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2020年06月11日

介護職に慰労金支給!ウィズコロナ時代は介護業界が変わるチャンス? | 「介護求人ナビ 介護転職お役立ち情報」

介護業界の新型コロナショックに、介護職へ「慰労金」支給

新型コロナウイルス対応で、在宅の介護サービス事業所には様々な影響が出ています。

■デイサービスの場合
デイサービスは、地域によって休業が増えているところ、時間短縮営業をしているところ、対象者を絞って受け入れているところなど様々です。


病院から退院してきた高齢者については、誰がはじめたのか、2週間、自宅待機してからでないと受け入れないというローカルルールが一人歩きしている地域もあります。

利用者の方も、感染リスクを考えて利用を休止するケースも多く、収支が悪化するデイサービスは少なくないようです。

■訪問介護事業所の場合
訪問介護事業所は、ホームヘルパーが本人希望で仕事を休んだり、ヘルパーの家族が休ませていたり、事業所判断で高齢のホームヘルパーを自宅待機にさせていたりする事業所の話を耳にします。


リモートワークとなった家族が介護するなど、利用者の方から訪問を断るケースも多いようです。

一方で、新規の利用者の受付を停止している訪問介護事業所もあります。

訪問できるヘルパーが減り、利用者も減って、こちらも収支が悪化するケースが多いようです。

■介護事業所への政府の支援策は?
事業収支悪化への対応ではありませんが、政府は第二次補正予算で「介護・福祉分野」に対する支援として、6091億円の予算が確保されることとなりました(*1)。
新型コロナウイルス感染者の出た介護施設の職員や、濃厚接触者へ対応した介護施設の職員に対しては、1人あたり20万円の慰労金を給付。
感染者が発生していなくても、1人あたり5万円の慰労金が支払われることとなりました。


前述の通り、感染者が出た施設だけでなく、多くの介護事業所に新型コロナでの影響が大きく出ています。
当初は、感染者が発生した施設職員だけを支給対象とする案が示されていました。
しかし、すべての事業所を対象にした支援を求める強い声を受けて、このような結果となったのは、喜ばしいことです。声を上げていくことは大切だと、改めて感じます。

また、この慰労金は、居宅のケアマネジャーも支給対象とされました。

ケアマネジャーの中には、今回、急なケアプラン変更など、様々な対応を余儀なくされた方も多かったことと思います。

居宅のケアマネジャーは、これまで処遇改善のための加算である、「介護職員処遇改善加算」「介護職員特定処遇改善加算」の対象外とされてきました。この一時金は処遇改善目的ではありませんが、新型コロナ禍の中、共に奮闘する介護業界の職種として慰労される対象として評価され、少しは苦労が報われるのではないでしょうか。

関連記事:新型コロナで介護従事者も疲弊…。簡単にできるストレスケアを実践してみよう!

モニタリング・サービス担当者会議にビデオ会議を活用

5月10日には、2020年3月1日~31日の神奈川県内のケアマネジャーの活動について、神奈川県居宅介護支援員協会が行った調査の結果が発表されました(*2)。

4月7日に緊急事態宣言が発令される以前の状況ですが、それでも担当している利用者のうち、11件以上のモニタリング訪問を実施しなかったケアマネが、半数を占めていました。
実際に神奈川県内のケアマネに話を聞くと、訪問を断られるケースはそれほど多くはないとのこと。

となると、この調査でわかった『訪問控え』は、ケアマネ判断によるものと考えられます。

デイサービスや訪問介護もそうですが、周囲の感染状況や事業所の方針により、ケアマネの対応にはかなりの差があります。断られない限り訪問を行っているというケアマネもいれば、緊急事態宣言後は一切の訪問を自粛したというケアマネもいました。
この調査も、4月に行ったらまた異なる結果になっていたことでしょう。

4月に訪問を自粛したケアマネは、5月はほぼ全員の利用者を訪問したと話していました。
2ヶ月顔を合わせないのはやはり不安だというのです。

サービス担当者会議については、調査では「開催しなかった会議が0件」という回答は23%に留まっています。電話やファクスで照会したケースが多かったということでしょう。

サービス担当者会議についても、筆者が話を聞いたケアマネには、「照会でも全く問題ない」というケアマネもいれば、「照会だと事業者同士の意見交換や連携が深まらない」というケアマネもいて、考え方はまちまちです。

筆者が聞いた中には、ビデオ会議システムを使ってモニタリングやサービス担当者会議をしたというケアマネもいました。


「ウィズ・コロナ」の時代の介護現場を考える

介護業界はなかなかIT化が進まないのが課題の一つと言われています。利用者とのやりとりでは、ITに強い介護家族がいないとなかなか難しいかもしれません。

しかし新型コロナ禍は、新しい対応のあり方を模索するのも良いチャンスです。
特に、遠隔介護をしている家族や、サービス事業者間のやりとりについては、もっとビデオ会議システムなど、対面によらない方法も活用されてもいいのではないかと思います。

緊急事態宣言が解除されても、このウイルスが急になくなるわけではありません。
「ウィズ・コロナ(新型コロナウイルスとともにある)」時代がこれから始まります。

今回の新型コロナ禍から何を学び、どう新しい時代のあり方を築いていくのか。
それは各産業界で考えていく必要があります。

これをきっかけに、新しい支援のスタイルが開発されていければ、この新型コロナ禍もマイナスばかりではないと言えるかもしれません。

<文:介護福祉ライター・社会福祉士・公認心理師・臨床心理士 宮下公美子

*1 介護職員に慰労金支給 厚生労働省(高齢者住宅新聞 2020年6月4日)
*2 新型コロナウイルス流行下のケアマネジメント業務と経営に関する実態調査結果報告(神奈川県介護支援専門員協会 2020年5月10日)

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