◆有料老人ホーム(介護職)→特別養護老人ホーム(介護職)→有料老人ホーム(ケアマネジャー)→居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)→有料老人ホーム(ケアマネジャー)
O・Jさん(男性・42歳)
●有料老人ホーム(介護職/勤務期間6年/月収約22万円+ボーナス18万円×2)
●特別養護老人ホーム(介護職/勤務期間1年/月収約15万円+ボーナス12万円×2回)
●有料老人ホーム(ケアマネジャー/勤務期間1年/月収約22万円+ボーナス45万円)
●居宅介護支援事業所(ケアマネジャー/勤務期間6年/月収約21万円、ボーナスなし)
●有料老人ホーム(ケアマネジャー/勤務期間6カ月/月収約35万円+ボーナス20万円)
介護職以外の仕事:役者、解体業
保有資格:介護福祉士、介護支援専門員
家族構成:本人、両親
役者志望からフリーターを経て、介護業界で資格を取得して身を立てようと思い立ち、正職員にこだわって転職を重ねてきたOさん。ケアマネ資格を取ることを目標に努力と経験を重ね、今はほぼ理想通りの収入やポジションを得たOさんの転職体験談をインタビュー。
第3回の今回は、介護支援専門員の資格をもっとも生かせる、居宅介護支援事業所への転職について語っていただきます。また、そこからスカウトされて転職する経緯についてもお伝えします。
【3度目の転職】ケアマネとして成長できるのは「居宅介護」
「居宅ケアマネは大変そう」
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を取得後、ケアマネとして転職しようと思ったのは施設系や地域包括支援センターでした。「居宅ケアマネは大変そう」と感じて、居宅介護支援事業所を避けていたんです。
初めての人と、その人の家に出向いて話をするのが、まず苦手でした。
居宅ケアマネは、そんな環境の中で、その方のアセスメントをきめ細かくする必要があります。
うまくできるのか、不安でした。
また、電話の応対、他職種との連携、どれも、苦手分野でした。
在宅介護では、利用者さんに何か起こればケアマネジャーが陣頭指揮を執って動かなければならない場面が多々あります。
そんな対応力もまだない、と思っていました。
ケアマネとして成長するため、あえて居宅ケアマネに転職
以前、
有料老人ホームで受けた研修でも、「根拠のある介護実践」、たとえば排尿のメカニズムを熟知してオムツ換えをするとか、嚥下(えんげ)の知識があって食事介助するなど、現場でのケアに関する内容はおもしろかったのですが、対人援助という視点での内容は、うまくできなかったという反省があります。
自分が有料老人ホームでのケアマネジャー業務でキャパオーバーになったのも、対人の部分での臨機応変力というか、機転のききかたが悪かったのかもしれないなと思います。
また、ケアマネジャーは
介護保険の知識も深くないとその場の判断ができません。
在宅だったら、なおさら瞬時の判断のときに、介護保険制度がきちんと根拠になっていないといけない。
有料老人ホームでのケアマネジャーに挫折した今だからこそ、むしろ在宅でのケアマネジメントに挑戦して、力をつけないといけないのだと思いました。
インターネットで求人を探して、住まいからそれほど遠くない、そこそこ大きな居宅介護支援事業所に就職しました。
事業所が大きければ、先輩ケアマネもたくさんいます。
教えてもらえることの幅も広いと思ったのです。
【居宅介護で学んだこと】ホスピタリティも介護保険制度も深く学んだ
入職したとたんに、すごく忙しくなりました。
2月に入職して、3月と4月にそれぞれ1人ずつ
ケアマネジャーが辞めたので、その人たちが担当していた利用者さんがどんどん割り当てられたのです。
十分な引き継ぎもなく、新人で右も左もわからないけれど、とにかくこなさなければならない。
でも、管理者がものすごく人間力のある人で、その人の「神対応」を横で学ばせてもらったのが大きかったです。
電話応対のしかた、連絡調整のしかた、クレームへの対応、記録を残しておくことの重要性。
介護保険のどこをどう見たらケアマネとしての根拠になるのか。
ケアマネとしてのありかたのほとんどすべてを、ここで学ばせてもらいました。
大事なのは、腹を据えるということ。
逃げないで、ひとりひとりの利用者さんと向き合うこと。
それを管理者から教えてもらいました。
【ケアマネジメント以外の仕事】認定調査員も経験
転職した居宅介護支援事業所は、利用者さんのケアマネジメントだけでなく、
認定調査員の仕事も請け負っていました。
自分も、数多く経験させてもらいました。
認定調査員をすると、介護保険制度の中でこの人は「こうだから
要介護2」というふうに、根拠がよくわかります。
その根拠は、その人の言動のどこをとらえればいいのかもわかる。
この経験も、ケアマネジャーとしてとても重要だったと思います。
【転職のきっかけ】期待せずに登録した求人サイトで…
出世する?主任ケアマネになる?自分の仕事のゴールは……?
居宅介護支援事業所に転職してしばらく経ってから、介護専門の求人サイトに登録していました。
すぐに転職したいわけではなかったのですが、登録しておけば、いろんな情報が来るかなと思ったからです。
サイトの担当者さんからは、定期的に求人情報を送られてきていました。
けれど、当時は居宅介護の仕事を覚えてばかりでしたし、「今はまだ考えていません」とお断りしていました。
年月が過ぎ、5年半くらいたったところで、「そろそろここも潮時かな……」と思い始めました。だいたい3年くらい過ぎたところでケアマネ業務はほぼ覚えられました。
それに、ここで出世するとなると、主任介護支援専門員の資格を取って、リーダーや管理者になるということだけれど、主任ケアマネの忙しさを見ていると、この給料でここまでやるのか、と尻込みしていました。
主任介護支援専門員の資格を取ろうかな、と思いながら気づけば時期が過ぎてしまう、という繰り返しの中で、「居宅介護で主任ケアマネになるのが、自分のゴールなのか?」と疑問に思うようになりました。
条件のいい求人を紹介されたけれど気持ちは乗らず…
ちょうどその頃、介護求人サイトの担当者が変更になったようで、元気で熱心な人が担当になりました。
その人から、「これまでにないような、大手法人の条件のいい求人があります。
有料老人ホームの施設ケアマネです。
Oさんは有料老人ホームの経験も深いですし、ケアマネとしてのキャリアもすばらしい。ピッタリですよ。面接を受けてみませんか?」
と連絡がありました。
条件を教えてもらうと、たしかに給料はいい。
けれど、家からは遠く、駅からはバスで、そのバスも1時間に2本しかない。
「一度見学に行ってみましょう」と熱心に誘われて面接に行きましたが、建物は古く、この設備だと、介護の業務にも影響が出るのでは、という気がして、気持ちが動きませんでした。
採用されたのは、家に近い新規オープンの老人ホーム!
家に戻って見学に行った老人ホームの母体である法人のホームページを見たら、自宅からそう遠くないところに新規オープンするホームがあるようなのです
ここならいいのに……と思っていたら、なんと採用の知らせとともに、勤務地が新規オープンのホームになっていたのです。驚きました。
このチャンスを逃す手はない!と思い、居宅介護支援事業所を辞める決意をしました。
【転職で気付いた!】「いつでも引継ぎできる」事前の準備が吉
面接を受けてから、勤務するホームがオープンするまで3カ月半。入社後の研修はその前に1カ月ほどあるということなので、居宅介護支援事業所に辞意を表明してから、2カ月半しか引き継ぎの時間がありませんでした。
書類をきちんと整え、利用者さんの状況を後任のケアマネに説明し、それぞれの利用者さんのところに新しい担当といっしょに挨拶に行く。
35人分これをやるのが本当に時間がかかり、事業所にも迷惑をかけました。
できるだけのことはしたけれど、不備もあったかもしれない。
転職するかどうかは別として、引き継ぎ書類はいつもきちんと準備しておき、いつでも人に引き継げるくらいにしておけばよかったと思いました。
しかし、とにかく新しい環境でケアマネジャーとして働けることに高揚し、書類を全力で整備し、利用者さんにも別れを告げて、新たな場へと旅立つ準備をしていきました。
<三輪 泉(ライター・社会福祉士)>
最終回の4回目「挫折を乗り越えて転職。介護・福祉でステップアップするコツは?~転職体験Oさん4」では、現在の有料老人ホームでのケアマネジャーの仕事について、また、転職体験についてのインタビュー内容をご紹介します。
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