手と指で確かめた身体がつながる感覚。では、足の指で試してみたらどうなるのでしょうか?
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>
こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。今回のテーマは「足」。「足」とはいっても、太ももなどの筋肉の話でなく、注目したいのは「足の指の使い方」です。
手の指と違い、自己主張をする機会が少ないせいか、ふだんは地味なポジションに甘んじている「足の指」ですが、もっている力は手の指に負けず劣らず。 その力を実感できる“実験”をまずやってみましょう。
(写真a)は前回のクエスチョンにもなっていたシーンです。片足立ちをしたわたしの両腕を、相方(モデルは当コラムの編集担当のタネさんです)が上から押さえつけるようにしています。体重を思いっきりかけているのでふつうなら崩れて当然なのですが……ご覧のように安定感抜群! 筋力で抵抗しているわけではないので、立場を入れ替えてやってみても結果は同じ(写真b)。
“細工”といえるようなことはひとつだけ。足の指で新聞紙をつかんでから足をあげるようにしただけなのですが(写真c)、それだけで片足立ちの不安定さが消えてしまうのですから、身体の感覚というのは不思議です。
注目していただきたいのは新聞紙をつかんでいるときの足の指の形。前回まで見てきた身体のつながり感を高める手や指先の感じに似ています。試しにみなさんも、新聞紙をぎゅっとつかんでみたり(写真fの形)、何もつかまない形(写真d)も含めて“実験”をしてみてください。身体のつながり感、安定感がこんなに違うの?!と驚かれると思いますよ。
次回も引き続いて「足指の力」に注目します。
◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同 行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点か らの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生ま れていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体 講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に 講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html
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