■書名:質問力
■監修:齋藤孝
■発行所:ちくま書房
■発行日:2006年年第一刷 2013年4月第十ニ刷発行
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仕事の場で活きる「コミュニケーション力」とは「質問力」のこと
大ベストセラーになった『声に出して読みたい日本語』の著者、齋藤孝さんが、「コミュニケーション力の本質」を「質問力」という切り口から解き明かしたのが本書。
「社会で生き抜く力の差はどこから生まれるのか?」――本書を開くとほどなく読み手はこんな問いかけに遭遇する。「生き抜く」という言い回しがなかなか強烈なので一瞬、考えてしまうが、「社会」を「介護の現場」、「生き抜く」を「必要とされる」と置き換えてみれば――「介護する人、家族、職場の同僚や先輩たちから必要とされる存在になるにはどうしたらいいか」ということなのかな、となんとなくイメージは浮かぶ。
一般に仕事場での関係は、友達同士の関係ではないし、儀礼的な関係でもない。ちょうどその中間にあるような関係だ。仕事を通じて初めて会う人とも、意思や気持ちが伝達しあえるように、短い時間のうちにある親しさを共有する関係になる必要がある。齋藤さんは、こうした仕事の場で初めて出会う人と<どれだけ短い時間で濃密な対話ができるか。実はここに社会で生き抜く力の差が生まれてくる>という。そして、対話という「コミュニケーション力」を向上させる力が「質問する力」なのだ、と。
本書は、前半でまず「いい質問とは何か」を分析し、後半では、河合隼雄、吉本ばなな、手塚治虫、北杜夫、黒柳徹子、淀川長治、村上龍、田口ランディ、村上春樹……といった超のつく“質問名人”たちのさまざまな対話を紹介していく。齋藤さんのナビゲーションがあるおかげで、この対話集を読むだけでも新たな発見があって興味深い。
質問力をさらに高めれば、自分よりもすぐれた知見をもつ人とも話をすることができ、自分の成長につながる話を聞かせてもらうことができる。質問力とはそれほど大きな武器になる――この確信が齋藤さんに本書を書かせた力でもある。そんな質問力の向上のためにいちばん大切なことは、「質問力という言葉をいつも耳について離れないようにしておくこと」だそうだ。質問にいつも注意が向く回路が出来れば、自然に質問力はあがっていくという。質問力は活躍する舞台を用意してくれる力にもなるんですよ、と齋藤さん。
<実は私たちは意外にシビアに相手の実力を、つまりコミュニケーション力をもっとはっきり言えば相手の「質問力」をはかっている。たとえば、あまりにつまらない質問ばかりを発する人間とは会いたくないだろう。「この人に会ってもムダだ」と相手から判断されてしまうと、他にすばらしい実力があってもなかなかそれを発揮させてもらえない。つまり、「コミュニケーション力(質問力)」はその他の自分の力を発揮する舞台を用意するために、まず必要とされる力なのだ>
<佐藤>
著者プロフィール
齋藤孝(さいとう•たかし)さん。1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育研究科博士課程修了。現職は明治大学文学部教授。専門は教育論、身体論、コミュニケーション技法。『声に出して読みたい日本語』、『段取り力』、『コミュニケーション力』など多くの著書がある