毎回、介護にまつわる問題点やちょっと困った介護スタッフの珍行動、介護現場での珍事件などを紹介するこのコーナー。
今週は、「スマホがあれば先輩はいらない?」という話題について紹介します。
スマホの普及で老人ホームでの娯楽にも変化が
最近の若者の必須のアイテムは、何と言ってもスマートフォン(スマホ)。
メール、SNSの更新、インターネットサイトのチェック、アプリゲーム、動画の視聴、写真や動画の撮影など、その用途は極めて広く、「忘れると1日落ち着かない」という人も多いようだ。
そんなスマホの普及は、介護現場にも大きな影響を与えているという。
都内の介護付き有料老人ホームで働くフジワラさん(40代・女性)はこう語る。
「入居しているお年寄りの娯楽と言えば、これまではラジオやテレビ、本、雑誌、新聞などが王道でしたが、ここ数年は最新のスマホやタブレットなどを使う方が増えています。
私が働いている施設では、お子さんやお孫さんからスマホやタブレットなどをプレゼントされ、
テレビ電話で毎日お子さんと話したり、小さなお孫さんの動画を送ってもらってうれしそうに眺めたりしている姿をよく見かけます。中には、私よりもよほどスマホの使い方に慣れている方さえいます」
介護現場でもスマホ世代が活躍!
とはいえ、年配の方は基本的に最新機器に弱いもの。
そんな時に活躍するのが、生まれた時には携帯電話があり、学生時代からみっちりとスマホを使ってきた世代の若手スタッフだ。
スマホがきっかけで利用者とコミュニケーションが図れるようになった新人もいたという。
「2年ほど前に30代手前で新人として入ってきたAさんは、非常に無口な上に表情も乏しく、『あの子、続くかしら?』という声が上がるような子でした。
ところが、パソコンやスマホなどに滅法強く、入居者さんのみならず、機械に弱い年配スタッフがパソコン関係のことで困っていると、必ず問題を解決してくれるので、今ではなくてはならない存在になっています。聞けば、学生時代に不登校だった時期があり、その時にパソコンやスマホばかりいじっていたそうで、本人も
『まさか何気なく使っていたパソコンやスマホが役に立つとは思わなかった』と、満足しているようです」
なんでもスマホで解決したがる?!スマホ世代の困った習性
しかし、スマホに習熟している若手スタッフには、ある問題があるという。
分からないことがあると、先輩に聞くよりもスマホやインターネットに答えを求めてしまう人がいるのだ。
フジワラさんがこう嘆いている。
「ウチの施設では就業時間中、連絡手段としてスマホを携帯するのはOKですが、それ以外の用でスマホを使うのは原則NGです。しかし若手の子たちは、分からないことがあった時、先輩にわざわざ聞くのが面倒なのか、あるいは怒られるとでも思っているのか、
すぐにスマホで検索をして問題を解決しようとするのです。
例えば、『レクリエーションの参加を嫌がるお年寄り』なんてキーワードで検索しても、ネットで正しい答えが見つかるはずはありません。しかし彼らにはそのことが分からないようで、杓子定規に“レクリエーションをやる理由”を説明したり、勝手に体調不良を疑ったり……。
利用者さんの気持ちなんて、ベテランスタッフだってなかなか分からないのに、インターネット検索だけで分かれば苦労しませんよね」
便利なスマホにも正しい知識と教養が必要
若手の子たちのスマホ依存は深刻で、一緒に御飯を食べに行ってもスマホから目を離さない子がおり、キツく叱りつけたこともあると語るフジワラさん。
今や、日常生活に浸透したスマホ。
介護現場でもコミュニケーションのツールとして活躍しているスマホだからこそ、正しく使いこなすために正しい知識ときちんとした教養が要求されることを覚えておく必要がありそうだ。
公開日:2019/10/21
最終更新日:2020/2/26
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