毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「ヘルパーに『偉いね』は禁句?」という話題について紹介します。
「仕事をしているだけなのに、なぜ『偉い』?」ヘルパーの心情
どんな仕事に就く人であれ、表面上は「褒められるためにやっているわけではない」という態度を示しつつ、実際に人から仕事を褒められたらイヤな気分はしないはず。ところがヘルパーとして働く40代の女性・Hさんは、ある褒め言葉に非常にイラッとしてしまうという。
「私が『介護の仕事をしている』と言うと、かなりの確率で『偉いね~』って言われるんですよ。もちろん相手にはまったく悪気なんかないんでしょうけど、そう言われると、『よく介護の仕事なんてやってるね』『わざわざモノ好きな』って言われてるような気がしちゃうんです。
そりゃあボランティアで介護をしてるんだったら『偉いね』でもいいでしょうけど、私は仕事で介護をしていて、お金をもらってやってるんです。そもそも自分の職業を言って『偉いね』って言われる仕事ってあります? あまりにもしょっちゅう言われるので、正直『偉いね』って言われると、イラッとしますね」
介護の偏ったイメージを変えていくには…?
「『偉いね』という言葉には、そんな大変な仕事は『私にはできない』『私ならやらない』というニュアンスが含まれている」と熱弁するHさん。その場に同席したヘルパーのAさんは「イラッとするほどではないけど…」と言うが、同様の経験は何度もあるそうだ。
ヘルパーのAさんはこう語る。
「私も『偉いね』とか『大変だね』っていうのは、何回も言われたことがありますね。私は、どんな仕事だって大変だし、どんな仕事だって偉いと言われる価値があると思っているので、いつも適当に受け流しています。でもHさんの話を聞いてると、確かに『偉いね』って、何て言うか“上から目線”な感じはしますね」
Hさんのことを「ひねくれすぎ」「被害妄想」と否定するのは簡単だ。しかし、『偉いね』『大変だね』という言葉は、一般の人が介護に対して「キツイ」「賃金が安い」などのイメージを抱いている証拠なのかもしれない。
何か言われるなら、
「私も介護職に憧れています」、「介護の仕事って、楽しそうですよね」
そんな風に、人に言われたいもの。
そのためには、介護職自身がイキイキと働き、周囲に仕事の楽しさを伝え続けていくことが重要かもしれない。
公開日:2016/2/1
最終更新日:2019/4/10