金融会社で法人営業の仕事をしていたBさん。まったく縁がなかった介護業界に転職し、なんと介護職がこれまでで一番長い職歴に。
未経験から介護業界にどっぷりハマったBさんの経緯をお聞きしました。
お話を伺った介護士さん
■今、どんな仕事をしていますか?
居宅介護支援事業所でケアマネジャーとして働いています。
自分の利用者さんを35人担当するほか、事業所の管理者として、2人のケアマネジャーを部下に持ち、事業所の運営もしています。
■仕事のスケジュールを教えてください。
週1日は事業所に出社しますが、ほかは基本的に在宅勤務です。自宅で仕事をしながら利用者さんのお宅などを訪問、直帰します。1日8時間の勤務時間を守れば個人的な用事を合間にはさむ自由もあります。
<1日のスケジュール例>
8:30 職員の勤務状況の把握。在宅勤務なのでスマートフォンとパソコンで出退勤やスケジュールを管理する。その他、管理者としての事務作業。
10:00 利用者さん宅、役所などを車で3~4件訪問。ケアマネジャーとしての事務作業は、主に訪問の合間に車中で行う。
16:00 自宅に戻る。残りの事務処理を行う。
17:30 仕事終了。子どもの保育園の迎えに向かう。
■以前はどんな仕事をしていましたか?
高校時代にアルバイトをしていたラーメン店で、卒業後にそのまま店長として働き始めたのが最初の仕事です。20歳で結婚してからは、生活費を稼ぐために、給料の良い仕事を探しては転職。イベント業とバーテンダーの兼業、ホテルのレストラン、そして金融会社の法人営業。どの仕事も勤務時間が長く、体力的にきついのが難点でした。
最後に働いていた金融会社は、ちょうど政府によって融資利率が下方修正される時期と重なり、会社の業績が急落。お客さんに過払い金を支払うことにもなり、このままでは倒産するかもしれない、という不安がありました。
■介護職に転職したきっかけは?
妻の従兄弟が勤務していた障害者支援施設で介護職を募集していると聞き、勤務先が倒産する前に「とにかく転職しよう」と決めて入職。無資格で飛び込んだ業界でしたが、介護のおもしろさにハマりました。
それぞれの利用者さんの体調や個性に合わせてケアや応対をし、直接笑顔をもらえるのがうれしくて、障害者支援施設で7年勤務。介護福祉士とケアマネジャーの資格を取得しました。
その後、資格を生かした仕事がしたくなって急性期病院の退院支援ケアマネジャーに転職しましたが、在宅で生活する利用者さんをもっと支援できる仕事がしたくなり、現在働いている居宅介護支援事業所で、立ち上げから働き始めて2年になります。
■介護職としての仕事に不安はありませんでしたか?
実は、あまり不安はありませんでした。新しいことに挑戦するのが好きなんです。介護の知識はまったくありませんでしたが、とにかく飛び込んでみようと思いました。
オムツ換えや入浴介助なども抵抗はありませんでしたね。自分自身、20代後半で体力もありましたし、身体介護なども戸惑いはありませんでした。
ただ、実際に働いてみると、同じ疾患・同じ症例でも人それぞれ症状が違い、個性も違うので、「その人なりの支援」が難しいと感じることはありました。
■転職後、その不安は解消されましたか?
先輩たちに手取り足取り教えてもらいました。事業所全体で仲が良かったので、どんなことでも聞ける環境だったのがありがたかったですね。職員同士、プライベートでもよく一緒に遊びに行きました。
■転職する前に準備したことはありますか?
介護についてまったく知識がなかったので、まずは介護関連の本を読んでみました。その中で疑問に思ったことなどは、職場を紹介してくれた妻の従兄弟に質問していました。
■それはうまくいきましたか?
やはり、少しでも理論を頭に入れてから仕事に入るほうがスムーズだと思います。介護福祉士やケアマネジャーの試験のために勉強をすることも、とても意義があると感じます。
資格を取る前はざっくりとしたイメージでしかとらえていなかった介護を、根拠をもって取り組めるようになりました。特にケアマネ資格の勉強は、点と点がつながるような感じでした。
■介護職に転職してよかったことは何ですか?
介護の仕事は「ありがとう」と言われることが多く、それが励みになります。金融業のときは融資をして資金繰りを助けることができても、成果が見えにくく、お客様の声を聞けるチャンスもあまりありませんでした。
ケアマネジャーになってからは特に、ご家族などから、「Bさんがついてくれてから、うちのお父さん、精神的にすごく安定してきて助かっています、ありがとう」などと直接声を聞けるのがうれしいですね。
また、ご本人も、訪問に行くとうれしそうな顔をしてくださることが多く、こちらも笑顔になります。
■介護職に転職して大変だと思ったことは何ですか?
看取りの対応は今でも慣れないです。最近、6年間担当していた利用者さんが亡くなられたのですが、やはり辛いですね。本当にこれでよかったのかと自問することも多いです。でも、悔やんでもその方は帰ってこないですから……。その思いを次に生かそうと前向きに考えることが、利用者さんへの感謝だと思うことにしています。
うちは家族の仲がいいので、落ち込んだときは家族と和やかに過ごすことで癒してもらっています。
この仕事を始めて、人生観が変わりました。40代の末期がんの方の看取りをしたときもやはり苦しかったです。自分もいつなんどきそういう場面になるかわからない。生きているうちに一生懸命にいろんなことに取り組もうと思うようになりました。
■これまでの経験やスキルで転職後に役立ったものはありますか?
コミュニケーション能力ですね。飲食業、ホテル業、金融業、どれも接客が大事でしたし、悩んだこともたくさんありました。ケアマネジャーとして利用者さんや家族に接するときも、その経験を生かしています。「この方とはさりげないお付き合いがいい」「あの方はもっと入り込んでお付き合いしたほうがいい」など、ひとりひとりの距離感の取り方を瞬時に見抜けるのは、前職があるからかな、と思っています。
■今後の目標や、やりたいことはありますか?
介護業界は、ICT化が遅れているな、と思います。働いている人の手間や労力を考えたら、いち早くICTを取り入れた方が良いと思います。でも、いまだに紙に手書き、ファクスで送ることも多いですよね。
うちの事業所のケアマネジャー2名も、元々スマートフォンもパソコンも苦手でしたが、時間をかけて使い方を教え、今ではほとんど質問することなくスムーズに使えています。そこで、他事業所でICTを導入するときに何かお手伝いできることはないか、と考えています。この地域の介護ICT化に貢献できればいいなと、新たなビジネスを考えているところです。
介護業界には課題がたくさんあります。それらに取り組み、解決に導いていこうとすれば、やることがたくさんあり、やりがいもたくさんあります。まだまだ介護業界で働いていたいと思っています!
社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
約30年前よりファッションや芸能、子育て、教育などを中心にライターとして活動。2012年、親の介護を機に社会福祉士国家資格を取得し、高齢者介護・医療・健康分野でのライターとしても活躍中。
現在は、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
介護、医療、教育、子育てなどのテーマを中心にWEB雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。
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