採用面接では、最初に面接官から自己紹介を求められる場面があります。このとき、何から話せばいいのかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
面接の冒頭で緊張感の高まる中、思い通りの自己紹介ができれば緊張感も取れ、落ち着いて面接を進めることができます。
今回は、どんな自己紹介をすれば好印象につながるか、自己紹介のポイントを解説します。
まず、面接官が面接の場で自己紹介を求める理由は何なのでしょうか?
端的に言うと、企業は応募者の人物像を知るために自己紹介を求めます。
また、自己紹介は自分がどんな人間かをプレゼンテーションする場です。企業側はプレゼンテーションスキルを見極めるとともに、目を見てハキハキと話すなどの基本的なコミュニケーションスキルを確認することができます。
冒頭の自己紹介で人物像が印象付けられますので、その後の面接の流れにも大いに影響します。
「自分のことを知ってもらいたい」という思いが先走ってしまうと、学歴や職歴、経験、特技などを事細かに話そうとしてしまいます。
しかし、自己紹介で求められるのは、自分という人間を簡潔に要約してプレゼンテーションするスキルです。
ここでは、面接での自己紹介の基本について解説します。次に紹介する基本的な4つのポイントをおさえることを意識しましょう。
◆1分程度で話す
特に時間の指定がなければ、自己紹介は1分程度にまとめて話すことを心がけましょう。
厳密に1分である必要はありませんが、必要以上に話しすぎてしまうよりは簡潔にまとめた方が印象は良くなります。
面接という緊張状態の中で時間をマネジメントするのは簡単ではないため、1分という時間を意識して自己紹介できるように練習することも必要です。
◆1分の長さは文字数300字程度
1分間の自己紹介で目安となる文字数は300文字と言われています。自己紹介の内容を300字で収めるように心がけましょう。
1分間の自己紹介で、300文字よりも多く話そうと思うと早口になります。また、遅すぎても間延びしてしまい熱意が伝わりません。
300文字の中で自分という人間を知ってもらえるような自己紹介を構成しましょう。
◆簡潔にプロフィールを話す
自己紹介ではプロフィールをできるだけ簡潔にまとめるといいでしょう。
これまでの職場でどのような経験をしてきたのか、どのように能力を磨いてきたのかを詳細にアピールする場ではありません。面接官が興味を持つ内容であればその後に質問されるので、詳細は質問されたときにアピールするといいでしょう。
具体的なエピソード・詳細は省略し、ポイントをおさえた自己紹介を意識してみてください。
◆大きな声でハキハキと話す
大事なのはスピーチする内容だけではありません。
声のトーンや話し方も見られています。はっきりした大きな声でハキハキと話すことが第一印象アップにつながります。
自信のない話し方や弱々しい声では、十分なアピールができません。姿勢や目線の向け方など視覚的な印象も面接の結果を大きく左右します。
大きな声で、自信を持って自己紹介をしましょう。
面接の自己紹介にいて、面接官に必ず伝えなければならないことについて解説します。
自己紹介は時間も限られているため、話す内容は簡潔にコンパクトにまとめる必要があります。その限られた時間の中でも必ず伝えなければいけないことが3つあります。
それは、「名前と挨拶」「現職もしくは前職の社名・所属・職種について」「意気込み・締めの言葉」です。
この3つのポイントについて詳しく解説します。
◆名前と挨拶
まずは自分が何者かを知ってもらいます。
自己紹介で最初に伝えるのは自分の名前です。当然のことですが、氏名は必ずフルネームで伝えます。
この際に「よろしくお願いいたします」や「お時間をいただきありがとうございます」といった明るく元気な挨拶を加えましょう。
元気な挨拶は面接の場の緊張感が和らぐ「アイスブレイク」としての効果もあり、その後の面接の流れがスムーズになるだけでなく、面接官の印象にも残りやすくなります。
◆現職もしくは前職の社名・所属・職種について
在職中の方は現在勤務中の会社名・所属・職種を伝えます。すでに退職している場合は前職について伝えます。
特に介護士の場合は、現職もしくは前職のサービス種別、特別養護老人ホーム・デイサービス・訪問介護事業所などの事業所情報を欠かさずに伝えましょう。
保有している資格(介護福祉士・介護支援専門員など)について、採用後の業務で生かせるものがあればここで伝えます。
具体的に取り組んでいる業務内容やこれまでの実績などをアピールすることもできますが、簡潔に伝えることを心がけましょう。
◆意気込み・締めの言葉
面接の最後に意気込みを伝えます。
応募した理由や、採用されたらどんな仕事をしていきたいかなど、自己紹介の最後に自分の思いを伝えます。
意気込みを伝えるとともに、企業が求めている人物像や技術・能力をアピールすることもできます。ここでは詳細に伝える必要はないので、簡潔にポイントを絞って伝えましょう。
最後に一言、「よろしくお願いいたします」と言うのも忘れないように注意しましょう。
「自己紹介といっても、何をどう話せばいいのかわからない」という方は、例文をもとに自己紹介文の作成をおすすめします。
下記では、介護分野における転職の面接ではどのような自己紹介が好印象になるのかを「介護士が別の事業所で介護士として転職する場合」と「異業種から介護士として転職する場合」の2パターンの例文を紹介します。
例文を参考に自分らしくアレンジし、自己紹介の原稿を作りましょう。
●パターン1:介護士→介護士の転職の場合
●パターン2:異業種から介護士への転職の場合
ここでは、好印象につながる自己紹介のポイントを解説します。
◆姿勢に注意する
緊張のあまり背中が丸くなり、下向き加減になると、自信がなさそうな印象に見られてしまいます。
胸を張って、背筋を伸ばすと自信に満ちているように見え、信頼感もぐっと高まります。
◆にこやかな表情
緊張のあまり表情がこわばってしまうと、暗い印象に見られてしまいます。
介護士は特にコミュニケーションを重視する仕事なので、表情は重要な技術の1つです。
表情は口角を上げてにこやかにし、コミュニケーションスキルの高さを印象付けることが大事です。
◆丁寧な言葉遣い
面接の場では、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
目上の人に対する言葉遣いだけでなく、専門用語の使い方にも注意が必要です。「特養」ではなく「特別養護老人ホーム」、「カンファ」ではなく「カンファレンス」など、正しい言葉を略さず使うことを意識しましょう。
◆志望動機・熱意を簡潔に伝える
自己紹介の中に、志望動機や仕事への熱意を含めると印象に残りやすくなります。
ただし、自己紹介では簡潔にまとめることが重要なので、さわりだけで構いません。その後に志望動機や意気込みを聞かれたときに詳細を伝えましょう。
自己紹介のコツだけでなく、注意点やNGについても紹介します。
どんなに内容の優れたキャリアや能力を持っていても、社会人としてふさわしくないと思われる行為や、介護士として不適切と思われる言動があれば、企業側は採用をためらうでしょう。
自己紹介で第一印象が決まるため、NG行為や不適切な振る舞いがあれば第一印象の悪さが大きなインパクトとして残ってしまいます。
面接の自己紹介で避けたい減点ポイントを4つ紹介します。
◆名乗らないのはNG
まず、自己紹介において自分の名前を名乗らないのはNGです。
緊張から肝心の名前を言うことが頭から抜けてしまうこともあります。名乗らなかったからといって即不合格になることはありませんが、ビジネスの場では自分が何者であるのか、所属と名前を名乗ることが当然のマナーとして考えられています。そのため、いくら緊張していたとはいえ、印象はよくありません。
面接では名字だけで名乗るのもNGです。必ずフルネームで自己紹介をしましょう。
◆自己PRと勘違いしている
自己紹介は1分を目安に簡潔にまとめる必要があります。
自分の特技やキャリアの実績、前職での成功エピソードや経験などを詳細にアピールするのは自己紹介ではなく「自己PR」です。「自己紹介」と「自己PR」の違いをしっかり理解し、質問者が何を知ろうとしているのかを把握することが重要です。
自己紹介では、限られた時間の中で自分が何者かを簡潔にプレゼンテーションすることが求められます。
だらだらと長く要領を得ないスピーチをすることは求められていません。
◆趣味や性格について長く話す
通常1分間でまとめる自己紹介の中では、自身の趣味や性格の話をする必要はありません。
「自分がどのような人間なのかを知ってもらいたい」という気持ちもわかりますが、面接官が最も知りたいのは「企業にとって戦力になれる人材かどうか」です。
介護業界内での転職であれば、即戦力としての採用を考えています。趣味や性格・キャラクターよりも、技術や経験・実績の方が重視されます。趣味や性格については質問があるまで自分からアピールする必要はありません。
企業側の目線を意識しながら話す内容をまとめましょう。
◆口癖に気をつける
「あ~」「え~」「あの~」などの口癖は出てしまいがちです。口癖が多いことで不採用になることはありませんが、あまりに多いと印象は悪くなります。
口癖はまったく意識せずに出ています。癖を修正するためには、自分の話している内容を自分の耳で聞くことが一番です。スマートフォンなどを使って録音し、耳障りな癖がないか確認してみてもいいでしょう。
何度も練習して、自己紹介を滑らかに話せるように目指しましょう。
転職面接での自己紹介について、コツやNGポイントについて例文を交えて解説しました。
1分間という限られた時間の中で自分という人間を表現するというのは大変難しいことです。
話す内容ももちろん大事ですが、それと同等に大事なのは話し方・姿勢・表情などです。
堂々としており、表情の明るい人は面接官の印象にも残ります。自己紹介に成功すれば、緊張もほぐれ、質問にも落ち着いて受け答えができるようになります。
人を相手にする介護の仕事においては、コミュニケーションスキルの高さは大きなアピール材料になります。ぜひ好印象につながる自己紹介ができるように練習しましょう。
■服装・持ち物に関するマナー
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