「介護休業給付」とは、職場復帰を前提として家族を介護するために
介護休業を取得した場合に支給される給付金です。
家族の介護が必要になり、仕事を休むことになっても、経済的な負担を軽減する制度。それが介護休業給付です。
「介護休業給付」の対象者は?
「介護休業給付」を受給するための条件は、大きく分けて次の3つです。
1.雇用保険の被保険者であること
2.常時介護が必要な家族を介護するため、2週間以上の休業が必要なこと
3.職場復帰を前提として介護休業を取得していること
1.雇用保険の被保険者であること
雇用保険の被保険者として、
1年以上の雇用期間が必要です。
具体的には介護休業開始日の前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上あることが条件とされています。
2.常時介護が必要な家族を介護するため、2週間以上の休業が必要なこと
家族が
2週間以上の介護が必要な状態にあるときに取得できます。
対象となる家族は、「配偶者(事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)」「父母(養父母を含む)」「子(養子を含む)」「配偶者の父母(養父母を含む)」「祖父母」「兄弟姉妹」「孫」となっています。
3.職場復帰を前提として介護休業を取得していること
被保険者は介護休業を取得する際に、その期間の初日と末日を事業主に伝えなければいけません。そして、申告した休業期間終了後には職場に復帰します。
あくまで
職場復帰を前提とした介護休業が対象となります。
以上が介護休業給付を受給するための条件となります。
介護休業給付の対象になるかどうかは、事業所を管轄するハローワークに確認することをお勧めします。
「介護休業給付」の申請方法は?
申請は原則、事業主が行います。
介護休業を申請するときには、事業主に
「介護休業届出書」と、介護が必要となった家族との関係を示すための
「住民票記載事項証明書」を提出します。
事業主は、事業所を管轄するハローワークにて、申請手続きを行います。
申請するにあたり、介護休業給付金支給申請書を提出することになります。添付書類として、被保険者から提出された介護休業届と住民票記載事項証明書、出勤簿やタイムカードなど勤務の実績を確認できる書類、賃金台帳等賃金の支払い状況を確認できる書類を併せて提出します。
もし、事業主が申請を行わない場合は、被保険者個人でハローワークに行って申請することも可能です。
●いつ申請すればよい?
「介護休業給付」の申請期間は、
介護休業の終了日の翌日から2ヶ月を経過する日の属する月の末日までとなっています。つまり、4月15日まで介護休業を取得していた場合は、4月16日から6月30日までの間に申請が必要となります。
申請期間を過ぎてしまった場合も2年の時効期間がありますので、支給申請を行うことが可能です。詳細については管轄のハローワークにお問い合わせください。
申請後、介護休業給付の支給決定通知書が届くと、1週間程度で指定の口座に入金されます。
「介護休業給付」の支給金額は?
介護休業開始時の
賃金の日額の67%を、支給日数分だけ受給することができます。
最長93日を限度に、3回まで受給することが可能です。
注意点
介護で仕事を休まなければいけない状況にあっても、一定の収入を保つことができる介護休業給付は経済面でも、心理面でも大きな支えになる制度です。
ただし、まだまだ介護・育児休業に対する社会の理解は薄いというのが現状です。特に男性の介護休業には社内の理解が得られないこともまだまだ多く、取得をためらう方もいます。
事業主側も十分に制度を理解していない場合もありますので、被保険者側も資料・パンフレット等を読むなど、
介護休業給付に関する制度を理解しておきましょう。
また、介護休業給付の支給対象はあくまで
職場復帰を前提にしている場合のみです。休業後に退職し、職場復帰しなかった場合は給付を受けることができません。
まとめ
今回は介護で仕事を休まなければいけない家族の経済面の負担を軽減する、「介護休業給付」について紹介しました。
介護休業が必要な雇用保険の被保険者が受給できるのが介護休業給付です。
家族の介護には心身ともに大きな労力が必要になります。しかし、介護離職によって収入や社会的地位を失うことは、将来に大きなマイナスになりかねません。
介護休業給付をはじめとした、助成制度、補助金や手当なども活用し、職を失わずに介護を続けることを目指しましょう。一人で悩みを抱え込まず、事業主・行政・ケアマネジャーなどに相談し、解決していきましょう。