◆グループホーム(パート→契約社員)→住宅型有料老人ホーム(パート→正社員/リーダー)
U・Kさん(女性・53歳)
介護業界での経歴詳細
●デイサービス(パート)(勤務期間:5年/月収約14万円)
●デイサービス(パート)(勤務期間:3年/月収約15万円)
●グループホーム(パート→契約社員)(勤務期間:3年/月収約17万円)
●住宅型有料老人ホーム(パート→正社員)(勤務期間:7年/年収約500万円/介護福祉士手当あり)
保有資格:介護福祉士
家族構成:長女、長男
*U・Kさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
【介護職になったきっかけ1】離婚後自立するための職業として
結婚後は専業主婦として幸せな生活をしていたけれど…
高校を卒業し、10年以上営業事務などを続けて、結婚をしました。
金融コンサルタントの夫は、元来真面目な人。
個人事業主として手堅く仕事をしていて、生活に困ることはなく、私は2人の子どもを育てながら、専業主婦として幸せな毎日を送っていました。
しかし、あるとき、夫の浮気が発覚したのです。
あの真面目な夫が浮気!?しかも、私が知っている女性と、です。
悔しかったかといえば、実はそうでもありませんでした。
その女性は男性にモテることで有名で、夫が彼女に踏み込めば面倒がられて振られるのだと、確信できたのです。
予想通り、夫は振られました。
それで本来は一件落着なのかもしれませんが、夫は必要以上に落胆し、ご飯も喉を通らなくなりました。
家族の前でも隠すことなくそんな姿を見せるなんて。
そして私も傷ついて、「この人と離婚しよう」と思いました。
夫に突然すすめられたのは「介護の仕事」
夫は「離婚したい」と切り出した私に、驚きを隠しませんでした。
「何言ってるんだ、暮らしていけないだろう?」と。
では、妻は浮気されても、専業主婦で収入がないから、がまんしなければいけないのでしょうか?
「働くわよ!」と私は啖呵を切りました。
本来、働くのは好きだったのです。
「妻は家にいるべき」という考えの夫に合わせて専業主婦をしていたけれど、これからは外に出て、自分の力を発揮しよう、と強く思いました。
でも、何をしていいのかわからない。
ずっと遠ざかっていた営業事務の仕事は、パソコンを駆使するような仕事に変わっていて、自分にはすぐになじめそうもありませんでした。
すると、夫がいきなり
「介護の仕事がいいんじゃない?」と言ったのです。
「君は外でちょっと困っているおじいさんとかおばあさんがいると、必ず駆け寄って何か世話をしているじゃない。
きっと向いているんだよ」と。
介護ってどういう仕事?しかも、別れる夫にすすめられた職業に就くなんて…と思いましたが、たしかに夫の言うことは間違っていないように思えました。
その後、7歳と5歳の子どもを抱え、36歳で夫とは別居。
介護の仕事を目指すことに決めました。
【介護職になったきっかけ2】特別養護老人ホームに父が入居
父への介護は本当に正しい?実態を調べるためヘルパー2級を取得
介護の仕事に就こうと思ったきっかけは、もうひとつありました。
実父が特別養護老人ホーム(特養)に入居していたのですが、そこで虐待のようなことが起こっているのでは、と疑っていたのです。
父の体にいくつものあざを見つけて、担当の介護職の人を疑っていました。
でも、証拠がないし、介護の知識もない。
このまま放っておくわけにはいかないと、法律のことを勉強し、介護についても勉強しました。
そのために、ヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修に相当)の資格も取ろうと思って、研修の申し込みをしていました。
がんばって勉強し、介助の技術などにも詳しくなってから何度も特養に足を運んで担当の介護職の方ともお話をしました。
そうすると、暴力や暴行はなかったものの、配慮に欠けるケアだったことを特養側が認め、謝罪もしてくれました。
ヘルパー2級の研修の内容もとても興味深く、夫が言ったとおり、私は介護の仕事に向いているな、と実感しました。
それに、「父の担当介護職のような介護は、撲滅したい」「もっと高齢者が幸せになれる介護をしないといけない」という思いや使命感もわいてきていました。
介護の仕事をしている友人から、デイのスタッフのお誘い
そんな折に、近所でヘルパーをしている友人が「もうすぐヘルパー2級の資格は取れるの?もしまだ取れていなくても、無資格でも働ける施設があるから、面接を受けてみない?」と言ってくれました。
そこは、デイサービスだから夜勤がなく、「小学生や幼稚園児の子どもがいても、夜間に家をあけることがないから、働きやすいのでは」とのこと。
実際に面接を受けてみても、「お子さんの授業参観などのための早退にも配慮しますし、日曜日は休みですから」と言われ、「ここで働きたい!」と、強く願い、働かせてもらうことになりました。
【はじめての介護職】デイサービスでパート勤務スタート
子どものために夜勤は避けたい。デイサービスだから日勤のみでOK!
夫から養育費をもらうにしても、しっかり働いてお金を貯めて、子どもたちの進学などに備えたいという気持ちが強かった私は、友人が紹介してくれたデイサービスで週5日、フルタイムで働くことにしました。
時給は1,000円。これだけでは月収14万円程度にしかならないので、土日は近くのファミレスでウェイトレスとして働き、まさに休みなく働きました。
少しでも職場に認めてもらいたいから、介護職としても一生懸命にやりました。
デイサービスで働き始めて半年後には、ヘルパー2級の資格を取得。
身体介護もできるようになりましたし、運転免許があるので、利用者さんの送迎もしました。
辞めるスタッフがいても「生活のため仕事を辞めるわけにはいかない」
しかし、働いていたデイサービスの経営者夫婦は、スタッフの間では「二人とも底意地が悪い」と言われていて、そのために辞める人がたくさんいました。
特に、奥様は人の好き嫌いが激しく、嫌いな職員は罵倒する、というやっかいな人でした。
それでも、シングルマザーの私は、仕事を辞めるわけにはいきません。
なんとか奥様に好かれるようにがんばり、彼女の信頼を得ることができました。
奥様に気に入られると、細かなことで文句は言われないし、業務を任せてもらえるので仕事はやりやすくなりました。それに加えて、こっそり「お子さんたちに」とプレゼントをくれ、「ほかの職員に言ってはだめよ」と釘を刺されるまでもなく、誰にも言えない特権でした。
【転職のきっかけ】社内の人間関係のトラブルが原因に
しかし、奥様が私に優しくしてくれればくれるほど、ご主人である施設長の目が厳しくなってきました。
「あいつだけ特別待遇をするな!」と奥様を叱責し、私に対しても勤務中も休憩中も存在すら否定されるような叱責が始まりました。
その頃には、身体介護と送迎だけでなく、リハビリ体操の主任のような仕事もしていたし、施設のお金の管理も含め、まるで奥様の秘書のような仕事も任されていました。
奥様は、私がいなくなると困るので、なんとか私が辞めないようにと、ご主人には内緒でポケットマネーからボーナスを出そうとまでしてくれましたが、それがまた、ご主人の逆鱗に触れて……。
いたたまれなくなり、5年近く勤めたデイサービスを辞めることにしました。
せっかく介護職として自信がついた頃だったのに、無念な思いでいっぱいでした。
でも、とにかく子どもたちのために稼がなければなりません。
求人サイトや新聞の折り込み広告、地元の求人情報誌など、手近な情報をいろいろ集めて、新たな介護現場を求めました。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
次回は、デイサービス、グループホーム、有料老人ホームへと転職する道のりを語っていただきます。
次回「「給与」「人間関係」「正社員」理想の職場はどこに?~転職体験Uさん2」は、10月9日に公開予定です。
*U・Kさんの「転職 成功・失敗 体験談」…1回目、
2回目、
3回目、
4回目(最終回)はこちら
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