毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。今週は、「関西弁は難しい?」という話題について紹介します。
関西に引っ越し、微妙な関西弁を使うようになったHさん
社会人として世に出れば、誰でも1度や2度は不条理な思いをするもの。自分はまったく悪くないのに、お客さんや上司などに怒られ、納得いかずに腹を立てたことがある人は多いだろう。関西地方でヘルパーとして働くHさんは、関西弁で不条理な思いをしたことがあるという。
Hさんは東京育ちで、結婚に伴い関西に引っ越しした40代の女性。結婚するまでは“標準語”を話していたHさんだが、関西出身の夫はもともと関西弁を話し、地元で生まれた子どもたちもバリバリの関西弁なため、Hさんは今や“微妙な関西弁”になっている。そんなHさんにある時、とんだ災難が降り掛かった。
「訪問介護の事業所で働いているのですが、ある時、新たにYさんという男性を担当することになったんです。そこで、前もってどのような利用者さんなのか把握するためにYさんを担当したことがある先輩に聞くと、『おしゃべり好きで、愉快な人よ』と。私もおしゃべり好きなので良かったな~と思っていたんですが、初めてお宅に伺っておしゃべりしていると、Yさんがみるみる不機嫌になったんです。だから『今日は体調でも悪いのかな』と思い、その日はおしゃべりを止めて、淡々と仕事をこなしたんです」
利用者が抱いた、ヘルパーへの不満とは?
しかしその後、HさんがYさんのお宅に伺うたびにYさんの機嫌は悪くなり、そのことを先輩に話すと、「機嫌が悪かったことなんて1度もなかった」「全然気難しい印象なんてない」とのこと。そこでケアマネジャーに相談すると、思いもよらぬことに不満を抱いていたという。
「一言で言うと、Yさんは私の話し方がイヤだったんです。具体的にどういう言い方をしたのか知りませんが、要するに私の“下手くそな関西弁”が気に障ると。仕事場では標準語を話しているつもりだったんですが、やっぱり20年以上関西で過ごしていると、気づかないうちに関西弁がうつっていたんですね」
そのことを家族に話すと、夫は「下手に(関西弁を)真似されると、確かに気になって直したくなんねん」と、Yさんの肩を持ち、「お前は標準語話しとき」と言ったのだとか。以来、Hさんは夫のアドバイスを守り、意識して標準語で話すようにしているようで、Yさんとのおしゃべりは少しずつだが増えているそうだ。