◆訪問介護事業所(サービス提供責任者)→訪問介護事業所(サービス提供責任者)
E・Mさん(女性・49歳)
介護業界での経歴詳細
●訪問介護事業所(登録ヘルパー)(勤務期間:1年/月収約15万円)
●訪問介護事業所(登録ヘルパー→サービス提供責任者)(勤務期間:3年/月収約25万円)
●訪問介護事業所(サービス提供責任者)(勤務期間:5年/年収300万円)
●訪問介護事業所(サービス提供責任者)(勤務期間:5年/年収300万円)
保有資格:介護福祉士
家族構成:一人暮らし
*E・Mさんの「転職 成功・失敗 体験談」…
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【施設介護か訪問介護か】私が思う、それぞれの特徴と利点
私は訪問介護が好きで、ずっと訪問介護事業所で働いてきました。
ですが、一般的には、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなど入居施設の介護職として働くケースも多いと思います。
入居施設で介護職として働くメリットは、何より先輩の横で仕事が覚えられること。
最初は戸惑うことが多いので、困ったときにすぐにアドバイスをしてくれる人が横にいるのは、とても心強いです。
施設で働く仲間との友人関係も築くことができるでしょう。
けれど、人間関係が煩わしいものに思えたり、ボスのような人が采配を振りすぎているというケースもよく聞きます。
一方、訪問介護は基本的に一人で介護を行うことになるので、臨機応変な対応が求められます。
困ったときには事業所に連絡をすることになりますが、時間は限られている、利用者さんは「今すぐの対応」を求める、といったところで、悩みもあります。
けれど、利用者さんひとりひとりのご意思に合わせ、尊厳を大事にして介護ができるという点が、訪問介護のすばらしさだと思っています。
介護はそもそも、「ひとりひとりのニーズに合わせたもの」のはずです。
自分の技術や経験から、その方への最良の介護を求め、行動していけるのが、訪問介護です。
【働き方の選び方】登録ヘルパーと正社員の違いは?
都合に合わせて働きやすい「登録ヘルパー」
私は最初は登録ヘルパーとして働き始めました。
登録ヘルパーは訪問介護事業所に登録し、自分の都合のいい時間に働くことができます。
子どもが学校に通っている時間の午前中だけ働きたいとか、家族がいるから土日は休みたいなど、自分の都合を事業所に伝え、仕事をしやすい時間帯だけ働くことができます。
ベテランの登録ヘルパーさんの中には、複数の事業所に登録している人も数多くいます。
一つの事業所だけの所属だと、その事業所のよくない点を感じてつらくなってしまうこともありますが、いくつかの事業所に所属していると、「ここの事業所は人間関係があまりよくないからさらっとつきあっておこう」「こちらの事業所は仕事をたくさん与えてくれるからこちらで稼ごう」など、自分なりに気持ちを整理して働けるようです。
福利厚生とキャリアアップの道が魅力の「正社員」
ただ、登録ヘルパーは正社員ではないので、福利厚生の点では多くは望めません。
資格があるので、時給は他の施設のパート・アルバイトよりも高いところがありますが、家計を背負って働こうと思うのなら、正社員で働くほうがいいかもしれません。
正社員のよさは、なにより社会保険の制度がしっかりしていること、そしてキャリアアップが望めることです。
ヘルパーとして将来を全うしたいと思うのなら登録ヘルパーを続けるのもいいですが、正社員になればサービス提供責任者(サ責)や管理者に昇進していく道が開かれますし、大きな事業所では異動があり、エリアマネジャーや本部勤務などもあり、給与のアップも望めます。
それだけ責任も増えますが、やりがいも増えていきます。
【職場環境】何より人間関係のよい職場を選びたい
思い起こせば、私が職場でつらくなり、転職を考えたきっかけは、すべて人間関係でした。
きついことを平気で言う人、利用者さんのことを考えずに自分本位で考える人とは、なかなか一緒に仕事ができないと感じてしまいます。
だから、今の職場には「人間関係のいいところ」というのを重視して転職しました。
NPO法人なので、理事がいるのですが、理事は全員、非常に温厚で人間的も尊敬できる人たちです。
人の悪口は言わない、というのをモットーにしている方々で、だから、職場の雰囲気がとてもよく、正職員も登録ヘルパーさんも、同等に話し合い、良い介護を目指していける環境にあります。
今の職場には、この点でとても満足しています。
すべての点で満足のいく職場はなかなかないかもしれませんが、自分が「ここだけはゆずれない!」と思う点についてはこだわって、職場を探したほうがいいと思います。
【訪問介護の仕事のやりがい】その人の人生を見届ける仕事
オーダーメイドの介護が実践できる
介護職の中でも、訪問介護の仕事を続けていく人はそれほど多くないかもしれません。
でも、訪問介護の仕事は、介護職の中でもっともやりがいがあるのではないかと、私は思っています。
まず、その方の生活に入り込んで、一緒に生活をよくしていくことができるのがおもしろい。
訪問介護でおじゃましているうちに具合が悪くなって入院された方でも、退院してから「またお願いします」と言われることが多く、自分たちの介護が求められているのだな、と感じ、うれしくなります。
以前よりも状態が悪くなって、ポータブルトイレが必要だな、手すりもいる、と感じたら、カンファレンスを開いてケアマネジャーや福祉用具の担当者と相談をしながら、その方の生活を組み立てていく。
そして喜んでいただける。
自宅に伺う訪問介護でなくては味わえない醍醐味です。
施設介護ですと、その施設に合わせてもらわなければいけない部分もありますが、訪問介護はすべてその方に合わせていける。
オーダーメイドの介護のすばらしさを日々感じています。
利用者さんの生活状況や経済状態に合わせて、タオルを半分に切って使うとか、ペットボトルのフタに穴をあけてシャワー代わりに使うなど、工夫をしながらその方を支えていくのもむしろ楽しく感じます。
国立大学を出ていても、大学教授でも、みなさん等しく年を取り、中には生活が貧しくなっていく方もいます。
いろんな人生があるのだな、と思うことも多いです。
人生勉強ができるのが訪問介護の仕事
そして、死の直前まで関わらせていただけるのもありがたいことです。
独居で、最期の看取りをする家族や親戚は誰もいないという方がいて、その方の最期を我々で見届けさせていただく、という機会もありました。
ふつうなら、なかなか経験できないことに遭遇し、人の生活に寄り添っていけることの幸せを感じます。
そして、昔は自分のことをそんなに幸せだと思っていませんでしたが、家族がいて、友達もいて自由に働ける今の自分の境遇を心底幸せだと思えるようになりました。
人生勉強ができる、最高の仕事だと思っています。
【将来への展望】介護の仕事のすばらしさを世の中に伝えたい
サ責は、登録ヘルパーさんに仕事のアドバイスをする立場ですが、それだけに自分のスキルアップも大切だと思っています。
機会があればさまざまな研修に出て、自己研さんする機会を作っています。
そうしているうちに、介護現場の現状を伝える講師を頼まれる機会にも恵まれました。
今、大学の福祉関係の授業の中で、訪問介護事業所の見学案内や、高齢者の身体の構造の授業などを担当させていただいています。
介護の仕事のすばらしさ、尊さを若い世代にも伝えたい。
そしてもっとたくさんの人に、介護の業界にもっと飛び込んできてもらいたい。
そんな思いも込めて、授業の準備を私なりに一生懸命して、学生たちに話をしています。
これからも、介護の未来を豊かにする仕事がしていけたら、と思っています。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
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