所と短所を探していたら短所ばかりが見つかるという方は、短所をもとに長所を見つけることをおすすめします。
反対に、長所ばかり見つかる方は、長所から短所を見つけることができるはずです。
④性格診断・自己分析ツールを使用する
4つ目の方法は、性格診断・自己分析ツールを使うことです。
インターネット上の性格診断や自己分析のツールを使うことで、自分の長所や短所を知ることができます。
代表的なツールとして、自分の特性をタイプ別に分類するエニアグラム性格診断や、就職活動のための自己分析診断ツールAnalyzeU+などがあります。
質問に答えることで、自分の性格を診断してくれるので気軽に利用することができておすすめのツールです。
自分の長所が見つかったところで、次は面接でどのように回答するべきかを具体的に解説します。
介護職の転職面接を想定し、自分の長所の答え方について例文を含めて5つ紹介します。
例文をもとに自分の長所のスピーチ文を作りましょう。
◆明るい
性格が明るいというのはコミュニケーションの多い介護現場では重視される長所です。
特にデイサービスなどの通所サービスや入所施設・グループホームなどでは明るく元気なスタッフがいることで、利用者だけでなくチーム全体を活気づけることができます。
自らの「明るさ」が、利用者や他のスタッフにどのような好影響をもたらしてきたかを、エピソードを交えて説明できるといいでしょう。
◆コツコツ
コツコツ型で真面目な性格も大切な長所です。
ただ真面目で勤勉というだけでは具体性がありません。
責任感の強さや1つのことをやり抜く意志の強さなど、業務を通してのエピソードを交えて説明できるといいでしょう。
介護の仕事は利用者との信頼関係が重要視されます。
誠実にコツコツ仕事を重ねていることが評価された経験などを話せるといいでしょう。
◆ポジティブ
「ポジティブ」であることも面接でよく使われる長所の1つです。
何事にも前向きに取り組むことができる姿勢は大きなアピール材料になります。向上心の高さや成長に貪欲であることは、将来的な伸びしろの高さも期待できる要素となります。
◆協調性
協調性があることは介護の職場でも大いに役立つ長所です。
介護という仕事は一対一だけではなく、複数の職員で連携してフォローしあうチームケアです。多くの介護関連企業では職員同士のチームワークを重要視しています。
◆傾聴力
傾聴力の高さも介護の現場で役立つ大きな長所です。
「利用者の話を聞く」一見簡単に思えることですが、話を聞くことにも技術や素質が関係しています。
じっくりと耳を傾けて共感し、相手が秘めている内なる思いを引き出す力を傾聴力と言います。
言語コミュニケーションが難しい利用者も多い介護現場。アンテナの感度が高い傾聴力を持っていることは大きな長所になります。
自分の長所であっても、転職の面接でアピールしても効果的でない長所や不向きな長所はあります。
介護分野での転職面接に不向きな長所はあるのでしょうか?
まず、長所を回答する際に注意しなければいけないのは、短所との一貫性があるかどうかです。
長所として、「努力家」と回答しているのに、短所として「飽きっぽい・諦めが早い」と答えていたら、回答が矛盾しているように聞こえます。また、長所として、「行動力がある」と言っているのに、短所として「優柔不断・他人の意見に振り回されやすい」と答えていたら、面接官は違和感を覚えるでしょう。
長所と短所の内容で一貫性がない回答をすると、面接官は応募者のキャラクターを理解することができません。もちろん人間である以上、多面性があるのは間違いないのですが、少なくとも面接でアピールする部分については一貫性を意識します。
また、企業が求めている人物像とかけ離れた回答は避けた方がよいでしょう。
「伝統」や「信頼」を重視する企業で、「革新性」や「発想力」を過度に強調すると、面接官は人材のミスマッチを懸念する恐れもあります。
短所のボリュームが多すぎるのに対して、長所が少ないことも望ましくありません。
長所と短所のバランスも注意し、自分をアピールすることを心がけましょう。
具体的に介護業界ではあまり好まれない・ふさわしくない長所の例文と解説を紹介します。
◆決断力
決断力を長所としてアピールしたこの回答。
一見、立派な回答のようにも見えますが、介護の現場では必ずしも歓迎される内容ではありません。
介護はチームケアであり、様々な専門職の意見を尊重していくことはもちろん、利用者の思いも尊重しなければ成り立ちません。
面接官からは「独断的で自分勝手」「協調性がない」といった短所として見られてしまうでしょう。
◆長所が抽象的
チャレンジ精神を長所と回答した例です。
好奇心が高いこと、チャレンジ精神があるということは間違いなく長所ですが、回答の内容が抽象的で、具体性がありません。
エピソードなどを交えながら、どのようなチャレンジをして、どのように成長してきたかを回答することが望まれます。
面接官は応募者の粗探しのためではなく、自分の短所・弱点を自己分析できているか、それを改善するためにどんな努力をしているかを確認する意図を持って、短所を聞いています。
自分の短所を言うだけにとどまらず、短所にどう向き合っているかを回答する工夫が必要です。
◆慎重
慎重であることは、言い換えれば「ミスが少ない」「安全への配慮ができる」という側面があるため、必ずしも短所ではなく、長所にもなりえます。
慎重すぎることで日常の介護業務をこなすのが遅くなることや、過剰なリスクマネジメントで業務に支障が出るなどの悪影響が出ないよう工夫をしていることをアピールできるといいでしょう。
◆落ち着きがない
落ち着きがないということは、言い換えれば「行動力がある」と見ることができます。
さらには、複数のタスクを同時進行で進めることに長けている、ハプニングに対する対処が早いなど、介護の現場でも役立つ能力を発揮できる場合が多いです。
ただ、高齢の利用者と接するのに落ち着きがなく、安心感を失ってしまうことはよくありません。ミスを起こさないように、また安心感を与えられるように、どのような工夫をしているのかを伝えることを忘れてはいけません。
◆マイペース
マイペースで自分の業務に集中しすぎるあまり、人と歩調を合わせることをせず、指示を守らないとなると業務にも支障が生じます。
ただ、マイペースなことは淡々と自分のやるべきことに集中できることや、その場の雰囲気に流されない価値観や倫理観を持っているという長所と見ることもできます。
◆おせっかい
余計な世話を焼きすぎる、相手の懐に入り込みすぎるなど「おせっかい」なことがネガティブな要素になることがあります。「おせっかい」は介護職に特に多い傾向です。
ポジティブな言い方をすれば、気配りができ、面倒見がいいとも言えますが、おせっかいが過ぎると利用者との関係でトラブルを生んでしまうことや、ケアチームの足並みがそろわなくなることがあります。
◆内向的
介護の仕事はコミュニケーションが重要視されます。
自分の意見を主張できない、積極性がない、口下手で必要な情報を伝達できないとなると業務上にも支障が生まれます。
内向的という短所も、別の見方で見ると慎重に言葉を選ぶことができる、細かい部分に気が付くことができるといった長所にもなることもあります。
ここまで短所の回答例を紹介してきましたが、短所は何でも隠さずに伝えていいというわけではありません。
短所として面接で話さない方がいい内容もあります。
「すぐにカッとなる」「怒りっぽい」「感情をコントロールできない」など、介護職として性格上不適格と思われるような短所があれば、面接官は採用を思いとどまることでしょう。不適格な人材を採用してしまうことは、企業としても大きなリスクになります。
また、介護の現場はチームワークが重視されるため、チームの和を乱す可能性のある応募者を敬遠する傾向があります。「協調性がない」「ルールを守れない」「時間にルーズ」などの短所は、致命的な欠点となりかねません。介護職には向いていないと判断される可能性があるため、避けた方がいいでしょう。
NGな短所の回答を例文で紹介します。
◆すぐにカッとなる
喜怒哀楽の表現が激しいというのはとても人間味があって親しみやすいキャラクターなのかもしれません。
しかし、介護職という職務は、ストレス耐性がないと務まりません。
認知症の高齢者とのコミュニケーションや、高圧的な利用者によるカスタマーハラスメントなどにも冷静に対応しなければいけません。「カッとなりやすい」という短所はふさわしくないでしょう。
◆短所はない
最もふさわしくないNG回答は「短所がない」というものです。
自分に自信があるのかもしれませんが、短所や欠点がないということは、自己分析ができていないということです。
先に述べた「長所の裏返しは短所」ということからもわかるように、人は誰しもが多かれ少なかれ短所を持っているものです。
それでも「短所がない」ということであれば、「自信過剰」という短所に言い換えられるかもしれません。
面接でのベストな長所と短所の答え方を解説しました。
転職や就職活での面接では、長所と短所を質問されることが多いため、スムーズに回答できるよう、事前準備することが必要です。面接の前に必ず自己分析をし、自分の長所と短所を把握しましょう。
応募先企業の社風や雰囲気に参考にしつつ、長所・短所を伝えることで、採用後の活躍をイメージしてもらうことができます。
短所を話すことは、弱みをさらけ出すことではなく、まだ成長できる可能性・伸びしろの大きさを伝えるためのものだと思い、ポジティブに伝えましょう。
■服装・持ち物に関するマナー
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