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2017年12月28日

利用者へのケア、人手不足…介護職がストレスを感じる理由は? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

2015年から、従業員50人以上の職場に、年1回、職場でのストレスチェックが義務づけられました(*1)。受検率は9割以上とのこと。あなたの職場でも、ストレスチェックが実施されたかもしれませんね。
介護の職場ではどのようなことがストレスになっているのでしょうか。
ストレスチェックの業界ごとの結果等は明らかになっていませんので、ここでは介護労働安定センターが毎年実施している「介護労働実態調査」の結果(*2、3)から、介護職の意識について見ていきます。


入所型施設の介護職のほうが、ストレスを抱えやすい?

「介護労働実態調査」によると、介護職は半数強が、「働きがいがある仕事だと思ったから」という理由で、現在の仕事を選択しています。
「仕事の内容・やりがい」に満足している人も半数強。「職場の人間関係、コミュニケーション」についても、半数近い人が満足しています。
そのためか、半数強の人が「今の仕事を続けたい」と答えています。

一方、働く上での悩みや不満についての設問(複数回答)では、全体では半数強、入所型施設の職員では7割が「人手が足りない」と回答しています。
人手が足りなくて仕事に追われることが、介護職にとっては一番のストレスなのかもしれません。

入所型施設の職員は、「仕事内容のわりに賃金が低い」(54.1%)、「有給休暇が取りにくい」(45.5%)、「身体的負担が大きい」(43.2%)など、訪問系職員、通所型施設職員と比べると、悩みや不満を持つ人の割合が多くなっています。
それだけ、より大きなストレスがかかっていると考えることもできます。

▼働く上での悩み、不安、不満等について(複数回答)


*介護労働安定センター 平成28年度「介護労働実態調査」の結果より(「全体」が20%以上の回答のみ転載)

職場での人間関係等についての悩み、不安、不満について尋ねた設問(複数回答)では、最も多かった回答は、実は「職場での人間関係について特に悩み、不安、不満等は感じていない」(30.3%)でした。

次に多かったのは、「部下の指導が難しい」(21.7%)。さらに、「ケアの方法等について意見交換が不十分である」(21.3%)、「自分と合わない上司や同僚がいる」(21.1%)、「経営層や管理職等の管理能力が低い、業務の指示が不明確、不十分である」(20.4%)と続きます。
いわゆる対人関係の問題だけでなく、ケアに関わるコミュニケーションの問題が上がってきているのが特徴的ですね。


介護職が利用者に抱える一番の悩みは「人間関係」ではない

一方、利用者やその家族についての悩みや不安、不満について尋ねた設問(複数回答)では、最も多かった回答は、「利用者に適切なケアができているか不安がある」(44.1%)でした。
次いで、「介護事故(転倒、誤嚥その他)で利用者に怪我をおわせてしまう不安がある」(24.8%)、「利用者と家族の希望が一致しない」(24.3%)と続きます。
つまり、利用者らとの関係性の問題より、ケアに関わる問題を悩みや不満として挙げる人の方が多くなっているということです。

こうした結果を総合して見てみると、介護職の「よいケアを提供したい」という意欲が読み取れます。

離職理由を問う設問(複数回答)では、「職場の人間関係に問題があったため」(再掲 23.9%)、「結婚・出産・妊娠・育児のため」(20.5%)に続き、他業界ではあまり見られない理由、「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため」(18.6%)が、3番目に多くなっています。
介護職は、自分の考えるよいケアを提供できる環境であることが、働き続けるモチベーションの1つなのかもしれませんね。

大きなストレスとなっている人手不足の問題は、すぐには解決できないかもしれません。
しかしそれ以外のストレス、たとえば、ケアに関するコミュニケーションなどは、自分の努力でも少しは改善できそうです。
職場のコミュニケーションの善し悪しは、自分自身の働きやすさだけでなく、ケアの質にも影響します。まずは意見交換からでも、始められるとよいですね。

冒頭で触れたストレスチェックですが、ストレスが高いことが明らかになった人は医師との面接指導を受けることができます。
強いストレスがかかっていてつらいと感じている方は、一度、医師に相談してみてはいかがでしょうか。

ストレスチェックの結果は、8割近い事業者が、職場単位で集計して分析を行っています。この分析結果から、業務の内容や労働時間などと照らし合わせて、職場環境の改善に取り組むことが、事業者には努力義務として課せられています。
介護業界は、人材こそが財産です。ストレスチェックを行った事業者には、ぜひ結果を活用して職場環境の改善を図ってほしいですね。
そして、「今の職場で働き続けたい」と考える職員を増やしていってほしいと思います。

<文:宮下公美子 (社会福祉士・臨床心理士・介護福祉ライター)>

*1 社説 職場のストレスと精神疾患 心の健康管理が不十分だ(毎日新聞 2017年10月18日)
*2 平成28年度「介護労働実態調査」の結果【PDF】
*3 平成28年度 介護労働実態調査 介護労働者の就業実態と就業意識調査【PDF】

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