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介護職への転職インタビュー:事務職員からデイサービス職員へ

介護職への転職インタビュー:事務職員からデイサービス職員へ

家族の介護と仕事を両立するために、短時間勤務をしてきたYさん。しかし、勤務先の仕事がだんだん減ってしまい、ダブルワークを決意!そこで始めたのが介護職でした。

取材対象者のYさん

Yさん(60代後半・女性)

【前職:電気店の事務職員】
・勤続年数 13年
・雇用形態 パート職員
・給料 時給1,120円(月5万円)
・勤務 9:30~13:30(週2~3回)

【現職:デイサービス職員】
・勤続年数 6年半
・雇用形態 パート職員
・給料 時給1,170円(月5万円弱)、別途加算あり(年2回・計6万円)
・勤務 9:00~14:00(週2回)

現在の仕事内容

■転職後、どんな仕事をしていますか?
デイサービスの入浴担当です。

ほかの業務はほとんどせず、専従で1日6人程度の入浴介助をしています。

■仕事のスケジュールを教えてください。

転職後のスケジュール

09:00 利用者さんが来所
     バイタル測定・お茶の提供
09:30 入浴介助スタート(1人約30分)
12:10 利用者さんと食事・休憩
13:15 入浴介助
14:00 退勤

知人の紹介でデイサービスへ!

■以前はどんな仕事をしていましたか?
20年ほど常勤で医療事務の仕事をしていましたが、母の介護をきっかけに、近場の個人電器店の事務に転職。
主に電話対応や在庫管理をしていました。

来店するお客さんは少ないですが、店主は配達などで外勤が多く、ひとりで店を切り回していました。

■介護職に転職したきっかけは?
医療事務をやっていたときは、短時間でも週5日勤務していたので月10万円くらいの収入がありました。

でも電器店に転職してからは、稼働日数が少なく時給も安いので、収入が半分程度に。

また店の経営が難しくなったのか、勤務日数は徐々に減ってしまいました。

私は独り身ですし、一定の収入が必要です。母の介護をしながら、「電器店の勤務が減った分、何か始めよう」と思っていました。

デイサービスに転職

7年前、母が亡くなったのを機に新たな仕事を探していたところ、デイサービスに勤務する友人から「うちの施設で募集があるから来てみたら?」と誘われました。

自宅から歩いて行ける距離ということもあって、挑戦してみることに。

もともとヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修に相当)を持っていましたし、母の介護経験もあったので、すんなり採用してもらえました。

ただ、私はどちらかというと人見知りで、人前で話をしたり笑わせたりするのはとても苦手。デイサービスのレクリエーションは自信がありませんでした。

勤務開始当初は百人一首、麻雀などやってみましたが、やはり難しかったです。

それで、ヘルパー2級を持っていて身体介護ができるということで、入浴担当になったんです。

入浴介助に不安も…

■介護職としての仕事に不安はありませんでしたか?

利用者さんに事故があっては大変です。特に入浴介助は転倒などが起こりがち。

衣類を着ていらっしゃらないので、ぶつけたときの痛みや傷などの点でも不安でした。

■転職後、その不安は解消されましたか?
先輩にしっかりとレクチャーしてもらって、解決するようにしました。

利用者さんは一人ひとり入浴のしかたが違います。その方の状態や好みもあるのでしっかり覚えて、毎回無理なくスムーズなサービスができるように心がけました。

座って入るにしても「どうつかまって入るのか」など気を配ります。特に、麻痺のある方はどちら側から先に入るかが重要です。

その方に合った方法で心地よく安全に入浴していただけるよう、努力しています。

ヘルパー2級が役に立った

■転職する前に準備したことはありますか?
2005年にヘルパー2級を取っていました。

当時は「両親の介護に使えるだろう」という気持ちで、介護の仕事をすることは考えていませんでしたが、それが今役立っています。

ただ取得してから15年近く経つので、学んだことを思い出しながら、現場の業務とすりあわせるようにしています。

「ありがとう」に癒される

デイサービス入浴担当のやりがい

■介護業界に転職してよかったことは?

認知症のある方などは、入浴を嫌がることも多いです。

何週間もお風呂に入っておらず、ご家族が「家では絶対無理なのでデイサービスでお願いします」とおっしゃることも。

そんな方には「寒いので足だけあたためませんか?」と靴下を脱いでいただくところから始めたり、「身体検査」としてお誘いしてみたり、いろいろな工夫をしています。

入浴してしまえばとても気持ちがよく、最後は「さっぱりした」「ありがとう」といった言葉をいただくことが多いです。そんな一言に癒されます。

また、お風呂の中だと本音をお話くださる方も多いです。「うちの娘はとても心根がよくてね…」とご家族のことを教えてくださったり、いつもより表情がやさしくなったり。

そんな一面が見られることがやりがいにつながります。

前職のスキルは介護職にも役立つ

■これまでの経験やスキルで転職後に役立ったことは?

電器店の店番や電話対応では、気難しい取引先やお客様と接することもあり、鍛えられました。

それが入浴時の利用者さんへの対応に役立っているかもしれませんね。

人生経験を活かして働き続けたい

■今後の目標を教えてください。
入浴介助は体力勝負なので、年齢を重ねるごとに大変になっていくと思いますが、なるべく長く続けていきたいです。

少し前に電器店の仕事は退職することになったので、もう少し介護の仕事を増やしたいと思っています。

介護業界は、60代でも応募できるのがありがたいですね。

体力は落ちますが、利用者さんと年が近くなる分、体調や心理がよくわかるようになります。そこはアドバンテージかもしれません。

健康に気をつけながら、70歳くらいまでは続けていきたいです。

取材・文:三輪 泉

社会福祉士、介護職員初任者研修、福祉住環境コーディネーター2級。
約30年前よりファッションや芸能、子育て、教育などを中心にライターとして活動。2012年、親の介護を機に社会福祉士国家資格を取得し、高齢者介護・医療・健康分野でのライターとしても活躍中。
現在は、法定成年後見人として支援が必要な方の財産管理や身上監護も行う。
介護、医療、教育、子育てなどのテーマを中心にWEB雑誌・書籍などの記事執筆を多数担当。

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