厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長=田中滋・埼玉県立大学理事長)は7月28日、今年度行う「介護従事者処遇状況等調査」の内容について了承した。当初、国の案では居宅介護支援事業所のケアマネジャーは対象から外れていたが、反対意見が相次いだことから、一転、対象に含めることを決めた。
同調査は、介護従事者の処遇の状況や介護職員処遇改善加算の影響などの評価を行い、今後の介護報酬改定の基礎資料を得るために行う。元々、同調査では介護職員のみだけでなく、介護事業所・施設に勤務する看護職員やリハビリ専門職など職種別の平均給与額も調査・公表されており、2018年度までは居宅介護支援事業所のケアマネジャーも含まれていた。ただ、昨年度の調査で、18年度改定で新設された介護職員等特定処遇改善加算の影響を細かく把握するために、調査対象に介護職員が多く配置されている通所リハ、特定施設、小規模多機能を追加した一方、加算対象ではない居宅介護支援は対象外とした。
厚労省は当初、調査対象について「昨年度と同様」とし、今回も居宅ケアマネを対象から外すことを提案。「介護職員の処遇の状況や処遇改善加算の影響の評価を行う本来の目的に立ち返って細かく把握する」と主旨を説明したが、「居宅のケアマネを対象から外す理由にならない」などの声が相次ぎ、見直しを迫られていた。
今回の調査では、2021年度介護報酬改定で処遇改善加算などの職場環境等要件が見直されたことを踏まえ、給与の引き上げ以外の処遇改善の取り組み内容をより詳しく把握するために今回の調査項目を一部見直したほか、利用控えや営業時間の短縮など新型コロナウイルスによる処遇への影響を把握するための項目も追加する。
今年10月に調査を行い、来年4月に結果を公表。その後、同分科会への報告が予定されている。
<シルバー産業新聞 2021年8月10日号>
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