厚生労働省は8月7日、高齢者施設で新型コロナウイルスの感染が発生した場合、重症化リスクが高いことを踏まえ、感染が疑われる者への速やかなPCR検査など適切な感染管理を求める旨の通知を行った。特に、高齢者施設の入所者は移動が困難等の理由で受診できない場合があることから、施設を出張訪問し検体採取が実施できる体制も重要だと明記し、都道府県、高齢者施設それぞれへ必要な体制整備について伝えた。
PCR検査の対象となる「感染が疑われる者」の要件としては
▽発熱または呼吸器症状があり感染が確定した者と、その濃厚接触者
▽37.5度以上の発熱かつ呼吸器症状があり、発症前14日以内に感染症の流行が確認されている地域に渡航または居住していた者と、その濃厚接触者
▽37.5度以上の発熱かつ呼吸器症状を有し、入院を要する肺炎が疑われる(特に高齢者または基礎疾患がある者については積極的に考慮)
▽新型コロナ以外の呼吸器感染症の病原体検査での陽性者で、その治療への反応が乏しく症状が増悪した場合
▽その他、医師が総合的に判断した場合
――としている。
都道府県に対しては、施設で出張検査を行う場合
▽採取した唾液検体を回収する際のサージカルマスク、手袋の着用
▽鼻腔や咽頭からの検体採取時はサージカルマスクを着用しゴーグル、フェイスシールド等で目を保護、ガウンおよび手袋を装着
――といった感染予防を万全にすることとし、衛生部局や保健所に対しては、これらに必要な感染防護資材の準備を求めている。
また、鼻咽頭ぬぐい液等の検体採取や検体の取扱等の手技、物品消毒・廃棄を含めた研修を実施し、安全・円滑に検査が実施できる人材の確保に努めておくこととした。
感染が発生した高齢者施設に対しては、検体採取を行う場所の清掃と適切な消毒、十分な換気を行うと共に、濃厚接触者とその他の者が接触しないよう、実施場所までの動線を分ける必要があるとした。加えて入所者、職員それぞれで「感染者」「濃厚接触者」「その他の者」がわかるようリスト化し、PCR検査を受けた者と検体採取日を記録することを求めている。
<シルバー産業新聞 9月10日号>