保険者が策定する第8期介護保険事業計画(21年度~23年度)による、各サービスの見込み量や実績値などの集計結果が厚労省より発表された。
この集計の中から2020年度の実績値と、第7期(18年度~20年度)の時点で推計された20年度のサービス見込み量とを比較してみると、当初、保険者が見込んでいたサービス量と実際のサービス整備量が大きく乖離している実態が見えてくる。
たとえば、在宅介護ではホームヘルプのサービス量を20年度時点で122万人見込んでいたのが、実際は114万人で達成率は93.4%。デイサービスも244万人の見込みに対し219万人で89.8%と、1割以上も下回っている。厚労省の担当者は「認定率が想定以上に下がっているのが一番の理由」と説明するが、人手不足の問題を背景にサービス量が確保できない実態などがあり、正しい分析を進めるべきだ。
一方、訪問看護は、59万人→61万人(+3.4%)と当初の推計値を上回る整備結果になっている。入院日数を短縮し、自宅や地域を療養の場にしていくのが地域包括ケアの狙いだが、訪問看護だけは見込み以上に機能しているといえる。
ただし、地域包括ケアシステムの切り札として、国が推進しているはずの地域密着型サービスは伸び悩んでいる。小規模多機能は14万人が11万人で78.6%。看多機も2.1万人が1.5万人で71.4%、定期巡回・随時対応型については、3.5万人が3万人で85.7%と、いずれのサービスも当初の見込みを大幅に下回っている。事業経営や人材確保の面で現場が苦戦している実態があり、描いていたサービスの整備量に届いていない。
さらに居住系・施設系も人材不足を背景に、当初の予想通りに整備されていない。特定施設は28万人が26万人で92.9%、グループホームも22万人が21万人で95.5%、特養は65万人が62万人で95.4%と、いずれも当初の見込み量に届いていない。
老健は療養病床からの転換分も含め43万人を見込んでいたが、実際は35万人で達成率は81.4%になっている。
第6期からは、安倍前政権が「介護離職ゼロ」を打ち出し、2020年代初頭までに、特養・老健・グループホーム、小規模多機能、定期巡回など、合わせて12万人分の受け皿を追加で整備するよう指示したが、建設費の高騰や介護人材確保を背景に、当初の予想を下回っている状況だ。
被保険者が納める介護保険料は、サービス見込み量から算出される。見込み量に届かない実態がどこにあるのかを正しく分析するとともに、介護保険事業計画策定のPDCAサイクルの精度を高めていく努力が必要である。
<シルバー産業新聞 2021年6月10日号>
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