今回から取り組む新テーマは「持つ」。まずは「持つ」と「手のひら」の不思議な関係に迫ります!
<協力 身体技法研究家 甲野陽紀氏/文・構成 佐藤大成>
こんにちは、身体技法研究家の甲野陽紀です。空気のように身近な動作である「持つ」が今回のテーマ。身近すぎて深く考えたことがないなあ、という方が多いかと思いますが、改めて見つめてみると、“こんなことでこんなにカラダの安定感が変わるの!?”という“発見”が次々に……探求の一回目は「手のひら」の感覚に注目してみます。
ということで、いつものようにちょっとした実験から。座椅子を両手で持っているわたしの邪魔をするようにエディターTaneさんが力をこめて座椅子を上から押さえつけています(写真a)。立場を変えて同じようにしてみたのが写真bです。このときわたしたちはふたりとも、座椅子が押し下げられないよう「手のひら」に力をこめて、座椅子を持っています。いわゆる「がんばっている」状態です。
さっきはあんなに苦しかったのに、がんばらないほうがこの余裕とは!
次に「手のひら」の感覚をちょっと変えてトライしみたのが写真のcとd。感覚としては「がんばりすぎずにやわらかく持ってみよう」という感じにしてみたのですが。
いかがでしょうか? ずいぶん変わってきたように見えませんか?
「手のひら」に力をこめがんばって持っていたときは(写真a,b)、明らかに腕に力が入り、上体が前に引っ張られるのを一生懸命耐えているように見えますね。
ところが「がんばりすぎずやわらかく持つ」ように変えた途端(写真c,d)、腕も上体も表情も余裕たっぷり。 余計な力が入っているように見えません------かなり大きな力が座椅子にはかけられているはずなのですが。
握りの部分をアップで見てみると------両手で座椅子を持つ動作は両者とも同じなのですが、写真のfとgをくらべると、微妙に手の表情に違いがあることがわかりますね。「がんばって持つ」とき(写真f)の手は指先まで固く力が入り握りしめているように見えますが、「がんばりすぎずやわらかく持つ」ときの手(写真g)は、手のひら全体で包み込むような持ち方をしているように見えます。
「手のひら」の感覚を変えただけでこんなに違いが出るとはちょっとびっくりしますが、指先感覚の違いでカラダの安定感が変わってきたのと同じように、実は「持つ」動作をするときの「手のひら」の感覚が「カラダがつながる」力を強めたり弱めたりすることに大きく影響しているのです。
「手のひらは固めずに柔らかく」------「持つ」ときにちょっとこのコトバを思い出してもらえるといいですね。
次回も「持つ」動作を探求していきます。
◆ Profile ◆
甲野陽紀(こうの•はるのり)
身体技法研究家。東京•多摩市生まれ。高校卒業後、「古武術介護」の提案者としても知られる武術研究家の父、甲野善紀氏の補佐役として各地の講習会などに同 行する中で、ささいな動きの違いから感覚がさまざまに変わっていくカラダの不思議さ、奥深さを改めて実感し、特定の方法やジャンルによらない独自の視点か らの身体技法の研究を始める。見る、触れる、曲げる、といった、わたしたちが日々、何気なく行っている動作からカラダを見つめ直すことで新しい感覚が生ま れていく“発見の体験”は、多くの方の共感を呼び、全国各地の講習会、講演会などで活躍中。スポーツや武術、音楽、医療、介護、運動嫌いの方のための身体 講座まで、講座のテーマは幅広く開かれており、ファン層も多彩。都内では、朝日カルチャーセンター新宿•湘南、よみうりカルチャー自由が丘などで定期的に 講習会を開催している。日々のくわしい活動はオフィシャルウエブサイトへ。
http://hkhp.p2.bindsite.jp/index.html
介護求人ナビは全国で40,000件以上の介護・福祉の求人情報を掲載した、介護業界最大級の求人サイトです。訪問介護やデイサービス、グループホーム、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど高齢者介護の施設や、児童福祉や障害者支援に関わる施設・事業所の求人情報を多数掲載中。介護職、ヘルパー、ケアマネジャー、サービス提供責任者、ドライバーなど職種だけでなく、施設種類での検索や給与検索、土日休み・週休2日制・日勤のみ・夜勤専従・残業なしなど、こだわり条件での求人検索の機能も充実しているので、あなたにぴったりの介護求人が効率よく見つけられます。ブランク可な求人や未経験可の求人、研修制度ありの求人も掲載しているので、初めての転職でも安心!転職・就職・再就職・復職・アルバイト探しに、介護求人ナビをぜひご活用ください。
介護求人ナビに掲載している求人情報
記事一覧
新着求人
一覧を見る