ケアマネジャーとして従事するためには、5年毎に「更新研修」を受講する必要があります。介護報酬の改定や介護保険制度の更新に対応していくためにも、ケアマネジャーには研修が欠かせません。今回は、そんな更新研修についてご紹介していきます。勤務年数ごとにどの研修を受けるべきか詳しく解説していくので、ぜひご覧ください。
1 ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格は更新が必要?
2 【チャート図】ケアマネジャー(介護支援専門員)の更新方法
3 ケアマネジャー(介護支援専門員)の更新研修
4 ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を失効した時の対処法
5 ケアマネジャー(介護支援専門員)の更新研修を受ける際の注意点
6 更新研修を忘れずに受けて、ケアマネジャーとして働き続けよう!
ケアマネジャー(介護支援専門員)として働くための資格「介護支援専門員」には、5年間の有効期限があります。
更新するためには、経験に応じた「研修」を受講し、その後、申請が必要です。都道府県によって更新通知が送付されない場合もあるため、「介護支援専門員証」の期限を自分で把握しておきましょう。
期限内に更新できなかった場合、資格は失効してしまいます。その間は業務ができなくなるので、現在ケアマネジャーにとして働いている人は、特に注意しましょう。
更新研修は、実務経験年数やこれまでの更新回数によって、受ける内容が変化します。どの研修を受けるべきか、チャート図をもとに確認していきましょう。
資格取得から5年間で実務経験がないものの、今後ケアマネジャーとして従事していきたい人は、54時間の「更新研修」を受講する必要があります。
一方、今後ケアマネジャーとして働くつもりがなければ、更新する必要はありません。資格を取得した事実自体がなくなるわけではなく失効状態になるので、「再研修」を受けることで再びケアマネジャーとして働けるようになります。
5年の期限内に6ヶ月未満の実務経験があれば88時間の「更新研修」を、6ヶ月以上3年未満の実務経験があれば32時間の「更新研修」と「専門研修Ⅰ」を、3年以上あれば「専門研修Ⅰ」と「専門研修Ⅱ」を受講することによって資格を更新できます。
誤って別の研修を受験しても更新はできないので、必ず事前によく確認しましょう。
前回までの更新で、実務経験者用の「更新研修」(32時間か88時間)を受講したかによって、受けるべき研修の内容が変わってきます。
これまでの研修時にすでに実務経験があり、88時間もしくは32時間の「更新研修」を受けた経験がある人は、実務経験3年未満であれば「更新研修(32時間)」を、3年以上であれば「専門研修Ⅱ」を受けましょう。
これまで更新研修(54時間)しか受けたことがない人は、実務経験が6ヶ月未満であれば「更新研修(88時間)」、6ヶ月以上3年未満であれば「更新研修(32時間)」と「専門研修Ⅰ」、3年以上であれば「専門研修Ⅰ」と「専門研修Ⅱ」を受講することによって更新することができます。
それぞれの更新研修にかかる時間や受講料、受けられる時期など、実際に研修を受けるうえで必要となる情報をご紹介します。自分が受ける予定の研修について事前に確認しておきましょう。
時間 |
54時間 |
受講料 |
約2~6万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・ケアマネジャー(介護支援専門員)としての実務経験がない人 |
受講時期 |
介護支援専門員証の有効期限の1年前から1年間 |
専門研修の代わりに受講する研修です。資格試験合格のために学んだ知識の復習に加え、実際の現場でどういった業務を行うのかという基礎的な内容を学んでいきます。
各都道府県によって異なりますが、資格を失効した人向けの再研修と同時に行われる場合もあります。
時間 |
88時間 |
受講料 |
約1.5~7万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・ケアマネジャー(介護支援専門員)としての実務経験が6ヶ月未満の人 |
受講時期 |
介護支援専門員証の有効期限の1年前から1年間 |
6ヶ月未満の実務経験があるケアマネジャーが受講する研修です。各都道府県が実施しており、介護支援専門証の期限が切れる1年前から受講することができます。日程や定員はあらかじめ決まっているので、余裕をもって受けましょう。
時間 |
32時間 |
受講料 |
約1.5~5万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・ケアマネジャー(介護支援専門員)としての実務経験が6ヶ月以上3年未満の人 |
受講時期 |
介護支援専門員証の有効期限の1年前から1年間 |
実務経験が6ヶ月以上3年未満のケアマネジャーが受講する研修です。地域包括ケアシステムの中で他の介護職種と協力して介護サービスを提供できる人材を養成するための知識など、ケアマネジャーとして働いてくために必要な、より実践的で専門的な内容を学んでいきます。
時間 |
56時間 |
受講料 |
約1.5~5万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・ケアマネジャー(介護支援専門員)としての実務経験が6ヶ月以上の人 |
受講時期 |
ケアマネジャー(介護支援専門員)として6ヶ月以上就業していれば、いつでも可 |
実務経験3年以上のケアマネジャーが受ける研修であり、内容もより専門的なものとなっています。他の介護職種を含むチームの中で、利用者さんの状況に応じたケアマネジメントを行うための、柔軟な知識や実践の方法を学びます。更新研修とは異なり、実務経験が6ヶ月以上であれば、資格失効間近でなくても受講できます。
時間 |
32時間 |
受講料 |
約1~5万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・ケアマネジャー(介護支援専門員)としての実務経験が3年以上の人 |
受講時期 |
ケアマネジャー(介護支援専門員)として3年以上就業していれば、いつでも可 |
専門研修Ⅰと同様に、より実践的な知識を学んでいく研修です。基本の対応だけでなく、緊急時や対処が難しいケースに対応するための知識や実践方法を学びます。また、ケアマネジャーに関する知識だけでなく、ほかの分野についても理解できる状態になることがこの研修の最終目標のひとつです。
介護支援専門員証の更新期限が過ぎてしまったり、一度失効した後、再びケアマネジャー働きたいと思った際は、「再研修」を受ければ、また資格を有効にすることができます。
■再研修
時間 |
54時間 |
受講料 |
約2~6万円 ※都道府県ごとに異なる |
対象者 |
・5年以上実務に従事したことがない人 |
受講時期 |
・各都道府県による |
「再研修」は、資格試験には合格したもののブランクがある人たちが、これからケアマネジャーとして働いていくために必要な実践的な知識を学ぶための研修です。研修期間は54時間で、各都道府県により、申請・開催期間は違いますが、基本的には年に1回開催されています。
ケアマネジャーの更新研修は、どの研修を受けるか以外にも、注意すべき点がいくつかあります。適切に更新を行うために注意したいポイントをご紹介します。
介護支援専門員(ケアマネジャー)として働く際は、勤務を希望する各都道府県で試験を受け、申請・登録する必要があります。
更新研修も、基本的に登録をしている都道府県で受けましょう。違う都道府県で働きたい場合は、別途手続きが必要なので注意しましょう。
都道府県ごとに、各研修を担当している機関は異なります。
ケアマネジャーの更新に必要な各研修は、都道府県によって違う機関が管轄の場合もあるので、申請や問い合わせの際はよく確認しましょう。
例えば東京では「専門研修Ⅰ」は東京都福祉保健財団が実施していますが、「専門研修Ⅱ」は総合健康推進財団が実施しています。
各研修には定員があります。期限が切れる直前に申し込もうとしても、すでに満員になっている可能性があるので、早めに確認しましょう。
更新研修の場合、介護支援専門員証の有効期限1年前以降でないと受けられませんが、専門研修は規定の経験年数さえ満たしていればいつでも受講可能です。
研修を受けただけでは資格の更新はされません。必ず、都道府県に届けを出し、介護支援専門員証の更新手続きを行う必要があります。研修先によっては案内を出してくれる場合もありますが、自身で把握しておき、管理できることが一番望ましいです。
各都道府県によって書式は違いますが、基本的には申請書・修了証・収入印紙・写真・介護支援専門員証の原本といった書類を用意する必要があります。
ケアマネジャーとして働き続けるために欠かせない更新研修についてご紹介しました。
ケアマネジャーは、専門的な知識・技術が求められる業務というだけあって、5年毎に研修の受講が必須です。自分が受けるべき研修は何か整理して、期限内に必ず受講・手続きを済ませましょう。
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