介護の仕事は、利用者の生活に寄り添う仕事。人として成長することもでき、他の仕事に代えがたい魅力があります。しかし一方で、肉体的・精神的なストレスは少なくありません。介護特有の仕事のストレス、人間関係のストレス、給与や体力への不安…
介護福祉士・心理カウンセラーの篠雅行さんがアナタのお悩みにアドバイスします。
今週のお悩み事例
たえこさん(特別養護老人ホーム 4年目 フロアリーダー 28歳)
今年、特養のフロアリーダーになりましたが、施設の上層部への対応に苦しんでいます。
上層部からは、なるべく人員を減らして、業務を回してほしいという要望を言われてます。確かに法律で規定されている人員は満たしていますが、ご利用者が重度だったりするので、正直大変です。
上層部に「今のままでも人員が足りないので、減ってしまったら現場が回りません」と伝えましたが、なかなか現場の苦労をわかってくれません。どうしたらよいでしょうか?
篠さんからのアドバイス
たえこさん、日々のお仕事本当にお疲れ様です。
以前にもフロアリーダーの悩みの話をしましたが、本当にフロアリーダーは大変だと思います。(
以前のお悩み相談室はこちら)
私もたえこさんと同じような「上層部が現場の苦労をわかってくれない」という苦しみを何度も味わいました。「なんでわかってくれないんだ!」と憤慨しましたね。「人員不足の問題」から「ご利用者の対応の仕方」まで、テーマは色々ありましたね。
今回は「人員不足の問題」というよりも「上層部が現場を理解していない」ということが、一番のお悩みだと思いますので、そちらに絞りますね。
上層部に現場の状況をわかってもらうために、現場として大事なことは「状況説明」だと思います。
「状況説明」とは、「今、現場がどのように大変で、なぜ人員が必要なのか」をわかりやすく伝えることです。上層部の人も現場を経験しているんだからわかってくれているはず!、と説明を怠ってはいけません。現場スタッフと上層部では、現場の状況の理解度に差があると思っておいたほうがよいでしょう。
現場のことをまったく知らない友人に話すときをイメージして、事細かく伝えてみてください。
その際、具体的にイメージできるように伝えることが重要です。
例えば「20人のフロアを一人でみているから大変」とだけ報告しても、何が大変なのか伝わりません。以下のように現場の状況の絵が浮かぶように説明すると、大変さが伝わるのではないでしょうか?
「夜10時にオムツ交換が必要なご利用者が20人いるのですが、フロアには1人しかいません。ご利用者のAさんが起きて徘徊されています。Aさんに気を配りながらオムツ交換しないといけないので、1時間で終わるところを倍かかる日がほとんどです。無理に時間内に終わらせるために、手袋交換などのルールを守らない人もいます。夜勤明けに腰の痛みを訴える職員も多く、先日介護士のBさんがぎっくり腰をしてしまったのは、このような状況で時間に追われたことが要因と考えられます。」
上層部の頭に現場の状況の絵が浮かび、その大変さが理解できれば、人員を増やすことを検討してくれるのではないでしょうか?そのためにも、他のスタッフから日頃の具体的なエピソードを聞けるようアンテナを張っておくとよいでしょう。
プロフィール
篠雅行(しの・まさゆき)
老人ホームや在宅介護事業所、障害者授産施設で介護職を務めるなかで、介護業界で働く人を精神的にサポートしたいと思い、カウンセラーの勉強を始める。介護福祉士、認定心理士、一般社団法人心理技能振興会 心理カウンセラーの資格を持つ。
公開日:2014/12/25
最終更新日:2019/10/9
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